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総務部の仕事を整理! 総務部の月ごとの行事と法定等業務一覧

2019.10.31

 仕事を通して社員と交わる機会が多く、社員との一体感が必要とされる業務も多い総務部。間接部門の要であり「縁の下の力持ち」として信頼を集めることが求められる部署だ。また対外的には、会社の信用やイメージに直結する重要な役割を担っていると言えるだろう。

 業務の円滑化や社内外とのトラブル防止のためには、1年を通じて「いつ」「何を」すべきかを理解しておくことが必要だ。そこで今回は、各月の「慣例・行事」と、それに関連した「法定等業務」をまとめた。

1月 ~仕事始めと年始のあいさつの対応~

 初出社日の「仕事始め」には心を新たに、新しい一年の経営活動をスタートさせることになる。年始回りは、仕事始めの日から遅くても1月15日(小正月)までにする必要があるため、スケジュール調整が重要だ。また、1月前半までは、年始の挨拶のために自社を訪問する来客も多いため、総務にはそうした来客対応が求められる。新年らしく、松竹梅の盆栽や生花を受付などに飾ってみるのも良いだろう。

慣例・行事
〇年始回り及び年始の来客対応
〇年賀状の返礼、住所録の整理
〇新年度の賃金台帳の準備
〇新年会の準備・開催・初荷出荷式

関連する法定等業務
〇労働保険料(第3期分)の納付(延納申請をした場合)
〇労働者死傷病報告の提出(休業4日未満の労働災害等、10~12月分)
〇法定調書・合計票の作成・提出
〇給与支払報告書・総括表の作成・提出
〇源泉所得税の納期の特例による納付

2月 ~社内規程の見直しや改廃~

 社内規定は、年1回は見直しを行い、法改正や企業の内部事情の変化に合わせた内容に変更しなければならない。そのため、他社の規定や業界動向など十分なリサーチが必要だ。改訂作業が済んだら、メールや文書通達などで社内への周知を図ろう。

慣例・行事
〇各種業務規程の見直し
〇新年度経費削減策の検討
〇継続取引の価格交渉開始
〇春闘情報の収集
〇新入社員受入計画作成

関連する法定等業務
〇固定資産税(都市計画税)(第4期分)の納付

3月 ~社内の管理の見直しの時期~

 予算管理と収益管理を総合して決算書をつくり、概況と部門ごとの状況を説明した報告書を作成する。新年度の予算編成にあたっては、的確な状況判断や今後の見通し判断のための情報収集が求められる。

慣例・行事
〇決算事務と予算編成
〇春の全国火災予防運動
〇年度末期限契約の確認と更新
〇年度単位管理文書の整理
〇新入社員の受入準備
〇次年度、介護保険料対象者の確認
〇人事考課の実施、昇給・昇格・昇進の決定

4月 ~人事部と連携した新入社員のケア~

 4月の総務部最大の仕事が、新入社員対応だ。新入社員集合研修、OJTなどさまざまな場面で新入社員一人ひとりに対し細やかなチェックとサポートを行う必要がある。育成計画を現場に丸投げせず、各部門の担当者や研修部門担当者との連携プレーは不可欠だ。

慣例・行事
〇入社式、歓迎会、入社手続き、新入社員教育
〇ゴールデンウィーク休暇の準備
〇人事異動発令
〇年次有給休暇の更新

関連する法定等業務
〇労働者死傷病報告の提出(休業4日未満の労働災害等、1~3月分)
〇雇用保険料免除対象者のチェック
〇固定資産税(都市計画税)第1期分の納付
〇軽自動車税の納付

5月 ~株主総会の準備~

 5月~6月に行われる株主総会。多くの株主が参加するだけに、日程調整や会場準備、その他事務手続きなど事前に計画を立てることが重要だ。特に招集通知発送までの作業量は非常に多いので、漏れがないように注意しながら準備を進めよう。

慣例・行事
〇株主総会準備
〇夏期賞与に関する情報収集

関連する法定等業務
〇高齢者及び障害者雇用状況報告書の提出
〇法人税・法人住民税・法人事業税・消費税の申告・納付(3月決算)
〇自動車税の納付

6月 ~株主総会と取締役会~

 3月決算の会社の場合は、6月に株主総会を行うケースが多く、総会準備で多忙を極める月となる。会場内での経営者説明資料などをパワーポイントで作成することや、株主配布資料、招集通知、有価証券報告書、総会中に想定される質疑応答書などの書類作成や、当日の会場設営、出席者対応など、総務部の活躍が求められる。

