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中堅社員をくすぶらせない!人材育成の今【中小企業の組織づくり~いまこそ階層別育成の時代 Vol.4】

皆さんの組織にはどのような役職の方がいらっしゃるでしょうか。部長、課長はあるとして、最近課長、係長、主任といった役職はない、あるいは、部長も課長もない、というケースもあるでしょう。スタートアップ企業だと、階層が3階層程度…ということも珍しくありません。そもそもピラミット構造ではなく、フラット化しているという企業もあり、それが肯とされるような気運があります。ところが、いざ組織運営をしてみるとフラットな組織の運営難易度は非常に高く、あらためて階層別組織の良さが見直されているように感じています。そこで本連載では、中小企業の組織づくりをテーマに、階層別育成の考え方について解説していきます。ぜひ、自社の組織づくりに生かしていただければ幸いです。
第4回は、中堅社員に期待される役割と実践へのつなげ方のヒントをお伝えできればと思います。

●前回のコラムはこちら:第1回/第2回/第3回

目次

(1)中堅社員の特徴
(2)期待役割
(3)こんなことは起きていませんか?

中堅社員の特徴

今回は中堅社員にフォーカスをあてたいと思います。

「中堅社員」は対象となる社員の幅が大変広いことがこの層の特徴です。早ければ入社2年目から、マネジャーに昇進していない50歳台までも中堅社員に含まれます。

年齢、経験などを考えても、「中堅社員」を一括りで考えることは難しく、弊社トランジションモデルでも中堅社員は「Player=プレイヤー」「Main Player=メインプレイヤー」「Leading Player=リーディングプレイヤー」と3つのステージに区分、定義しています。

「Player=プレイヤー」は新人から中堅社員になりたての方、そして一定の経験を積み「Main Player=メインプレイヤー」となり、やがて「Leading Player=リーディングプレイヤー」になっていきます。「Leading Player=リーディングプレイヤー」は、課といった程度の組織でNo.2と目され業績をけん引、マネジャーの組織づくりの補佐なども行い、次のマネジャー候補と目されるような人材です。

今回はこの中でも対象となる方が最も多いであろう「Main Player=メインプレイヤー」に焦点を当てていきたいと思います。

期待役割

「Main Player=メインプレイヤー」にはどんな期待役割があるのでしょうか。
弊社トランジションモデルでは
……………………………………………………………………………………………………
創意工夫を凝らしながら、自らの目標を達成するステージ(一人前)
●自らの目標を達成することで、組織業績に貢献する
●さまざまな経験を通じて業務に精通し、専門性を高めて業務に生かす
●業務遂行のための道筋や段取り、巻き込む相手を自ら中心となってデザインする
●自分より経験の浅いメンバーの相談に乗る、面倒をみる
●既存のノウハウを使って自分の仕事に創意工夫を加え、周囲にも共有する
……………………………………………………………………………………………………
と定義しています。
【出典:リクルートマネジメントソリューションズ『トランジションデザインブック2.0』】

新人は「まずは自分の仕事を一人でできるようになる」ことが期待ですが、「Main Player=メインプレイヤー」になるといわゆる“一人前”として扱われるようになります。新人は出来なくて当たり前、助けを借りて当たり前ですが、この階層になると自分で業績を作って組織に貢献したり一定の専門性を発揮したり、組織の内・外とよい関係性を保ちながら力を発揮していくことが求められてきます。言い換えると、「まずは一人でできるようになる」というところから“貢献する”や“影響を与える”といった「組織に対しての働きかけ」がさらに求められるようになってくる、ということです。

こういった周囲の期待に応えられず、くすぶってしまう社員が多くでてくるのも「Main Player=メインプレイヤー」の特徴です。

こんなことは起きていませんか?

ここからはケーススタディです。皆さんのまわりにこんな中堅社員(「Main Player=メインプレイヤー」)の方はいないでしょうか。またそんな中堅社員がいた場合、上司として、どのようにかかわるのがよいでしょうか。


ケース①

直属上司Aさんに、中堅社員Bさんに対する印象を聞きました。
「中堅社員Bさんは職種の専門性も身についてきました。タスクを処理する時間もずいぶん早くなったな、と感じています。ただ、少し物足りないところがあります。私に対して質問が多いのです。『■■と▲▲どちらがよいでしょう』『隣の部署の人が●●と言ってきたのですが、どう進めたら良いですか?』といったことです。間違いや手戻りがないように確認をしてくれること自体は良いのですが、少し頼りなく感じてしまいます。もちろん、依頼したことは手際よく進めてくれるといった、良いところもあります。ただ、中堅なら気づいてほしいな、というタスクを自ら拾って取り組んだりすることは、まずありません。比較して話すのはあまりよくないかもしれませんが、同じ頃入社したCさんは、担当する人が決まっていない、誰がやってもよいような仕事をすすんで引き受けてくれたりします。Cさんの方が、一緒に仕事をしていて気持ちが良い、やりやすいと感じてしまうんですよ。」


ケース②

直属上司Dさんに中堅社員Eさんに対する印象を聞きました。
「私の補佐となるリーダーが育ってほしいと思っています。社歴や経験などからするとEさんが順当なのでしょうが、まだ任せられないと感じているのです。
同じ課の後輩FさんにそれとなくEさんのことを聞いてみたところ、『Eさんは仕事を任せてくれたりするので、頼られているのかな、と感じたりします、が、Eさんはいつも忙しそうで、正直あまり会話したことがないんです。質問するのも申し訳なく感じてしまいます』という答えが返ってきました。
実はG部署の上司からDさんに対しても要望が入っています。G部署とEさんは一緒に仕事をすることが多いのですが、G部署のメンバーにミスがあった時、強い口調でミスをなじるのだそうです。G部署のメンバーはEさんとは仕事がしにくいと感じているので態度を改善してほしい、といった要望でした。
Eさんは人や仕事の好き嫌いもはっきりしていて、自分が面倒と思った仕事を後輩のFさんに押し付けている様子でした。困ったものです。」

次回はこのケースの対応策についてご一緒に考えてみたいと思います。