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ERPとは?ERPの導入に必要な基礎知識

2023.07.05

「ERP」を導入する企業が増えてきて、話題となっている。そのためERPという言葉自体は耳にしたことがあり、気になっているという人も多いだろう。しかし実際どのようなものなのかを把握している人は少ないのではないだろうか。そこでここでは、ERPとは一体どういうものなのかといった基礎知識から、導入するとどのようなメリットがあるのかまでを、解説していく。

1.ERPとは

■目次
1.ERPとは
2.ERP登場の背景
3.ERPと基幹システムとの違い
4.ERPの導入形態
5.ERP導入のメリット
6.ERPの導入までの流れ

1.ERPとは

ERPとは「Entereprise Resource Planning(企業経営資源)」の略である。日本語では統合基幹業務システム、あるいは業務統合パッケージといった言い方をすることが多い。元々は経営活動を合理的に進めていくために「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営リソースを一元管理していこうという取り組みのことを指していたが、現在は主としてこうしたERPの取り組みを実行するシステムのことを指すのが一般的だ。

ERPには会計管理、販売管理、在庫購買管理、生産管理、人事給与管理の5つのシステムが含まれている。これらの基幹業務を統合することで効率化が図れるほか、経営リソースをリアルタイムで把握することができるため、経営陣は的確な経営判断をスピーディーに下すことができるようになる。

大企業で多く導入されているERPだが、SaaSの登場によりパッケージ化され、中小企業での導入も増えてきた。SaaSとはクラウドコンピューティングの一種で、ソフトウェアをクライアント側ではなくサーバー側で稼働させ、ネット経由で利用させるというものである。

2.ERP登場の背景

会計・人事・生産・物流・販売といった業務は企業活動の基幹をなすものであるが、従来は各部門で別々に導入されたシステムによってデータベース管理されていた。必要とする情報が異なることもあり、一見これで問題ないようにも見えるが、俯瞰して見ると実はすべてリンクしていることがわかる。生産にしろ、人事にしろ販売にしろ、最終的には会計に集約されていくのである。そのため個別にデータ処理をしていると、会計に集約する際にデータの受け渡しや、場合によっては再入力が必要となり、非効率でミスも招きやすい。

ERPが登場した背景には、こうした事態を避けるために業務管理を連携させて効率的に運用すべき、という求めがあった。ベースになっているのはMRP(資材所要量計画)で、これは主に製造業で行われている在庫管理を中心とした生産管理方式である。

3.ERPと基幹システムとの違い

ERPは統合基幹業務システムと呼ばれているが、名称が似ていることからいわゆる「基幹システム」と混同する人もいるのではないだろうか。実際ERPが基幹システムと呼ばれることもあるが、純粋な意味での基幹システムとは内容が大きく異なっている。基幹システムは人事や会計、販売や在庫管理といった企業の基幹業務を管理するシステムのことで、各部門で独立したシステムとなっている。他部署とデータのやり取りをする際には、システム間の連携を行わなくてはならない。
それに対しERPは、各部門のデータを統合したデータベースとなっており、一元管理が可能だ。そのため部門間でデータのやり取りをする必要はなく、企業の経営状態もリアルタイムで確認でき、迅速な経営判断に大きく役立つ。

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4.ERPの導入形態

続いて、ERPの導入形態について紹介しよう。主な種類は以下の4つだ。

4-1. 統合型ERP
統合型ERPは、会計・人事・生産・物流・販売に関するシステムが1つでまかなえるタイプのERPシステムだ。ERPと聞くとこのタイプをイメージする方が多いだろう。ただし導入コストが高く、大企業向けのシステムが多いのも特徴だ。

4-2. コンポーネント型ERP
コンポーネント型ERPは、基幹業務の中で必要なシステムを組み合わせて導入できるタイプのERPシステムだ。既に導入しているシステムと組み合わせて使う想定で設計されているため、容易に連携が行えることや、必要に応じて拡張できることが特徴と言える。

