企業のコロナウイルス対応事例と管理部が取り組むべきこと
コロナウイルスは2020年2月25日時点で中国での感染者数万7658名、死者2663名となった。国内では長野県で新たに感染者が出たと発表された。国内ではクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での感染者を含めると837名にのぼる。(2月25日時点)
テレワークを導入する企業も増え、イベントなどの中止も相次ぐ中、今後社内の管理業務を行う総務担当者が取り組むべきことはなにか。
各企業のコロナウイルス対策の事例を紹介する。
GMOインターネットグループ
GMOインターネットグループは、新型コロナウイルスの感染拡大に備え実施している渋谷区・大阪市・福岡市のオフィスに勤務するパートナー(従業員)の在宅勤務体制について、独自の判断基準に基づき、2020年2月10日(月)より長期化に備えた体制へ移行することを決定した。具体的には在宅勤務体制は継続、ただしやむを得ず業務上出社が必要なパートナーについては身を守るための感染予防グッズ配布と出社時・在社時の予防策徹底により一部出社を認める体制となる。
□やむを得ず出社を認めるパートナー
《前提》
本人の体調・健康状態が良好であること。なお、糖尿病などの持病を持っていたり、妊娠していたり十分な健康配慮が必要な場合、および同居するご家族に同様の方がいる場合は、健康状態を問わず対象外とする。
1. 法令対応やお客様対応など、業務内容により出社が必要な場合
2.在宅での業務の遂行が困難な場合、所属するグループ企業・組織の判断で出社を許可
□出社時の感染予防対策
1.通勤時における感染リスクの回避
・時差通勤、時差通勤と在宅勤務の組み合わせ
・シェアオフィスの利用
・土日出社による混雑回避
・混雑回避ルートでの通勤
・自転車での通勤
・直行、直帰
・徒歩出勤(移動時間を勤務時間に含める)
・タクシーの利用(法人契約、相乗り推奨)など
2.会社が指定する防護マスク「N95」を着用
ジャパンリゾート株式会社
京都市内で新型コロナウイルスの感染者が1月30日に確認された。中国の旧正月の旅行シーズンで旅行客が多い中感染を回避すべく、京都嵐山にあるホテルThe GrandWest Arashiyamaで全スタッフのマスク着用を義務化した。同企業で初めての事例となる。
ヒトからヒトへの感染を防ぐため、フロントの接客スタッフもマスクを着用し宿泊客への対応にあたっている。更に、希望者には無料でマスクを配布しているという。
接客スタッフにもマスク着用を義務化する企業が多い。人と直接接触する機会が多い職業ほどマスク着用が必要となるだろう。
株式会社DYM
年間1,500回以上の就職イベントを行う株式会社 DYMは、コロナウイルス感染防止対策を講じた上で、同社が主催する就職活動イベント『Meets Company』の開催を継続することを2020年2月21日(金)に発表した。
【対応策】
1.スタッフと来場者にアルコール消毒を義務付ける。
2.スタッフと来場者にマスクの着用を推奨する。
3.来場者に健康状態を口頭にて確認する。また、下記のいずれかに該当される場合入場をお断りする。
・37.5度以上の熱がある
・咳が出る
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある
・体調不良の
・直近14日以内に上記いずれかを発症した
4.直近14日以内に中国湖北省及び浙江省への渡航歴がある場合、イベントへの入場をお断りする。
5.政府からの要請や感染拡大の状況に応じて、開催を中止するなど、方針を変更する。
イベント主催者は、開催か中止か判断が迫られている。開催する場合は十分な対策の上、感染を防がなければならない。また、セミナーや説明会では「ウェビナー」や動画配信を同時に行うなどの対応も検討してはいかがだろうか。
株式会社マクロミル
3月4日(水)21時40分頃、当該ビル勤務の他社従業員より新型コロナウイルス感染者が1名発生したと報告を受け本日より2週間、3月 5 日(木)~3 月 18日(水)の期間において、下記対応を行うことを決定した。
・当該支社のオフィス閉鎖
・当該支社に所属する従業員の出勤停止と自宅待機、並びに健康状態に関する経過観察
