新任・ベテラン・幹部候補、管理職のステージが上がると部下を知ろうとしなくなる? ALL DIFFERENT調査
ALL DIFFERENT株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:眞﨑大輔)および、人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、2024年5月20日~7月17日、同社が提供する管理職向け研修を受講した415名を対象に「管理職意識調査」を実施。管理職の成長や努力に焦点を当てた結果を公開した。
調査実施の背景
働き方の多様化やDXへの対応といったビジネス環境の変化に伴って、管理職業務の複雑化・高度化が進んでいると言われる中、同社の調査では約8割の管理職が「求められることが10年前と比べて変化した」と回答したという。
そこで同社は、仕事の難易度が高まる管理職の実態を明らかにすべく「悩み・課題」「部下育成」「部下へのフィードバック」と3つのテーマに分けたレポートを公開している。同レポートでは半数以上の管理職が「部下の育成」に悩みを抱えており、その場面は役職や経験値によって異なるとの結果が報告された。
今回は、管理職が自身の役割を果たして成長するために、どのような努力をしているのか、成長するために会社に求める支援はどういったものなのかを明らかにしている。
参考:特別調査レポート第4弾 組織・チームのあり方の変化に関する意識調査(ALL DIFFERENT株式会社)
参考:管理職意識調査(悩み・課題編)(ALL DIFFERENT株式会社)
参考:管理職意識調査(部下育成編)(ALL DIFFERENT株式会社)
参考:管理職意識調査(部下へのフィードバック編)(ALL DIFFERENT株式会社)
調査概要
調査対象者:同社が提供する管理職向け研修の受講者
調査時期:2024年5月20日~7月17日
調査方法:Web・マークシート記入式でのアンケート調査
サンプル数:415名
出典元:管理職意識調査(努力編)(ALL DIFFERENT株式会社)
※本レポートでは、課長クラス以上の管理職(以下「管理職」と記載)のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と3つのステージに分類し、ステージ別に比較
管理職の課題感と役割を果たすために努力していること
本レポートではまずはじめに、管理職としての役割を果たす中で、課題を感じることがどれほどあるか、実感度合いを尋ねた結果について報告。「とてもよくある」「よくある」と回答した割合は、新任管理職では79.1%、ベテラン管理職では64.7%、幹部候補では53.0%となっており、ステージが低い管理職ほど、自身の役割に対して課題を感じやすいことが判明した。
続いて、管理職としての役割を果たすために努力していることについて各ステージの違いを分析。新任管理職では「部下のことをよく観察する(53.6%)」「聞く力を強化する(53.6%)」と回答した人が最も多く「部下の強み・弱みを知る(51.8%)」が続いている。
ベテラン管理職では「部下の強み・弱みを知る(54.3%)」がトップとなり「部下のことをよく観察する(45.7%)」「聞く力を強化する(43.1%)」が続いたという。
幹部候補の回答は「部下の強み・弱みを知る(47.0%)」「部下のことをよく観察する(43.9%)」「経営の方針を深く理解する(42.4%)」が上位となっている。
部下への理解に関心が向いている共通点はありながらも、その割合については、ステージが低い管理職ほど高いようだ。
自身の知識・スキルを伸ばす努力
続いて報告されたのは、自身の知識・スキルを伸ばすために努力していること。新任管理職は「経営陣・上司・同僚に助言を求める(54.5%)」がトップで、他ステージに24ポイント以上の差をつけている。次いで「新しい知識・スキルを習得するためにセミナーを受講する(36.4%)」「社内の関係者と積極的に関係性を構築する(31.8%)」が続いた。
ベテラン管理職では「新しい知識・スキルを習得するためにネットメディアを閲覧・視聴する(37.9%)」「新しい知識・スキルを習得するために書籍・雑誌・新聞を読む(33.6%)」「自身の現在の知識・スキルについて把握する(33.6%)」との回答に。
幹部候補は「新しい仕事の取り組み方を積極的に試す(40.9%)」が、他ステージよりも19ポイント以上高く、トップの回答となった。次に「新しい知識・スキルを習得するためにネットメディアを閲覧・視聴する(37.9%)」「新しい知識・スキルを習得するために書籍・雑誌・新聞を読む(36.4%)」が続いている。
役に立った会社からの成長支援
最後に本レポートは、成長の役に立った会社からの支援について質問した結果を報告。新任管理職の上位回答は「上司とのコミュニケーションの機会(40.0%)」「eラーニング等、自己学習制度(31.8%)」「会社からの役割や期待の伝達(27.3%)」だったという。
ベテラン管理職では「上司とのコミュニケーションの機会(33.6%)「eラーニング等、自己学習制度(28.4%)」「職場の雰囲気・文化(23.3%)」が、幹部候補では「eラーニング等、自己学習制度(40.9%)」「経営層とのコミュニケーションの機会(39.4%)」「上司とのコミュニケーションの機会(34.8%)」「上司との定期面談(34.8%)」が上位に挙げられている。
他ステージと比較した結果として、幹部候補では「eラーニング等、自己学習制度」「上司との定期面談」「経営層とのコミュニケーションの機会」「ジョブローテーション」「キャリア支援制度」が突出したことも報告されている。
まとめ
同社は管理職の役割について、ステージを問わず「継続的に組織の成果を創出すること」が重要だとして、メンバーが抱える課題と向き合うことはもちろん、自身の課題を把握し、成長に向けた努力をしていく必要があると指摘する。
本レポートではステージが上がるほど自身の課題感への実感度合いが下がっていく様子が見られた。ステージが上がることによって課題を克服できている可能性もあるが、自身の課題を認識しづらい環境になっているとも考えられるだろう。
企業として管理職に対する適切な支援体制が整っているか、成長を促す環境を提供できているか、改めて見つめ直す機会としてみては?