4-3. 業務ソフト型ERP
業務ソフト型ERPは、生産管理や会計管理など特定の分野に特化しているERPシステムだ。各業務を統合できるというERPの恩恵は受けにくい一方で、注力したい分野に特化して導入を進められるため、時間的にもコスト的にも導入しやすい点がメリットだ。

4-4. クラウド型ERP
クラウド型ERPは、その名の通りクラウドシステムとして提供されているERPシステムだ。テレワークの働き方にも柔軟に対応できることや、運用が容易なことから現在はクラウド型がとなっている。

5.ERP導入のメリット

ERPの特徴については理解できただろうか。次に、ERPを導入するとどのようなメリットがあるのか、具体的に紹介する。

5-1.経営資源情報の可視化で意思決定を迅速化できる
ERPは各基幹系システムを統合し、一元管理できるようにしたものである。経営資源に関する情報は常時確認することができるようになる。つまり経営者が経営判断をするために必要な情報がリアルタイムでチェックできるというわけだ。経営者が見る画面はダッシュボードといって、車のメーターパネルのように直感的に理解できる表示になっている。欲しい情報だけを選んで表示させることも容易だ。
ERPを導入する前は、こうした情報が欲しければ社員に命じてデータを作成させるしかなかった。社員はあちらこちらのシステムから必要なデータをかき集め、Excelなどを使ってまとめ上げるという作業をするため時間がかかる。この時間をカットすることで、経営の意思決定は大幅に迅速化される。

5-2.組織全体の業務効率が上がる
ERPでスピードアップされるのは経営判断だけではない。異なる部門のデータが連携されることで、業務の効率もアップするのだ。各部門が独立した基幹システムでデータ管理を行っていると、同じデータを複数のシステムに入力しなくてはならない場面がある。すると作業が煩雑になり非効率なうえ、ミスも起きやすくなる。ERPを導入している場合は、一つのシステムに入力すれば他のシステムからもそのデータを引き出すことができるので、入力は1回で済む。結果、作業量が少なくミスも起きにくくなるので、全体としての業務効率が上がるというわけだ。

5-3.整合されたデータやアクセス権限でガバナンスの強化ができる
企業内で不祥事が起きるとマスコミでも大きく報道され、企業の信頼を著しく失墜させることにもなりかねない。そのため、各企業ではこうした経営リスクを予防するガバナンスの強化が盛んに行われている。ガバナンスの強化といえば倫理観を高め、システムを強化するといった取り組みが代表的なものだが、ERPの導入はこのガバナンスの強化にも非常に有用だ。ERPでは社内の様々なデータを一元管理するため、システム全体を統合管理されたセキュリティポリシーで保護することができる。基幹系システムへのアクセス権限も一カ所で管理できるので、不正が起きにくくなるのだ。

5-4.管理会計を強化できる
経営者が意思決定を行うためには管理会計が必要だ。株主や金融機関などの外部に提出する財務会計と異なり、管理会計には法的な縛りがないので、そのルールは企業ごとに決めることができる。ERPの導入は、この管理会計の強化にも役立つ。管理会計には信憑性の高いデータが必要だが、ERPではデータベースが統合され様々な情報をリアルタイムで見ることができるので、必要なデータをすぐに集めることができるのだ。経理部では会計管理システムを用いて管理会計を行うが、ERPのサポートにより迅速な管理会計が可能になる。

5-5.ビッグデータ解析が可能となる
ビッグデータという言葉が一時期盛んに喧伝されたが、その成功事例はあまり多くないのではないだろうか。ビッグデータとは様々な種類や性格を持った大量のデータのことで、うまく分析すればビジネスに役立てることができるが、そのためにはビッグデータを収集する基盤と分析するためのツールが必要だ。注目度の割に成功事例が知られていないのは、その「基盤」と「ツール」を持つ企業が少なかったからである。しかしERPはそれ自体がすでにデータ収集の基盤となっており、BI(Business Intelligence)ツールを組み合わせれば迅速に分析をすることができる。ERPはビッグデータ解析にも大きな力を発揮するのだ。

