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今月の人事・労務トレンドVol.4 アフターコロナの働き方はどう変わる?働く環境に必要なことと企業運営のポイント

2020.05.28

 新型コロナウイルスの急速な感染拡大により、十分な準備期間もないまま、急遽新しい働き方を導入した企業も多い。また、爆発的な感染拡大期を終え、感染の収束に向かうアフターコロナにおいても、先の状況が読みにくく、どのような対応が必要になるのか悩む企業もあるのではないだろうか。

 今回は、新型コロナウイルスの感染拡大による働き方の変化と、アフターコロナ時代における組織や事業運営の在り方に焦点をあてていく。社会や企業構造の転換期にあるなかで、安定的な事業継続に向けて必要な対応を探っていこう。

目次

●新型コロナウイルス感染拡大下における働き方の変化
●アフターコロナの働く環境に必要なこと
●アフターコロナにおける企業運営のポイント
●まとめ

新型コロナウイルス感染拡大下における働き方の変化

 新型コロナウイルスの感染拡大は企業にも大きな影響を及ぼし、働き方や事業運営の形も変化した。また、その変化の一部は今後も完全に元に戻ることはなく、新しい働き方として、時代の主流となっていくことも予想される。まずは、新型コロナウイルスの感染拡大により、具体的に変化したことを見ていこう。

働く場所
 新型コロナウイルスの感染拡大により、人の移動が厳しく制限された。その結果、オフィスワークから在宅勤務を中心としたテレワークへの転換が一気に進み、従業員たちの働く場所が変化した。しかし、環境整備が十分でないまま急速に導入されたテレワーク環境下での就業は、従来の働き方とのギャップを要因とする疲れやストレスを抱えるケースも多いようだ。本来、テレワークは業務効率化や生産性向上などが期待できる働き方と言える。これを実現するためには、ハード・ソフトの両面からテレワーク環境を整備し、従業員の健康にも考慮していく必要があるだろう。

社内外のコミュニケーション方法
 テレワークの普及により、ビジネスコミュニケーションの方法も変化した。Web会議ツールの利用が増加し、集約型の会議で必要だった移動時間や空間といったリソースやコストは軽減。必要に応じて「いつでも・どこにいても」会議を行えるメリットは大きく、今後の事業運営においてもWeb会議は一般的になっていくことが予想される。

 また、クライアントや顧客など、社外との商談や打ち合わせにおいてもオンライン化が一般的になりつつある。これにより、取引先までの移動時間や交通費が減り、双方にとって効率的な会議の開催が可能になった。従来の方法よりも気軽に商談の機会が設けられるWeb会議ツールの普及によって、商談回数が増加しているケースもあるようだ。

アフターコロナの働く環境に必要なこととは

 新型コロナウイルス感染症の影響が今後どの程度続くのか、収束のタイミングは予測が難しい。そのような状況をふまえ、安全で快適なオフィス環境を作るには、どのようなことが求められるだろうか。ここではアフターコロナを見据えたオフィス環境について掘り下げていく。

テレワークの推進
 アフターコロナにおいても、人と人との接触機会の減少が求められる状況は続くだろう。そのため、これを契機としてテレワーク推進を加速することも検討したい。テレワークのメリットを享受するといった観点から、これまでの在宅勤務を主としていたテレワークに加えて、サテライトオフィス勤務やコワーキングスペースの利用などを取り入れるのも良さそうだ。テレワークの幅を広げることで、従業員の柔軟な働き方の実現にもつながるだろう。

オフィスの縮小
テレワークの推進に伴い、従来必要だったオフィススペースが縮小すると予測される。出社する従業員の人数に合わせ、快適に運営できるオフィスへの転換がなされれば、オフィス費用の削減にも繋がり、新たな環境整備や事業戦略に資金を集約できるというメリットも得られるだろう。

ソーシャルディスタンスを保つ工夫
 ウイルスの脅威が完全に終息するまでは、オフィスでソーシャルディスタンスを保つ工夫が求められる。「座席配置の見直し」や「一方通行の動線整備」、「共有スペースの分散」など、働くスペースや人の流れを考慮した工夫が必要だ。物理的に距離を保つことが難しい場合は、スタンドパネルやデスクトップパネルなどを利用した仕切りを設置する方法も考えられる。

 この他、「可動式オフィス家具の利用」や「位置情報検知システムの導入」、「Web会議のための個室スペース」など、ハード面の整備も検討しよう。業務内容や働き方に合わせ、企業それぞれに独自の工夫が求められる。

接触機会の減少
 ハンズフリー技術の導入や業務フローのデジタル化により、直接手指で触る機会やものを減らす工夫も必要だ。
不特定多数の人が接触するドアロックには、顔認証システムや自動ドアの採用、個別ロッカーの整備等を考えよう。書類のペーパーレス化に取り組むことも、業務中の接触機会の減少に効果的だ。

アフターコロナにおける企業運営のポイント

 アフターコロナにおいて、オフィス環境というハード面は大きく変化することが見込まれる。働き方や組織運営についても、新型コロナウイルスの拡大期から、今後ますます変わっていくだろう。ここでは、アフターコロナ時代における組織や事業運営のポイントについて解説していく。

業務のアウトソーシング
 テレワークが普及した結果、従来社内で賄っていたさまざまな業務のアウトソーシング化が加速するだろう。広く浅くジェネラルな運営をしていた組織形態から変化し、社内業務をよりコア業務に絞ることで、企業はより専門性を高めていくことが可能だ。社内業務の効率化が進むことで、より高いパフォーマンスを発揮することができるだろう。

テレワーク支援ツールの活用
 Withコロナにおいて、ビジネスチャットやWeb会議ツールがより広く活用されるようになった。アフターコロナにおいてもその流れは続き、テレワークを快適で滞りなく進めるための支援ツールの活用は、さらに重要度を増していくだろう。
 
 チャットやWeb会議だけでなく、遠隔での業務を円滑に進めるためにはペーパーレス化やクラウドサービスの導入も必要だ。例えば、社内の固定電話に複数の遠隔拠点からアクセス可能となる、クラウドPBX(Private Branch eXchange)の導入や、従業員の勤怠管理システムなど、自社に合ったクラウドサービスの活用を検討したい。

マネジメントと人事評価の見直し
 リモートワークが一般的になると、従業員の働く様子が見えにくい。そのため、マネジメントや評価の軸は、「働いた時間」や「プロセス」から、アウトプットされた「成果」に重点を置くことが重要だ。

 また、新型コロナウイルスの影響は、程度の増減を繰り返しながらしばらく続くと予測されている。そのため、変化しやすい状況に対する柔軟な対応力や、自分で考えて行動する主体性、また円滑なコミュニケーションスキルなどにも注目し、人事評価に取り組みたい。

まとめ 

 新型コロナウイルスの感染拡大により、組織の在り方や人の働き方は急激に変化した。アフターコロナ時代においても、その流れは加速していくだろう。短期間で急速に変化する状況の中で、企業が本来のパフォーマンスを発揮するためには、オフィス環境や企業運営においても、変化に対して柔軟に対応することが求められる。自社の組織形態や事業内容にあわせ、アフターコロナ時代に必要な施策を検討してみてはどうだろうか。

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