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上場企業の「早期・希望退職募集」対象人員、2024年は前年同期の3倍以上に TSR調査

2024.11.20

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2024年1月から11月15日までに「早期・希望退職募集」の具体的な内容を確認できた上場企業の情報を集計・分析し、発表した。TSRによれば、すでに2023年の年間社数・人数を上回っているという。なお、本調査は2024年11月15日公表分までの「会社情報に関する適時開示資料」とTSRの独自調査に基づくもの。

社数は前年同期比で約1.5倍、人数は3倍以上

TSRによると、2024年1月から11月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業はすでに2023年の年間社数、人数を上回っている。社数は53社で、前年同期(36社)の約1.5倍のペースで推移していることが判明。対象人員は、9219人で前年同期(2915人)の3倍を超えており、このペースで推移すれば、2021年以来3年ぶりの1万人超えとなることがほぼ確実だとしている。

TSRによると、国内外で9000人を募集する日産自動車、人数の上限を設定しない武田薬品工業、募集人数は未公表だが200億円の費用計上を発表した富士通、50歳以上の社員を対象に1000人を募集する第一生命ホールディングスなど、年末を迎えて人数非公開の大型募集が相次いでいる状況のようだ。これまでの募集は、黒字企業が事業やエリアを絞り構造改革や事業全体の変革を目的にした募集が中心だったが、ここにきて様相が変わってきたという。

上場区分は東証プライムが37社(構成比69.8%)と圧倒的に多く、直近決算で黒字企業が32社(同60.3%)と6割を占めた。

出典元:2024年の「早期・希望退職」募集1万人が目前 上場企業53社、人数非公開の大型募集相次ぐ(株式会社東京商工リサーチ)

業種別は「電気機器」が最多 特別損失計上額の最高は210億円

業種別は「電気機器」が最多 特別損失計上額の最高は210億円

TSRは業種別の分析結果についても報告。最多となったのは「電気機器」で、募集人数は非公表だが200億円の費用計上を発表した富士通、複合機事業を手がけるリコー、液晶ディスプレイ製造を手がける堺ディスプレイプロダクトの従業員を対象にしたシャープなどの13社(前年同期5社)となっている。次いで「情報・通信業 8社(同8社)」「繊維製品 4社(同2社)」「医薬品 4社(同5社)」が続いた。

また、「早期・希望退職募集」に対する特別損失の計上額が判明した上場企業は24社で、最高はオムロンの210億円であることが判明。次いで、コニカミノルタと富士通の200億円、資生堂の180億円、三菱ケミカルグループの165億円、リコーの160億円と続いている。

まとめ

TSRの調査によれば、これまでの傾向から変化した点として、募集人数を公表しない募集や、グローバル企業の国内外での大規模募集の実施がみられたという。この状況についてTSRは、変化する世界経済への対応や新規分野への進出で既存分野の縮小、撤退による人員削減など、改革を急ぐ企業の動きが反映されていると分析。今後も大型募集が続く可能性を指摘している。

2024年9月までの同社の調査では、募集対象者が低年齢化している傾向も注目が集まっていた。他の企業にとっては即戦力となり得る優秀な人材の獲得機会が続くとも言え、採用担当者は今後も動向に注目していただきたい。

出典元:上場企業の「早期退職」募集 46社 人数は前年同期の約4倍 複数回募集が増加、対象年齢は30歳以上など引き下げ傾向(株式会社東京商工リサーチ)