人材育成担当者「育成戦略」「データ活用」に課題感抱くも、約25%は解決の検討を未実施 グロービス調査
株式会社グロービス(東京都千代田区、代表取締役:堀義人)が提供する学習管理システム「GLOPLA LMS」は、2023年3月期から有価証券報告書において人的資本情報の開示が義務化されるなど、人的資本経営に注目が集まる中で、人材育成担当者の抱える課題に注目。重要な要素となる社員のスキル・能力開発が思うように推進できていない企業も多くみられることから、人材育成業務の従事者を対象に「人材育成における課題」に関して調査を実施した。調査の結果からは「育成戦略」や「データ活用」に課題を持つ人が多い一方で、解決に取り組めていない企業も一定数存在することが明らかになったとしている。
調査概要
調査期間:2024年3月19日~3月25日
調査方法:インターネット調査
調査対象:従業員規模300名以上の企業に所属する、「社員の育成」に関わる方
調査人数:500名
モニター提供元:株式会社クロス・マーケティング
出典元:企業の人事・育成担当者、「育成戦略」「データ活用」に課題感 グロービス「GLOPLA LMS」、人材育成における課題に関する調査を実施(株式会社グロービス)
優先度の高い課題のトップは「中長期的な育成戦略」
本調査の対象は、社員の育成業務に携わっていると答えた500名。「人材育成業務の中で、あなたが課題感を感じていることについて、優先度が高いもの」を複数回答で聞いたところ、トップは「中長期的な育成戦略(35.0%)」。次いで「データの分析(19.8%)」「短期的な育成戦略(16.6%)」「人材データの一元管理(14.9%)」「データの収集(13.6%)」が上位に挙げられ、多くの人が「戦略」と「データ活用」に課題があると感じている実態が明らかになった。
同社は本結果を受けて「多くの企業で、データの活用と戦略立案・実行がかみ合いにくい状況がうかがえます」と分析している。
課題解決の取り組みを検討したことがない担当者が25.6%
人材育成業務上で感じた課題に対する検討状況も質問。74.4%が「解決しようと検討したことがある」と回答している一方で、25.6%は「検討したことがない」という結果に。検討したことがない理由としては「現行の業務負荷が高く、人材育成に十分な時間を割くことが難しいため(34.3%)」が最も多く挙げられている。
さらに同様の質問を役職別でも分析しており、人材育成業務に携わる人の中でも「課長・係長・主任(あるいは、それに相当する役職)」において、人事育成上の課題解決を検討したことがない人が多い傾向が見られたことも報告されている。「課長・係長・主任」では31.5%が「解決を検討したことがない」と答えており、理由の最上位は上記と同じ「十分な時間を割くことが難しいため」だったが、全体傾向よりも約5ポイント高い39.7%となっている。
まとめ
本調査によって、人的資本経営において重要な要素の一つである「人材育成」の担当者が抱える課題と、解決への取り組みの実施状況が明らかとなった。時間が足りず解決に向けた検討ができていない人が一定数存在しており、同社が指摘しているように、特にミドルマネジメント(中間管理職)の役割を担う課長・係長・主任層にとって、人材育成に時間を割くことが難しい現状も見える。企業側として、人材育成担当者の業務量についても見直す必要がありそうだ。