慣例・行事
〇株主総会の開催
〇お中元の準備
〇夏期賞与の計算
〇定期健康診断の実施

関連する法定等業務
〇住民税の特別徴収税額を新年度分に変更
〇住民税の納期の特例による納付
〇労働保険の年度更新 申告・納付

7月 ~手続き業務が重なる月~

 7月には半期分の申請書類の作成・提出作業が非常に多い。漏れがないよう、各書類の提出期限を事前に確認し、作業が滞っていないか作成状況の把握に努めよう。

慣例・行事
〇全国安全週間
〇株主総会での変更事項登記
〇お中元の準備・発送
〇暑中見舞いの準備・発送
〇賞与支払い届け

関連する法定等業務
〇源泉所得税の納期の特例による納付
〇固定資産税(都市計画税)第2期分の納付
〇労働者私傷病報告(軽度4~6月分)の提出
〇健康保険・厚生年金保険の算定基礎届の提出
〇労働保険概算・確定保険料申告書の提出
〇労働保険料全期分または第1期分の納付
〇高年齢者雇用状況報告書・障害者雇用状況報告書の提出

8月 ~熱中症対策と夏季休暇対策~

 夏季休暇を長期に設定する企業では、防犯対策をしっかり行い、緊急時の連絡方法を確認しておく必要がある。また取引先に対して、事前に夏季休暇期間を伝えておくことも重要だ。休み中や、休み明けにトラブル対応についても考えておく必要がある。また、暑さが本格的になり熱中症リスクが高まる時期でもあるため、全ての社員が快適に仕事ができるよう、オフィス環境を整備することも総務部の役割だ。

慣例・行事
〇夏期休暇の準備、実施と管理
〇お中元の御礼状発送(東日本は7月)
(参考「企業が夏期休暇&お盆休みに入る前にやっておきたいこと」「人事総務担当者必見 夏バテ・熱中症対策として企業がやるべきこと4選と従業員に呼びかけるべきこと6選」

9月 ~経費節減運動の推進~

 一般の企業では、9月で上半期が終わるため、各部課の予算表と照合して経費の支出状況をチェックすることが求められる。予算よりも上期に実際かかった経費が高かった場合には、経費支出に対する社内の意思統一を図りたい。

慣例・行事
〇防災・防火訓練の実施
〇交通安全指導
〇経費支出の点検
〇上半期事業計画・実績の集計準備
〇上期人事考課の準備

関連する法定等業務
〇厚生年金保険料率の改定
〇社会保険料の算定基礎届により、新しい社会保険料による控除額の変更。(ただし、給与計算の際、保険料の控除を翌月に行っている場合は、10月分から変更)

10月 ~全国労働衛生週間の月~

 10月は、厚生労働省の「全国労働衛生週間」に伴い、職場環境の安全整備に加え、従業員の精神面ケアが求められる時期。過重労働やメンタルヘルスの悪化など、従業員の心身の健康に影響を及ぼすような事態が発生していないか確認し、改善案を考えよう。

慣例・行事
〇全国労働衛生週間
〇上半期事業計画の修正・推進
〇歳暮・年賀状の準備
〇定期健康診断の実施
〇年末賞与の情報収集

関連する法定等業務
〇労働者私傷病報告(軽度7~9月分)の提出
〇健康保険・厚生年金保険の定時決定(算定基礎届)の更新・納付
〇労働保険料第2期分の納付(延納の場合)

11月 ~時間管理の徹底化運動の推進~

 11月は、長時間労働への対応として、厚生労働省主導で「労働時間適正化キャンペーン」が行われる月だ。ワーク・ライフ・バランスが図れるような取組みを行うなど、従業員が意欲的に自分の能力を発揮できる環境を整備していくことが求められる。

慣例・行事
〇歳暮贈答品の手配
〇カレンダー・手帳の手配
〇次年度定期採用の準備
〇全国火災予防運動
〇年末賞与支給の準備

関連する法定等業務
〇3月決算法人の法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税の中間申告・納付

12月 ~年の瀬における新年度の準備~

 年末年始を控えた時期というのは何かと慌ただしく、細かい雑用もいろいろと発生してくる。文書整理は会社及び法令で決められている保存年限に照らして進めていく必要がある。心新たに新年を迎えられるよう、仕事納めや大掃除を主導しよう。

慣例・行事
〇管理文書の整理
〇年末挨拶
〇年賀状の準備・発送
〇年末年始休暇の準備(仕事納め、大掃除)
〇賞与支払い届け

関連する法定等業務
〇年末調整
〇固定資産税(都市計画税)第3期分の納付
〇住民税の納期の特例による納付
〇「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届」の提出(賞与支給後5日以内)

まとめ

 企業の中でも全面的な信頼を寄せられることの多い総務部。さまざまな領域に関わり、会社と従業員との橋渡しを行い、他部署の社員よりも高度かつ多岐に及ぶ業務や情報、ルールが求められ、重責も担うことが多い。
それだけに、総務部は、年間スケジュールを整理し、1年の予定をしっかり頭に入れておくことは重要となる。
 本記事で全体像を把握し、長期的な見通しをもって業務に取り組む参考にしてほしい。