5-6.開発コストの削減と迅速化が可能となる
統合型基幹システムを独自開発で構築するとなると、コストや時間が莫大になり現実的ではない。その点、ERPはパッケージ化されており、またSaaSで導入することができるので、ネット環境さえあれば比較的容易に利用することができる。これにより開発コストも開発にかかる時間も大幅に削減できるため、大企業だけではなく中小企業でも導入しやすくなっている。

ただ、ERP導入に際し最も大切なことは自社の要件を満たすということである。ERPには様々なパッケージがあるが、その中から自社の業種や規模、課題に最も適したパッケージを選ぶことが重要だ。

6.ERPの導入までの流れ

ここで、ERPの導入を成功に導くための効果的な流れについて説明しよう。

6-1.目的の明確化
はじめに、ERPを導入する目的を明確にしよう。現在はどんな業務フローでどんな課題があるのか、どんな無駄があるのかを把握することで、ERPシステムに求められる要件も明確になっていく。

6-2.体制整備
ERPシステムの導入は、部門横断のプロジェクトとなるため、関係部署からメンバーを集めてプロジェクトを推進するための体制を整備することをおすすめする。各部署からの意見の拾い上げや、各部門への情報の落とし込みを円滑に行うことが、ERPを機能させる鍵とも言える。

6-3.業務プロセスの可視化
続いて、現在の業務プロセスをこと細かに洗い出し、可視化していこう。各部門からヒアリングを行った後に他の部門から意見や質問をもらうことで、これまで見えなかった課題が見えてくることもある。ERPを導入するなら、単にデータを統合させるのではなく、業務全体を見渡して、最適化を図るようにしよう。

6-4.新業務フローの策定
課題が見えたら業務フローを再構築し、ERP導入後のフローを策定しよう。導入予定のシステムで問題なくカバーできるのか、カスタマイズ等が必要になるのかが早めにわかると導入がスムーズになる。

6-5.トライアル
本稼働の前にトライアル期間を設けて、新しい業務フローで問題なく運用できるか、ERPで不便に感じている点はないかを確かめ、本稼働に向けて改善を加えよう。

6-6.マニュアル作成
ERPの導入によって業務が滞ることがないように、マニュアルも作成しておこう。新しい業務フローやシステムの操作手順をわかりやすく伝えることで、各部署内での業務の平準化につながるだけでなく、部門間の連携も取りやすくなるだろう。

6-7.本稼働
ここまで準備が整ったら、いよいよ本稼働だ。本稼働させる際も、一部の組織のみでスモールスタートをさせる方法も効果的と言える。また、運用する中で何かしらのトラブルや新たな課題が生まれることもあるだろう。リリース後も一定期間はプロジェクトメンバーで集まり、PDCAを回せる体制にしておくようにしよう。

まずは、自社に合うERPシステムを見つけたいという方は、以下のページを参考にしてほしい。ERPのサービス比較と資料ダウンロードが行えるので、早速動き出してみよう。

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7.自社の現状把握を十分に行ってからERPを導入しよう

ERPの基礎知識と様々なメリットについて解説してきたが、理解できただろうか。多くのメリットがあるERPは非常に魅力的なものだが、自社にとって本当に有用かどうかは分析により判断する必要がある。ERPの導入を成功させるためには、まず自社の現状をしっかりと把握してどのような問題点があるのかを明らかにし、ERPの導入によってそれをどのように改善していくのかを明確にしていくことが大切だ。

オフィスのミカタでは、ERPを導入するメリットやおすすめのシステム紹介など、他にもERPに関するさまざまな情報を配信している。以下の記事も参考にして、ぜひ効果的なERPの導入につなげてほしい。

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