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【前編】若手・第二新卒の選考をうまく進めるポイント【中小企業の“令和流” 若手・第二新卒採用を成功させる秘訣 Vol.3】

この数カ月、採用活動に関するご相談をいただくことが急激に増えています。企業の採用ニーズが増す中で、「若い応募者がこない」「良い人に会えても辞退されてしまう」といったケースです。

特に、せっかく良い人に出会えたのに選考途中や内定後に辞退されてしまうと、そこまでに投下した工数や費用のロスに加えて、精神的にもがっくりくるものです。今回は、第2回「応募者を集めるポイント」に続いて、応募してきた若手を惹きつけ、選考をうまく進めるためのポイントを紹介します。今回紹介するポイントは若手・第二新卒選考における基本です。既に実践されている企業が多いと思いますが、徹底度が十分か是非ご確認ください。

後編はこちら

選考は「口説く」場である

まず大前提として、採用選考は「口説く」場であるということです。もちろん採用基準を下げましょうという話ではありません。解雇規制の厳しい日本において、自社に合わない人を採用してしまった際のダメージは小さなものではありません。従って、選考基準を下げる必要はありません。しかし、選考基準を下げないからこそ、採用選考は「口説く」ことが大切になります。

【自社で採用したい応募者は他社でも内定を獲得する】
新卒採用でも中途採用でも、求職者が1社のみに応募しているというケースは殆どありません。つまり、自社で選考している人は、他社にも応募しています。そして、採用基準を下げないわけですから、貴社で採用したいと思う人は、他社でも内定を獲得する人材でしょう。その意味で、採用したい人物を採るうえでは、常に採用企業側が「選ぶ立場であると同時に、常に選ばれる立場」でもあるのです。

これを踏まえて、採用選考は相手を見極めると同時に、応募者の「志望度をあげる」ことを意識する必要があります。とりわけ選考前半は、応募者もまだ持っている情報量が少なく、自社は「求人票を見て何社か応募したうちの1社」です。したがって企業側から情報提供して、志望度をあげることが重要であり、選考前半で「志望度が低いからNG」という判断をしていると採用活動はうまくいかないでしょう。

【口説くとは「選ぶ理由」を提供すること】
では、採用選考で「口説く」とは何をすれば良いのでしょうか。大切なことは「自社を選ぶ理由」を提供するという視点です。たとえば、事業内容、仕事内容、待遇、福利厚生などの情報を説明する際に淡々と説明していないでしょうか。説明する中で、きちんと他社との違い、成長性や安定性、身に付くスキルや市場価値、安心感といった要素を盛り込み、相手に志望理由や意思決定理由を提供することが大切です。

説明会であれば、提供する情報は一般的なものになることが多いかもしれません。しかし、面接等であれば1対1です。相手の状況や価値観、志向性を踏まえて、情報提供することが大切です。成長志向の相手であれば事業の成長性や身に付くスキル・市場価値について、逆に安定志向の相手であれば、会社の安定性や待遇や勤怠管理の部分などをきちんと説明することで安心してもらえるでしょう。

【大事なのは「ワクワクさせる情報」と「安心させる情報」】
提供する情報は大きく分けると2つに分けられます。1つは「ワクワクさせる情報」です。会社の将来性、事業の社会貢献性、身に付くスキルや市場価値、築けるキャリアの可能性、待遇の上昇余地といった要素です。“尊敬できる上司”や“ロールモデルになる先輩”といった社員の存在もワクワクする情報のひとつです。

Z世代と呼ばれる今の若手・第二新卒層は、早期のキャリア形成志向、社会貢献性の重視といった特徴があります。ワクワクする情報を発信するうえでは、こうした価値観も踏まえて伝えると良いでしょう。

提供する情報のもう1つは「安心させる情報」です。若手・第二新卒層の会社選びにおける傾向としてワークライフバランスやブラック企業への警戒心があることは前回までに紹介した通りです。従って、残業の発生や休日出勤の有無、繁閑期の状況、会社の安定性、社風や上下関係、また女性であれば産休・育休からの復帰状況を提供する、ロールモデルとなるママ社員との面談を組むなど、安心感につながる情報をきちんと伝えることが大切です。

安心感につながる情報は、応募者からすると“わがまま”やネガティブに聞こえかねないと質問しにくい側面もあります。また、非上場企業の場合、外から見てわかる情報が限られるため、不安が掻き立てられやすい傾向もあります。会社側からきちんと発信することが大切です。

なお、安心させる情報を発信する時には、全てをきれいに見せ過ぎようとしないことも大切です。どんな会社でも未整備の部分があったり、仕事の中できつい部分があったりするものです。ワクワクさせる情報とのバランスに注意しながら、「ここは今後整備していきたいけど、いまは未整備です」「繁忙期にはこういうこともあります」といった実態をきちんと伝えることで、発信する情報に信頼感が生まれますし、入社後ギャップも防ぐことができます。

次回は「若手・第二新卒の選考をうまく進めるポイント」後編

若手・第二新卒の採用活動を成功させるためのステップのうち、採用選考における基本スタンスについて解説しました。採用選考を「口説く」というスタンスで実施し、面接等を通じて、応募者に「ワクワクさせる情報」と「安心できる情報」という2つの側面から自社を選ぶ理由を伝えましょう。そうすることで、応募してきた若手を惹きつけ、選考をうまく進めることができます。

次回の「若手・第二新卒の選考をうまく進めるポイント」後編では、「選考基準/選考で重視するポイント」についてお伝えします。ぜひご覧ください。