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【後編】若手・第二新卒の選考をうまく進めるポイント【中小企業の“令和流” 若手・第二新卒採用を成功させる秘訣 Vol.3】

コロナ禍の終わりと共に企業の採用ニーズが増している中で、採用活動に関するご相談をいただくことが急激に増えています。そこで前回は、「応募してきた若手を惹きつけ、選考をうまく進めるためのポイント」として、『採用選考を「口説く」というスタンスで実施し、面接等を通じて、応募者に「ワクワクさせる情報」と「安心できる情報」という2つの側面から自社を選ぶ理由を伝えること』についてお伝えしました。

そして今回の後編では、「選考基準/選考で重視するポイント」について紹介します。前回に続き、若手・第二新卒選考においては基本的な内容であるため、既に実践されている企業が多いと思いますが、徹底度が十分か是非ご確認ください。

前編はこちら

「ポテンシャルと人柄」に注目して選考する

若手・第二新卒の採用は、ポテンシャルと人柄に注目して選考することも大切です。

【中小企業が「活躍する人材」を採用するためのポテンシャル採用】
若手や第二新卒採用の対象は社会人経験がある層が含まれますので、十分な母集団がある場合には職種経験やスキルなどの即戦力性も考慮して選考することはもちろん問題ありません。

しかし、充分な母集団がない中で職種経験などに重きを置くことは、採用に失敗する原因になり得ます。

経験層も同じですが、同業界や同職種で転職する場合は、「待遇改善やキャリアアップを狙った前向きな転職」もしくは「ネガティブな理由による転職」に大別できます。自社が、その職種や業界において高待遇な会社、またはキャリアアップの観点で特に魅力的な会社であれば良いですが、そうとは言えない場合、ネガティブな理由で転職する人材を採用することが多くなるでしょう。ネガティブな理由による転職が悪いわけではありませんが、何かしら本人にも責任があるケースも多いものです。その場合、職種経験があるからといって、即戦力としては活躍しない可能性もかなりあります。

若手・第二新卒の場合は「新卒入社した先で配属された部署や職種が思っていたものと違った」「ある職種を経験した上で違う職種に挑戦したい」といった人材も多数います。中小企業の場合には、ポテンシャルと人柄を重視して選考し、「採用してから育てる」と考えたほうが、自社で将来活躍する人材を採用できる可能性は高くなるでしょう。

業界や職種知識、必要スキルというのは、特に専門性が高い職種でなければ、一定期間で身に付きます。応募時点での経歴や保有スキルよりも、成長のポテンシャルとなる素直さ、行動力、達成欲などの性格特性、また基礎学力や論理性を重視した方が、結果的に伸びる人材を採用できます。

【ポテンシャル採用における採用基準の考え方】
採用基準を考えるうえでは、
① 配属予定の業務で、成長・活躍するための要素が何かを考える。
(既存社員に適性検査等を実施することもおすすめです)
② 考えた要素のうち、入社後にトレーニングできるスキルや要素は重視しすぎない。
もしくは、それを身に付けるための性格特性等に落とし込む
Ex)営業経験⇒関係構築力、ロジカルシンキング、達成欲etc
というステップで考えると良いでしょう。

カルチャーフィットを重視する

ポテンシャルや人柄を重視して採用する上では、カルチャーフィットを意識することも大切です。

【合わない人材を採用しない重要性】
カルチャーフィットとは、自社の文化や価値観と、応募者個人の価値観や性格特性の一致度です。最近は、自社の文化や価値観を「バリュー」などで言語化している企業も増えています。

カルチャーフィットの対になる言葉がスキルフィットです。スキルフィットは、業務で必要となるスキルや資格、経験などを重視して採用することを言います。スキルフィットとカルチャーフィット、どちらも大切な要素ですが、前述の通り、若手・第二新卒の場合には、人柄・ポテンシャルという要素を重視して採用する方が成功確率は高まります。

そして、ポテンシャル採用をするときには、「自社のカルチャーに合わない」人材を採用しないことが、特に大切です。従業員数が少ない中小企業の場合、カルチャーに合わない人材を採用すると離職につながる可能性が高まりますし、優秀であるほど組織に悪影響を与える可能性が高まります。

組織開発の分野において、“優秀で仕事ができる嫌な奴”のことを「ブリリアントジャーク」と呼び、組織から排除すべき存在とされています。ブリリアントジャークのように“嫌な奴”ではないにしても、たとえば、「保守的な集団のなかに、エッジの効いた革新的な若手を入れて刺激したい」「人間関係を重視する組織の中で、一匹狼タイプの人材を入れる」といったことは大抵の場合、上手くいきません。周囲をリードできるレベルの経験や実力を持っている中途人材で、組織トップの後押しがある場合は別ですが、ポテンシャル採用の若手・第二新卒クラスに「組織に良い変化を起こして欲しい」と期待するのは難しい注文です。大抵の場合、組織に馴染めずに十分な成果をあげられないまま早期離職することになります。

採用選考で自社に馴染む確信を持てないときには、自分以外の他メンバーに会わせることが良いでしょう。また、経営層が面接して“表現できない違和感”がある場合は採用を見送ることがお勧めです。

次回は「内定辞退を減らすノウハウ」

若手・第二新卒の採用活動を成功させるためのステップのうち、採用選考における基本スタンスを前編・後編に分け解説しました。解雇規制の厳しい日本において、合わない人を採用した時のダメージは長引きます。従って、採用基準を下げる必要はありませんし、カルチャーフィットに違和感がある時は採用を見送ったほうが良いでしょう。

そして、だからこそ採用選考を「口説く」というスタンスで実施することが大切です。面接等を通じて、応募者に「ワクワクさせる情報」と「安心できる情報」という2つの側面から自社を選ぶ理由を伝えましょう。そして、応募時点でのスキルフィットではなく、人柄とポテンシャルを重視して選考することで、活躍する人材を採用できる可能性は高まるでしょう。

若手・第二新卒の採用を成功させるには、Z世代の価値観も押さえて、採用活動の各ステップを磨き上げていくことが大切です。次回は「内定辞退を減らすノウハウ」というテーマでより具体的なポイントをお届けします。ぜひご覧ください。