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中小企業の物価高騰対策、「価格転嫁」が最多 フォーバル GDXリサーチ研究所調査

2024.09.12

フォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業の経営者851人に「中小企業経営に関する実態調査 」を実施。物価高により約7割の企業がマイナスの影響を受けており、中小企業のおよそ5社に1社は資金需要が増加している実態が明らかになった。

9月は価格交渉促進月間 中小企業経営における物価高対策と価格交渉促進の実態を調査

インフレや原材料・エネルギーコストの上昇に伴い「価格交渉」が企業にとって重要な焦点となっている一方で、その理解と実施には企業間でまだギャップがあるのが実情だろう。そうした中、フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業経営における物価高対策と価格交渉促進の実態について調査を実施した。

毎年3月と9月に価格交渉促進月間が設けられていることはご存知だろうか。中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、2021年から中小企業庁が設定しているもので、広報や講習会、業界団体を通じた価格転嫁の要請などが行われている。

本調査では価格交渉促進月間への認知度についても質問している。今後の参考にしていただきたい。

調査概要

調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所
調査期間:2024年7月8日~8月10日
調査対象者:全国の中小企業経営者
調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
有効回答数:851
出典元:中小企業の物価高への対応を調査(フォーバル GDXリサーチ研究所)

円安・物価高による影響は? 約2割の企業で資金需要が発生

円安・物価高による影響は? 約2割の企業で資金需要が発生

本調査結果を見ると、円安の影響について「マイナスの影響を受けている(23.7%) 」「ややマイナスの影響を受けている(26.2%)」と、合わせて約5割がマイナスの影響を受けていることがわかる。「影響は受けていない(44.7%)」とする企業も多く、「ややプラスの影響を受けている(3.6%)」 「プラスの影響を受けている(1.8%)」を合わせてプラスの影響はわずか5.4%にとどまっている。

また、物価高については「マイナスの影響を受けている(33.4%)」 「ややマイナスの影響を受けている(43.2%)」と合わせて、約8割がマイナスの影響を受けていることがわかった。そのほかの回答内訳は「影響は受けていない(17.9%)」「ややプラスの影響を受けている(3.6%)」 「プラスの影響を受けている(1.9%)」となっている。

さらに、物価高の影響による資金需要については、資金需要が「発生した」と回答した企業が18.1%で、約5社に1社の中小企業において、物価高の影響で資金需要が増加していることが明らかになった。

約3割が物価高対策を実施 最も多いのは「価格転嫁」

約3割が物価高対策を実施 最も多いのは「価格転嫁」

続いて本調査では、物価高への対策について質問。「実施している」企業が34.2%で最多であったが、「実施していないが検討している(32.0%)」「実施しておらず検討もしていない(33.8%)」とほぼ三分。対策を実施していると回答した人に対して具体的な対策を聞いたところ、「価格転嫁(86.3%)が最も多く、次いで「固定費の見直し(38.8%)」「生産性の向上(26.8%)」が挙げられている。

対策による効果については「十分に効果を感じている(7.9%)」「やや効果を感じている(53.6%)」と、合わせて6割以上が効果を感じているようだ。

半数近くが価格転嫁に成功も、協議申し入れができていない企業も

半数近くが価格転嫁に成功も、協議申し入れができていない企業も

価格転嫁に対する状況については「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れ、協議に応じてもらった・もらっている(45.7%)」と半数近くの企業が回答しているものの、「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れることができていない(17.0%)」「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れたが、協議に応じてもらえなかった(5.6%)」と、約2割が交渉を実施できていないことが明らかになった。また、今後商品やサービスの値上げをする予定については、46.7%が「ある」と回答している。

本調査では「価格交渉促進月間」の認知度についても質問。「知っており、他の人に説明できる(2.2%)」「知っているが、説明できるほどではない(9.5%)」と、低い認知度であることもわかった。

政府の物価高に対する対応への満足度については「あまり満足していない(42.2%)」「全く満足していない(52.2%)」と、大半の企業が不満を抱いているとの回答が寄せられた。

まとめ

価格転嫁の重要性が増す中、中小企業庁が設定している価格交渉促進月間について認知している企業はごくわずかであることがわかった。中小企業は価格交渉促進月間を活用することで、より適正に価格転嫁がしやすくなる可能性もある。中小企業庁のサイトではフォローアップ調査の結果も公表されているため、参考にしてみてはいかがだろうか。

参考:価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果(中小企業庁)