信頼関係を構築する「対話力」で、部下を動かす!【令和の管理職に求められる“マネジメントスキル” Vol.2】
この連載では、リーダーシップやコミュニケーション力向上の研修を提供する当社が、「令和の管理職」に求められるマネジメントスキルを解説します。第2回は、第1回で紹介した、管理職に求められる3つのスキルの中でも特に重要な、「部下と信頼関係を構築する対話力」について、日々のマネジメントで実践できる具体的なノウハウをお伝えします。
【過去のコラムはこちら!第1回】
令和のマネジメントの土台は、部下を動かす「対話力」
第1回では、現代の管理職に求められる3つのスキルとして「対話力」「強みを活かすチームビルディング力」「権限委譲」を紹介しました。中でも土台となるのが「信頼関係を築く対話力」です。
対話力とは、部下の本音や思いをくみ取り、尊重しながら上司の考えを伝え、双方が納得できる解決策を導くためのコミュニケーション能力です。多様な価値観を持つ部下と対話を重ねることで、個々に応じたフィードバックがしやすくなり、信頼関係の構築にもつながります。その結果、チームビルディングや育成の場面でも大きな効果を発揮します。
「対話力」を向上させる3つのステップ
「対話力」の向上には、3つのステップに沿って実践を重ねることが効果的です。
ステップ1:部下との信頼関係を構築する
→信頼を得ることで、対話に欠かせない、本音で話し合える関係を築きます。
ステップ2:部下の本音や意見を引き出す
→築いた信頼関係を土台に、部下が自分の意見や思いを遠慮なく発せる場をつくり、部下の価値観や考え方を深く理解します。
ステップ3:部下が快く行動に移せる関わりを行う
→部下の意向や状況と自分の意見を踏まえ、双方が納得できる解決策の提示やフィードバックを行い、部下の行動を促します。
それぞれのステップの実践方法を紹介します。
ステップ1:「誠実な関心」を伝え、信頼関係を築く
管理職として、チームを成功に導く優れた戦略を描いても、信頼がなければ部下は動いてくれません。部下との信頼を育むためには、「誠実な関心」を寄せることが重要です。
上司が「成果を出させたい」「指示に従わせたい」といった意図で接するのではなく、まずは部下の仕事での関心事や悩みを中心に耳を傾けることで、部下は「自分のことを理解しようとしてくれている」と感じ、信頼関係が構築されます。
「誠実な関心」を行動で伝える方法には、以下のような関わり方があります。
部下の関心事を“話題の中心”にする
信頼を深めるコミュニケーションでは、「上司が話したいこと」ではなく「部下が話したいこと」を中心に据えることがポイントです。たとえば、商談や1on1で上司が自分の話ばかりしてしまうと、部下は「聞いてもらえない」と感じてしまいます。
一方で、「最近ハマっていること」「今の仕事で面白いと感じていること」など、部下の関心事に耳を傾けることで、自然に心の距離が縮まります。相手が話すテーマに寄り添う姿勢こそが、誠実な関心を示す最もわかりやすい方法です。
オープンクエスチョンで関心を示す
「最近どう?」「あのプロジェクト、どんな状況?」など、答えが「はい/いいえ」で終わらない質問“オープンクエスチョン”を使いましょう。さらに、「そのときどう感じた?」「一番印象に残っているのは?」など、感情面に焦点を当てる質問を重ねることで、部下の本音や思いを理解できます。聞きながら「それは大変だったね」「そう感じたんだね」と共感の言葉を添えることで、部下は「自分の感情を受け止めてもらえた」と感じ、安心感と信頼が生まれます。
ステップ2:管理職の「青信号思考」で部下の意見を引き出す場をつくる
部下との対話には、信頼関係を土台にして、部下が安心して意見を出せる環境を作ることも欠かせません。ミーティングや1on1など、部下と1対1でコミュニケーションをとる時は、「青信号思考」と「赤信号思考」を意識してみましょう。
「赤信号思考」とは、発言の正しさや実現可能性をその場で判断しながら話す状態。多くの会議や1on1では、このモードに偏りがちです。一方、「青信号思考」は、自由に発想や意見を出すモードです。
たとえば、1on1の冒頭で「まずは思いついたことを話してみよう」「どんな意見でも歓迎だよ」と声をかけるだけで、部下の表情や発言量は大きく変わります。意見を途中で遮らず、相づちを打ちながら最後まで聞くことも大切です。また、出てきたアイデアにすぐ評価を加えず、「なるほど、そういう視点もあるね」と一度受け止めることで、部下は安心して意見を出せるようになります。青信号思考は、部下が安心して自由に意見を出せる場をつくる関わり方であり、この姿勢ひとつで対話の深さが大きく変わります。
こうして上司が部下の意見を否定せずに聞く環境が保たれると、部下は自分の発言や意見が受け入れられる体験を積み重ねられ、主体的に動こうとする意欲も育まれます。
ステップ3:「マジック・フォーミュラ」で行動を促す
信頼関係を土台に、部下が本音で意見を出せる環境ができたら、部下の行動を後押しする伝え方を実践していきましょう。単に「こうしてほしい」と指示を出すのではなく、「マジック・フォーミュラ」という伝え方を使うと効果的です。
マジック・フォーミュラとは、「出来事(エピソード)90%+してほしい行動5%+得られる利益5%」で構成する話し方です。
たとえば、「私も以前、クライアントへの提案をまとめるときに、内容が多すぎて伝わりづらいと言われたことがあってね(出来事)。そのとき、要点を3つに絞って整理し直したら、すぐに採用してもらえたんだ(エピソード)。だから今回も、まずは構成をシンプルに見直してみてほしい(行動)。その方が、相手にも伝わりやすくなると思う(利益)」というように、ストーリーを交えて伝えます。この構成なら、部下は「押し付けられた」と感じず、納得感を持って行動に移しやすくなります。
次回は、強みを活かしたチームビルディングの第一歩
「対話力」を身につけ、部下との信頼関係を築いたら、次はチーム全体を動かす段階です。次回は、メンバーそれぞれの強みを発見し、活かす方法を中心に解説します。信頼関係を土台に、個々の力を最大限に発揮させるチームビルディングのヒントを、ぜひ次回ご覧ください!









