「103万の壁」の引き上げに約9割が「賛成」 フリーウェイジャパン調査

株式会社フリーウェイジャパン(本社:東京都中央区、代表取締役:井上達也)は、中小企業・零細企業の代表取締役・個人事業主225人、従業員164人の計389人を対象とした「年収の壁と働き控えに関するアンケート」を実施。年収の壁による影響や103万の壁引き上げへの賛否を明らかにした。
調査概要
調査タイトル:「年収の壁と働き控えに関するアンケート」
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2025年1月10日~1月16日
調査対象:中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主389人
出典元:株式会社フリーウェイジャパン
「年収の壁」による働き控えがもたらす人手不足の実態

本調査では「Q3 いわゆる「年収の壁」があることで、身の回りのアルバイト・パートの方が”2024年に”働き控えをしていましたか?」と質問。「そう思う(44.3%)」「どちらかというとそう思う(24.3%)」との回答から、7割近くが働き控えが起こっていると感じていることが明らかになった。
なお、2024年の働き控えに最も大きく影響したものとしては「103万円の壁(38.0%)」「130万円の壁(35.5%)」が上位に挙げられている。
続いて「Q5 アルバイト・パートの方が働き控えをしていることで、2024年の年末に人手不足を感じましたか?」との質問では「どちらかというとそう思う(36.3%)」「そう思う(35.5%)」との回答が、合わせて7割を超えた。
この人手不足への対応としては「少人数で対応した(1人当たりの負担は大きくなった)(75.8%)」との回答が大半を占めている。さらに、経営的にも機会損失に繋がったと感じている人は8割(「そう思う(53.6%)」「どちらかというとそう思う(32.3%)」)を超えたことが明らかになった。
「103万の壁」の引き上げに約9割が「賛成」

本調査では次に「103万の壁」の引き上げについて、どのように思うか質問しており「賛成」が90.7%であったと報告されている。
具体的な引き上げ額として妥当だと思う金額は「178万円(46.2%)」「150万円(27.5%)」と考える人が多いようだ。
また「103万の壁」の引き上げが実現した際に期待をすることとしては「労働者の手取りが増え、世の中の消費活動が活発になること(74.8%)」「働き控えが緩和され、人手が増え、自社の経営活動が活発になること(49.6%)」「シフト数が多く、経験の長いリーダー格のアルバイト・パートの方に任せられる時間が増えること(30.0%)」が挙げられている。
働き控えを解消するには?最多の懸念は「130万円の壁」

続いて本調査では「103万の壁」について、どれくらいの引き上げが起これば社会全体で働き控えが解消されると思うか質問。「178万円(35.5%)」「働き控えは解消されないと思う(29.6%)」「150万円(21.3%)」との回答が上位に並んでいる。
同社は「働き控えは解消されないと思う」と回答した人を対象に、その理由を尋ねており「130万円の壁(従業員が50人以下の企業においても、年収130万円を超えると扶養を外れて社会保険料の支払いが発生)を意識して働き控えするパート・アルバイトが多いだろうから(35.7%)」との回答が最多となったことを報告した。
まとめ
本調査では多くが103万の壁の引き上げに賛成する一方で、約3割は103万の壁が引き上げられても働き控えは解消されないと考えていることが明らかになった。その理由としては130万の壁が多く挙げられている。103万だけではなく、複数存在する年収の壁全体の対策が行われなければ、根本的な課題の解決には至らない可能性が高いことが示唆されたと言えるだろう。
社会全体の大きな課題となっている人手不足の解消には、パート・アルバイトといった短時間労働者の活用も重要となる。今後政府がどのように対策を講じていくか、引き続き注視したいところだ。また当面の対策としては「年収の壁・支援強化パッケージ」を活用するという手がある。今後の活用について検討してみてはいかがだろうか。
参考:年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省)