2024年9月の景気動向、3カ月連続で国内景気は改善へ TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年9月に実施した景気動向調査の結果を発表した。ここでは企業規模別の景気動向について、概要を紹介する。
国内景気は3カ月連続で改善 建設や運送、宿泊などが好調
TDBの発表によれば、2024年9月の景気DIは前月比0.3ポイント増の44.6となっており、3カ月連続での改善と報告されている。
景況感を押し上げる要因となったものとして、TDBはインフラの整備や防災・災害復旧工事、人手不足解消のための省力化に向けた設備投資などがあったと解説。さらに、物流量の増加による貨物運送業界の好調や、連休のレジャー需要、インバウンド需要などもプラス材料に挙げた。
一方で、マイナス材料としては人手不足の影響を受けた受注機会逸失や自動車部品の在庫増、猛暑による特需の一巡、食品値上げ、豪雨などの自然災害を挙げている。
TDBはこうした状況の中、今後の好材料としては観光産業の回復、DX推進、GX政策の拡大、人手不足解消に向けた設備投資があると解説。一方で、物流コストの上昇やインフレの進行、家計の節約志向、世界情勢などが下振れ材料になり得るとして、今後は底堅い推移が予測されている。
2カ月ぶりに全ての規模が改善へ
「大企業」(48.5):前月比0.3ポイント増
8月は前月比横ばいであった大企業が、9月は0.3ポイント増で改善。貸し会議室の好調な稼働などで高水準での推移が続いた「不動産」や、物流量の回復が好材料となった「運輸・倉庫」などがプラス要因となったようだ。
「中小企業」(43.9):前月比0.3ポイント増
中小企業では、人手不足に伴う単価の上昇、IT関連投資などがプラスとなったほか、インバウンド利用の増加や外国人投資家の買い出しなどによる「不動産」の好調を受け、3カ月連続の改善がみられている。
「小規模企業」(43.0):前月比0.5ポイント増
小規模企業は4カ月連続の改善となっている。取引量の活発化に伴い「卸売」では9業種中7業種で改善するなど、上向き傾向が続いたという。また、地震など災害対策によって「建設」に需要増加があったようだ。
調査概要
調査期間:2024年9月13日~9月30日
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査対象2万7093社、有効回答1万1188社、回答率41.3%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2024年9月の景気動向調査(株式会社帝国データバンク)
まとめ
3カ月連続で改善がみられた国内景気は、企業規模別でも全規模が2カ月ぶりにそろって改善。今後も底堅い推移が見込まれているが、石破政権による政策の内容や、米国大統領選挙の行方がどのように影響してくるか、注視が必要だろう。
TDBはそのほかに今後の注目すべき点として、実質賃金の継続的な上昇、金利や為替レート、株価などの金融市場の動向などを挙げた。観光産業や設備投資がどこまで下支えできるか、今後も動向に注目したい。