コロナ禍後も業務量が増加する総務部門、いま求められるサポートとは 月刊総務調査
株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の総務担当者を対象に「総務のキャリアについての調査」を実施した。ここでは調査結果の概要をお伝えする。
調査概要
調査名称:総務のキャリアについての調査
調査機関:株式会社月刊総務
調査対象:「月刊総務」読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年10月9日〜2024年10月16日
有効回答数:160件
出典元:総務は自身の成功よりも組織の成果を重視。総務経験年数が長いほど「総務を続けたい」意欲あり(株式会社月刊総務)
経験年数が長いほど勤続意向は上昇
本調査ではまずはじめに、総務になったきっかけについて尋ねており「会社の方針で配属された(60.6%)」「自ら志願した(30.6%)」との結果が報告されている。キャリアに対する満足度については、自ら志願した人の方が高いようだ。
また、総務職としての転職経験について「ある」と答えた人は28.1%にとどまっており、長く同じ企業でキャリアを積む総務担当者が多いことがうかがえる。
続いて本調査では、総務の仕事に対する今後の意向について質問。経験年数が長いほど「ずっと総務を続けたい」と答える割合が高まる傾向にあることが報告されている。また、どの経験年数の層でも「特に意向はない」と回答した割合は一定数存在。特に「1年未満」と「6~10年」の経験者ではそれぞれ42.9%と25.6%と高い傾向が見られた。
さらに、将来のキャリアについては「総務の現場の仕事を続けたい(35.6%)」と回答した人が最も多いという。次いで「今の会社で経営層になりたい」「別の会社で違う職種のキャリアを積みたい」がそれぞれ22.5%で続いたことが報告された。
総務部門の役割や重要度は?業務量は増加傾向
次に本調査では、総務部門の役割や重要度について質問。「とても増すと思う」と「やや増すと思う」が合わせて78.8%と8割近くに及んでいる。
また、コロナ前と比較した現在の総務部門の業務量については「やや増加」と「大幅に増加」を合わせた割合が56.9%に。多くの企業で総務担当者の業務量が増加しているようだ。一方で、51.3%が人員が「変わらない」と回答したことから、同社は一人当たりの業務負担が増加している可能性を指摘する。なお、現在の総務部門の人材の充足状況については「大幅に不足している」と「やや不足している」が合わせて60.6%と報告された。
総務のやりがいと仕事のモチベーション 重視するのは組織としての成果
総務の仕事で最もやりがいを感じる部分については「社内全体のサポート(37.5%)」「業務の効率化や改善(18.8%)」との回答が上位に挙げられている。また、仕事をする上でのモチベーションについては「従業員からの感謝の言葉(45.6%)」「社内からの評価(43.1%)」「スキルの向上(41.9%)」と考える人が多いようだ。
さらに本調査では、仕事をする上で重視する点について質問。「組織として成果を出すこと、メンバーと成功を分かち合うこと(62.5%)」「自分自身の成功やスキル・キャリアアップ(37.5%)」との回答から、自身の成功よりも組織全体の成果を優先する意向がうかがえる。
総務部門のキャリア形成 明確なキャリアパスがある人は2割未満
続いて、会社からのキャリア成長のサポートについて尋ねる項目では、役職なしの総務担当者は「全くサポートしていない」「あまりサポートしていない」が合わせて70.2%と高い割合を示しており、サポート不足を感じる傾向にあることが判明。役職が高いほどサポート満足度が上昇する傾向が見られたという。また、役職が高いほど現在のキャリアに対する満足度も高い傾向にあることがわかった。
さらに、総務部門でのキャリアパスについて尋ねる項目では「とても明確だと思う(4.4%)」「やや明確だと思う(13.1%)」が合わせて17.5%に留まったことが判明。「あまり明確ではない」「全く明確ではない」は合わせて82.5%と高い割合になった。
スキル・キャリアアップへの取り組み 生成AIは4割が利用
リスキリングや自己啓発の取り組みについては「ビジネススキルの向上(53.8%)」が最も多く挙げられており、次いで「社外セミナーや展示会への出席(50.0%)」「新しい業務ツールの習得(36.3%)」が続いたという。
キャリアアップに必要だと感じるスキルについては「専門知識の深堀り(65.0%)」「マネジメントスキル(60.6%)」「プロジェクト管理能力(44.4%)」に多くの回答が集まっている。
また、生成AIの業務利用については「とても利用している」と「やや利用している」が合わせて40.0%に。利用用途としては「情報収集(65.6%)」が最も多く挙げられた。
まとめ
総務部門の働き方の現状やキャリア成長の実態が明らかになった。経験年数が浅いほど他職種への転換意向を高く示しており、役職がない人ほどキャリア成長のサポート不足を実感しているという。
業務負担の増加や人手不足の現状も判明しており、こうした要因から若手の総務担当者へのサポートが手薄になっている可能性も推察される。業務の効率化やスキル・キャリアアップに向けたサポート体制の整備について、改めて検討する機会としていただきたい。