・当該支社に所属する従業員によるお客様先訪問の停止
当該支社以外は、現時点では従業員のリモート勤務や時間差出勤、感染予防対策の徹底等の対策をとりながら営業活動を継続しているが、今後も感染拡大の防止とお客様、従業員、並びにステークホルダーの皆様の感染リスクを低減し、安全を確保するとともに、安定的なサービスを継続的に提供すべく、迅速な対応を図ると発表した。
【調査レポート】
新型コロナウィルスの感染拡大に関する就活意識調査
株式会社ダイナム
全国46都道府県にパチンコホールを展開する株式会社ダイナム(本社:東京都荒川区西日暮里 代表取締役:藤本 達司)は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、月に予定していた入社式および、新入社員導入研修(集合研修)を5月以降に延期すると発表した。
2020年度は、51名(男性33名、女性18名)が入社し、4月1日からは在宅でのオンライン研修を開始するという。
オフィスで取り組むべき対策①《WEB面接》
採用面接はまだまだ来社が主流だが、今「WEB面接」が注目されている。新型コロナウイルスは、対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話などで一定時間以上続く場合感染のリスクが高まる。(厚生労働省HPより引用)そのため、マスクを着用して面接に挑む求職者も多いという。
一方、WEB面接を取り入れることで、PCやスマートフォンを使って面接ができ、感染のリスクを避けることができる。このWEB面接は場所を問わず行えることから、業務効率化にもつながる。オリンピック期間中の公共交通機関の混雑対策にも取り入れたいツールだ。
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WEB面接「BioGraph」
オフィスで取り組むべき対策②《テレワーク》
コロナウイルス対策でテレワーク(在宅勤務)を実施する企業が多くなった。自宅で作業することで通勤での感染、社内感染、家族への感染を防ぐことができる。また、イベントなどの人が集まる場所へ行くことを自粛するよう社内で呼びかける企業も多い。半年後にはオリンピックも控えている。早めの判断が必要となるだろう。
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新型コロナウィルスの感染拡大に備え、各企業が対策。在宅勤務などに体制を変更。
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オフィスで取り組むべき対策③《時差出勤》
対策を行う上で、政府は「3密」を回避することを推奨している。3密とは下記のとおりである。
1.「密閉」
2.「密集」
3.「密接」
毎日の通勤に公共交通機関を使う場合、この3密の条件がすべて揃ってしまう。それを解決する方法として、「時差出勤」を行うという判断をする企業もかなり多い。
時差出勤とは、通勤ラッシュの時間帯を避けて出勤・退勤する取り組みだ。満員電車(バスなど)を避けることで、感染を予防することが可能となる。
国土交通省は、この取り組みにより、山手線の混雑が20%減少したと発表した。(2020年3月6日に発表)
オフィスで取り組むべき対策④《時短営業》
非接客業務であれば、テレワークや時差出勤に柔軟に対応が可能だが、飲食店などの接客業ではなかなか実施が難しい。
そこで、「時短営業」という対策をとる企業が増えた。時短営業とは、開店時間・閉店時間を変更し、営業時間を短くする取り組みだ。この取り組みにより、時差出勤も可能となる従業員も出てくるのではないだろうか。
接客業で営業をする場合は、スタッフのマスク着用や定期的な消毒を心がけ、お客さん・スタッフ共に感染しないための対策を行うことが重要だ。
まとめ
まずは、手洗いうがいや換気など初歩的なことから習慣づけることが重要だ。出勤をしなければ業務を行うことが出来ない場合は、毎日定期的に体温を測るなどの体調チェックも行うと良いだろう。
社内での感染拡大を防ぎ一刻も早く事態が収束するよう、ひとりひとりが強く心がけていこう。
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