人的資本経営を進める際の中小企業の課題「業務過多で優先順位が上がらない」が最多 jinjer調査
クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供しているjinjer株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:桑内孝志)は、中小企業の人事担当者302名を対象に「中小企業における人的資本経営の実態」に関する調査を実施。中小企業においては、人手不足などの事業運営に直結する問題が多く存在していることから、「人材の適切な管理と活用は、経営戦略の成功につながる鍵になる」として、中小企業が直面している人的資本経営の現状と課題を明らかにした。戦略的な人材管理に取り組みたいと考えている企業・担当者は参考にしていただきたい。
調査概要
調査概要:中小企業における人的資本経営の実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年8月26日~8月27日
調査対象:中小企業の人事担当者 計302名
出典元:jinjer株式会社(調査結果詳細:中小企業における人的資本経営の実態調査)
約6割が人的資本経営を重要視も取り組みの実施や情報開示はできていない企業が多数
本調査では、人的資本経営をどの程度重要視しているかを質問。その結果「とても重要視している(21.5%)」「やや重要視している(36.8%)」を合わせて58.3%の企業が重要視していることがわかった。
しかし、実際に人的資本情報の可視化・開示に取り組んでいるかについては「取り組んでいる」と回答した企業はわずか11.3%であったという。一方で25.2%が「取り組むために準備をしている」、18.2%が「取り組むことを検討している」と前向きな回答だったことも報告された。
続いて、人的資本経営に対する取り組みを実施している企業を対象に、人的資本情報の可視化・開示の実施について質問。情報を開示している企業はわずか12.3%で、情報を開示せず「人事戦略に基づいた重要な項目をある程度可視化している」企業は22.2%、情報を開示せず「退職率・人件費等、最低限のデータを可視化している」企業は12.9%という結果だったという。
可視化・開示のきっかけと目的 人的資本経営を推進する上での課題は?
また、本調査では「人的資本情報の可視化・開示をしようとしたきっかけ」について質問。「従業員のエンゲージメント向上施策を打つべく状況を把握したいから」「従業員の離職率を下げるための施策を打つべく状況を把握したいから」が、29%の同率で最多意見になったという。そのほか「新規人材の採用につなげる施策を打つべく状況を把握したいから(16.7%)」「経営陣からの要望があったから(11.1%)」という意見も多く挙げられている。
さらに、人的資本情報の可視化・開示をする目的については「経営戦略実現に向けた人材戦略策定のため(26.5%)」「適切な人事評価を行うため(24.7%)」「新規人材の採用強化のため(24.1%)」と、戦略、人事評価、採用に関連した内容が上位に並んだ。
人的資本経営を進めるにあたって、どんな点に課題を感じているかという質問に対しては、「業務過多で優先順位が上がらない」が36,4%でトップ。次いで「採用難など、喫緊の取り組みに対する課題感が大きく思うように進まない(35.8%)」「経営陣の理解が乏しい(30.2%)」「人事部の人数が少なく思うように進まない(26.5%)」が挙げられている。
まとめ
人的資本経営は企業の競争力を高めるために重要な要素でもあり、多くの中小企業が重要視していることがわかる。一方で、思うように取り組めていない会社も少なくないようだ。
フォーバルGDXリサーチ研究所が発表している調査(※1)では、人的資本経営に取り組む中小企業の半数以上が効果を実感したとの結果が報告されている。また、取り組めている企業は人材強化・競合優位性・売上増加といった項目で効果を感じているとされている。
今後の取り組みに向けては、これらの調査結果も参考にしながら、自社での実施状況や課題を見直してみてはいかがだろうか。
※1:〈中小企業の人的資本経営に関する実態調査 第2弾〉フォーバル GDXリサーチ研究所