「1on1」68%が実施も時間確保・話題に課題感 継続のために必要なのは? アジャイルHR調査
株式会社アジャイルHR(本社所在地:東京都港区、代表取締役:松丘啓司)は、従業員500名以上の企業に勤めるビジネスパーソン1000人超を対象にインターネット調査を実施。企業のパフォーマンスマネジメントと従業員のキャリアマネジメントをうまく回していくためには上司と部下のコミュニケーションが重要としたうえで、日本企業における「1on1」の実態と課題を探った。
調査概要
調査期間:2024年2月28日~3月1日
調査手法:インターネット調査
調査対象:全国の従業員500名以上の企業に勤める会社員 1124人(インテージ マイティモニター登録者)
出典元:【調査レポート】ビジネスパーソン1,000人アンケートから紐解く企業におけるコミュニケーションの実態 ~ 上司と部下の1on1コミュニケーションの実態と課題 ~(株式会社アジャイルHR)
「1on1」実施率は6割を超えるが、頻度は低いのが実態
本調査結果によれば、対象1124名のうち765名(68.1%)が「勤めている会社で1on1を導入している」と回答。企業規模が大きくなるほど1on1の導入率が高い傾向がみられたことも報告されている。
続いて、1on1の実施頻度について質問。月に1回以上の実施が311名(43.1%)と半数を下回り、410名(56.9%)が四半期や半期に1回と回答している。同社は、1on1の効果を高めるための実施頻度は、一般的に週1回~月1回程度と言われていることを挙げ、実施頻度の低さを指摘した。
合わせて1on1でどのような話をしているのかを質問しており、「日常業務に関する報告・連絡・相談」や「目標やその進捗状況に関すること」などが上位にランクインしたことが報告されている。
1on1の効果、一般社員と管理職で感じ方に違いあり
さらに本調査では、1on1を導入して良かったことや課題、継続していくために必要だと思うことについて質問。
良かったことや効果としては「1on1の相手をよりよく理解することができた」「仕事や職場の課題・悩みをタイムリーに相談・解決できるようになった」が上位に挙げられたという。
同社はこの回答について課長以上の管理職と一般社員を分けて集計。特に管理職のほうが回答率が高かった項目は「1on1の相手をよりよく理解することができた(15.7ポイント差)」だった。その一方、「効果や良さは感じられなかった」という回答は一般社員のほうが12.2ポイント高いという結果となった。
「1on1を継続することで課題に感じること」を尋ねると、(「特に課題はない」を除き)「1on1を実施する時間が取れない」「話す話題が尽きてくる」が上位に。また同じ質問に対して「実施している意味、効果が感じられない」と答えた一般社員の割合が、管理職よりも高かったことも報告された。
1on1を効果的に継続するために必要だと思うことについては、「1on1の効果や成果が見える/感じる仕組みを作る」「上司を対象とした教育を実施する」が上位に。特に「上司を対象とした教育を実施する(7.7ポイント差)」「メンバーを対象とした教育を実施する(5.5ポイント差)」は、一般社員に比べて管理職の回答率が高かったことも判明した。
まとめ
1on1の実施率は6割を超えているものの、実施頻度はそう高くなく、一般社員では効果や良さを感じていない人も少ないようだ。本調査結果を見ると、1on1で話す内容が業務報告や進捗管理となっているケースも多く、同社は「部下の話したいことを十分に引き出せていない可能性がある」と指摘している。
時間も労力もかかる1on1の取り組みを実施しているのに、一般社員側が効果・メリットを感じられていなければ、双方にとって無駄な時間ともなりかねない。上司側(管理職)のスキルアップや実施方法・頻度の見直しなどで、より効果的な1on1の実施と継続を図ってみてはいかがだろうか。