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2024年度倒産件数は11年ぶり1万件超えの1万70件 TDB調査

2025.04.09

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年度の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計し、分析を行った。2024年度の倒産件数は1万70件と、11年ぶりに1万件を超えたという。集計結果の概要について紹介する。

調査概要

集計期間:2024年4月1日~2025年3月31日
発表日: 2025年4月8日
集計対象:負債1000万円以上、法的整理による倒産
出典元:倒産集計 2024年報(1月~12月)(株式会社帝国データバンク)

11年ぶりの1万件超え 負債5000万円未満の倒産は2000年度以降最多

11年ぶりの1万件超え 負債5000万円未満の倒産は2000年度以降最多

TDBは2024年度の倒産件数について、前年度の8881件から13.4%増え1万70件となったことを報告した。前年度を上回るのは3年連続で、1万件を超えたのは2013年度(1万102件)以来11年ぶりだという。また、負債5000万円未満の倒産は2000年度以降で最多となり、中小零細規模の倒産が増加したことが明らかになった。

なお、負債総額は2兆2525億7200万円(前年度2兆4344億7400万円)で、前年度から7.5%減少したものの、3年連続での2兆円超えとなっている。

TDBは業種別の集計結果についても報告しており、全業種で前年度を上回ったことが明らかになっている。さらに『建設業』『製造業』『小売業』『運輸・通信業』『サービス業』『不動産業』の6業種が過去10年で最多を更新したという。業種別で最も多いのは『サービス業(前年度2187件→2638件、20.6%増)』で、次いで『小売業(同1874件→2109件、12.5%増)』『建設業(同1749件→1932件、10.5%増)』が続いている。

なお地域別でも、9地域中8地域で前年度を上回り『北海道』を除く8地域が過去10年で最多となったことが明らかに。都道府県別では、41都府県が前年度を上回り『北陸』『中部』『四国』では全県で前年度を上回ったという。

倒産主因別の集計結果

倒産主因別の集計結果

さらにTDBは、主因別の集計結果も報告している。全体の82.0%(対前年度2.9ポイント増)で最多となったのは「販売不振(前年度7027件→8261件、17.6%増)」だったという。なお「売掛金回収難(同44件→49件、11.4%増)」や「不良債権の累積(同15件→16件、6.7%増)」などを含めた『不況型倒産』の合計は8389件(同7155件、17.2%増)と報告された。

また目立った主因として、2000年度以降で最多を更新した「経営者の病気、死亡(前年度285件→316件、10.9%増)」や、過去10年で最多となった「放漫経営(同146件→162件、11.0%増)」が挙げられている。また「設備投資の失敗(同38件→46件、21.1%増)」は3年連続で前年度を上回ったという。

※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を『不況型倒産』として集計

倒産態様別の集計結果

倒産態様別の集計結果

続いてTDBは、倒産態様別の集計結果を報告しており『清算型』倒産の合計が9804件(前年度8630件、13.6%増)となったことを明らかにした。構成比は2000年度以降で最も高くなり、全体の97.4%を占めたという。『再生型』倒産は266件(同251件、6.0%増)発生している。

『清算型』では「破産(前年度8333件→9435件、13.2%増)」が最も多く「特別清算(同297件→369件、24.2%増)」は、2005年度(373件)に次いで過去2番目に多かったことが判明。

『再生型』では「会社更生法」が寛一商店㈱などグループ9社を含む13件(前年度1件、1200.0%増)となったことが報告されている。また「民事再生法(同250件→253件、1.2%増)」のうち個人が198件、法人が55件で、法人は2000年度以降で最も少なかったことも明らかになった。

まとめ

TDBの発表したレポートでは、このほか主要なポイントとして「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」が初めて前年度を下回った一方で「人手不足倒産」や「物価高倒産」が過去最多を更新したことが挙げられている。11年ぶりに1万件を超えた倒産件数だが、その背景にはこうした人手不足や物価高が強く影響していると推察される。

また、5000万円未満の倒産件数が2000年度以降で最多を更新した点についても注目したい。前年から16.9%増加しており、中小零細規模の倒産が目立っている。価格転嫁の難しさや賃上げなどが苦しい状況へ追い込んだ可能性も高いだろう。

TDBは今後の見通しとして「2025年の企業倒産は「新陳代謝」と「優勝劣敗」が加速する1年になる」とコメント。今の厳しい外部環境が好転する兆しはないことから、2025年も緩やかな増加局面が続くとみているようだ。