インボイス制度施行1年。発行で2割以上、受領で3割以上が「処理時間が増えた」 インフォマート調査
株式会社インフォマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:中島健)は、提供する企業のバックオフィス業務をデジタル化するクラウドサービス「BtoBプラットフォーム」の利用企業および未利用の一般企業を対象に「インボイス制度施行から1年が経過した現状に関する実態調査」を実施した。本調査では、制度開始によって経理の現場にどのような変化が起きたかを明らかにしている。
調査概要
調査対象:BtoBプラットフォームの利用企業および未利用の一般企業
調査方法:インターネットリサーチ
調査内容:インボイス制度施行から1年が経過した現状に関する実態調査
調査期間:2024年9月13日~9月20日
回答者:6915名(BtoBプラットフォームの利用企業6579名、未利用の一般企業336名)
出典元:インボイス制度開始後の請求書関連業務に関する実態調査(株式会社インフォマート)
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計した数字が100%にならない場合がある
制度は9割が対応 発行・受け取りともに「処理時間が増えた」との声
本調査ではまずはじめに、2023年10月に開始されたインボイス制度への対応状況を尋ねている。その結果「対応できている(60.5%)」「概ね対応できている(32.1%)」を合わせた9割を超える企業で対応が進んだことが明らかとなった。
また、インボイス制度開始後、電子で発行・受け取る請求書が増えたかとの質問に「増えた」または「少し増えた」と回答した割合は発行側が51.9%、受け取り側が79.2%となったことも報告されている。
続いて、インボイス制度の開始後における請求書関連業務の処理時間の変化について尋ねる項目では、発行で26.2%、受け取りで32.3%が「処理時間が増えた」と回答。特に受領業務の処理に時間がかかっている実態がうかがえる。
具体的な業務として、発行側では「請求書の紙への印刷や、データのアップロード」受け取り側では「発行事業者登録番号の登録作業や、データの紙や指定された場所への保存作業」が要因となって業務負担が増えているようだ。
一方で「データで届くので到着が早まった」「Web上の請求書データを取りに行くだけなので業務が楽になった」といった、デジタル化によるメリットを享受する声も寄せられたという。
経理担当者が苦労しているのは?
次に本調査では、インボイス制度の開始後、一番苦労していることについて質問。最も多く回答されたのは「発行する適格請求書の記載要件チェック(13.6%)」で、次いで「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック(13.3%)」「不備があった場合の修正対応(13.0%)」が続いている。
同社はさらに、紙でのやり取りが多いフード業界と建設業界に絞って、一番苦労していることを質問。フード業界では「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック(21.2%)」が、建設業では「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理(17.5%)」が高い割合を占めたという。各業界での商習慣等によって、インボイス制度に関して手間がかかるポイントは異なるようだ。
まとめ
インボイス制度への対応は進んでいる一方で、依然としてアナログな作業も多く、それらが担当者の負担となっているようだ。業務負担の増加はエンゲージメントの低下や離職も引き起こす可能性があり、改善には積極的に取り組むべきだろう。
本調査では、業界ごとの商習慣等によって、インボイス制度への対応に及ぼす影響も異なる様子が見られた。自社の制度対応にどのような課題があるか、現状の見直しから取り組む必要がありそうだ。