DX進捗度「全体的に不十分」が約4割 タナベコンサルティング調査
株式会社タナベコンサルティング(本社:東京都千代田区・大阪市淀川区、代表取締役社長:若松孝彦)は、全国の企業経営者、役員、経営幹部、部門責任者、デジタル担当者などを対象に実施した「2024年度 デジタル経営に関するアンケート」の結果を発表した。
調査概要
調査対象:全国の企業経営者、役員、経営幹部、部門責任者、デジタル担当者など
調査期間:2024年8月19日~2024年9月6日
調査エリア:全国
有効回答数:計312件
※各図表の構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある
出典元:デジタル経営に関するアンケート調査レポート 2024年(株式会社タナベコンサルティング)
DXの取り組み進捗度「全体的にまだ不十分」
本調査ではまずはじめに、DXの取り組み進捗度について質問。最も多い回答が「全体的にまだ不十分(37.2%)」で、次いで「複数の“業務”でデジタル活用(25.0%)」が続いたことが報告されている。
同社はこの結果について、昨年度の回答結果と比較。 「全体的にまだ不十分」は6.9ポイント増加し「複数の“業務”でデジタル活用」は2.4ポイントの微増であったという。
DX戦略の状況については32.7%が「デジタル施策は場当たり的」と回答しており、次いで「DX戦略はあるが推進度に課題」が26.3%に。経営の優先度や担当者のスキルが影響し、DX戦略の策定自体がハードルの高いものになっており、策定しても推進までは至らない様子がうかがえる。
また、DX体制の状況については「DX推進部門を保有(専任あり、兼任中心)」と回答した企業が合わせて38.8%となり、昨年と比較して増加したことが報告されている。一方で、DX推進部門を保有していても兼任中心となっている割合が昨年よりも7.0ポイント増加していることから、同社はDXの需要に対する組織はつくったものの、専門人材が不足している状況にあるとの推察を示した。
デジタルマーケティングの取り組み状況
続いて本調査では、デジタルマーケティングの取り組み成果について質問。「現在実施はしていないが、これから取り組みたい(33.7%)」が最も高い回答率を示しており、未だにマーケティングのデジタル化に着手できていない企業が多いようだ。
さらに「デジタル施策は実施しているものの、成果に結びついていない」が29.6%となった一方で、施策によって何かしらの成果に繋がっている回答は合計すると約30%に。成果創出ができている企業とできていない企業が二分されていることがわかる。
同社はマーケティング活動でのデータ活用度について「結果と対策が結びついていない(14.4%)」が昨年から3.5ポイント増加していることに注目。データに基づくマーケティング活動ができていない企業が多いと指摘する。
また「有用なマーケティングデータがつかめていない」と回答した企業のうち、データ管理レベルは「顧客データは表計算ソフトレベルで管理(44.2%)」が最多になったことも報告された。
一方で「必要なデータが蓄積され経営判断に活用されている」と回答した企業でも、そのうち31.0%は「Excelでデータ加工している」状態にあるという。システム導入まで至らなかったとしても、自社にとって必要なデータが何かを定義できていることが、データを経営判断に活かすための重要な要素であることが示唆された。
まとめ
単なるデジタル化ではなく、企業変革として取り組むべきDXだが、専門人材の不足が深刻化しているようだ。DXの進捗度を高めるには、人材育成や推進体制の整備を進めることが最優先とも考えられる。
本調査ではデジタル技術を活用したデータ活用の取り組みの重要性も改めて示されている。データを経営判断に活用している企業のうち、約3割は専門のシステムを使わずExcelでデータを加工しているという。導入するシステムの検討を進める前に、改めて自社においてどんなデータが必要かを考える機会としてみてはいかがだろうか。