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管理会計と財務会計との違いを具体的な業務内容を通じて解説。効率化を図るおすすめERPシステムも紹介

2022.11.04
オフィスのミカタ編集部

企業が行う会計は、その対象・目的によって管理会計と財務会計に大別される。経理の数字も1つの情報と捉えれば、対象や目的によって伝える内容や伝え方にも違いが出てくるというわけだ。この記事では、管理会計と財務会計の違いを、具体的な業務を交えながら解説していく。またバックオフィス業務の効率化に役立つおすすめのシステムについても紹介する。ぜひ参考にしてほしい。

管理会計の定義と財務会計との違い

まずは管理会計と財務会計の違いについて詳しく見ていこう。

財務会計との違いは情報を開示する対象の違い
管理会計と財務会計の定義は以下の通りだ。

管理会計・・・自社の経営判断の材料として、社内向けにまとめられる会計
財務会計・・・株主や金融機関などの利害関係者(ステークホルダー)に開示することを目的とした会計

つまり、管理会計と財務解決の違いは、開示する対象の違いにあると言える。管理会計は社内で使用するものであるため、項目やまとめ方などを自由に設定できるが、財務会計の場合はそうはいかない。第三者が公正に判断できるよう、法律や規則に則ってまとめる必要がある。

経営者の意思決定に必要な情報提供を行う管理会計
管理会計の目的は、経営陣の意思決定に必要な情報提供を行うことにある。社内向けでありタイミングや項目は任意だが、収益性分析や損益分岐点分析などの経営分析や予算管理、原価管理など、経営の健全化を図るために重要な役割を果たす。

ステークホルダーへ開示する義務がある財務会計
株主や金融機関、行政機関などのステークホルダーに経営状態を明らかにするため、財務諸表などの会計情報を提供するのが財務会計だ。規模にかかわらず全ての企業は決算報告書を開示する義務がある。

財務会計については以下の記事で詳細を解説しているので、参考にしてほしい。
ステークホルダーに経営状況を伝える財務会計の仕組みと業務効率化のポイントを解説

財務会計は法律や規則などで定められた会計基準に準拠

財務会計は企業外部の人が業績を把握するためのものであるため、統一したルールに則って作成しなければならない。そこで用いられるのが、財務諸表を作成する際のルールである会計基準だ。日本の会計基準では、日本会計基準、米国会計基準、IFRS(国際会計基準)、JーIFRSの4つが認められている。

例えば、日本独自の会計基準である日本会計基準は日本企業にとって馴染みやすいものの、国際市場では影響力がないなど、それぞれメリット・デメリットがある。海外進出や海外からの資金調達を行う予定があるかなどを踏まえて、どの会計基準を用いるかを決定しよう。

経営判断のための経営状態を可視化する管理会計を行う主な目的

開示義務のある財務会計を行っているにもかかわらず、社内用にわざわざ管理会計を行う必要性はどこにあるのだろうか?ここでは管理会計を行う主な目的を3つ紹介する。

セグメントごとの利益率などの把握による事業計画の達成
1つ目の目的は事業計画の達成だ。財務会計では目標に対する達成進捗や部門ごとの評価は見ることはできない。週次や月次、四半期ごとなどで部門別の業績管理や予実管理を行うことで改善計画も立てやすくなり、事業計画の達成に近づくことができる。

コストの把握により適正なコスト管理が実現
2つ目の目的は適正なコスト管理の実現だ。製造業など原価管理が業績達成に大きく影響する業種では特に重要になるだろう。標準原価計算を行い、標準原価の実際原価の差異分析をすることで改善策を見出そう。

部署ごとの管理会計をすることで責任者の経営視点を育成
3つ目の目的は、部門管理者や現場責任者などに経営視点を持ってもらうことだ。財務会計に用いられる財務諸表を読み解くには専門知識が必要なため、管理者や責任者に必要な数値をよりわかりやすくまとめた管理会計を活用する。予算管理やコスト管理を行い、各部門や部署が自走するようになれば、事業計画の達成にも近づくだろう。

管理会計における主な業務

次に、管理会計の具体的な内容について説明しよう。ここでは一般的なものをあげるが、必要になる数値は業種や見る対象者によっても変わってくるため、自社の状況に合わせて取り入れてほしい。

企業の業績を客観的に把握するための経営分析
経営陣の意思決定に直結するのが会社の状態を見極める経営分析だ。収益性や生産性、成長性などを多角的に分析できるように資料を提示する必要がある。
具体的には以下のような指標があげられる。
・収益性分析…損益分岐点分析、利益増減分析、売上高総利益率、売上高営業利益率など
・安全性分析…流動比率、自己資本比率など
・生産性分析…労働生産性、労働分配率、資本生産性など
・成長性分析…売上高増加率、利益増加率など

期初の予算計画と期末の実績を分析する予算管理
期初の予算計画通りに進んでいるかをチェックするのが予算管理だ。全社はもちろん、部門別などに分解して管理すると効果的だろう。

また、以下のような目標を例として、
・売上予算 
・原価予算 
・経費予算 
・利益予算
売上目標に対してだけでなく、コストや利益の数値があると、管理者や責任者も改善策を見出しやすいだろう。

自社の提供品原価の目標額算出と実績を分析する原価管理
製造業などで製造原価を管理するための手法が原価管理だ。原価計算を行うだけでは不十分で、具体的には以下のような流れで行う。
1.標準原価の計算…製造時の目標値となる、製品1つあたりの原価を算出する
2.原価計算…材料費や人件費などから、製品1つあたりに実際にかかった原価を算出する
3.差異分析…標準原価と実際原価の差異の大きさや原因について分析する
4.改善…製造工程の無駄を削減したり、仕入れの方法を変えたりと改善策を講じる

セグメント別に損益を算出するセグメント別損益管理
商品・サービス別や部門別などに分けて損益を分析するのがセグメント別損益管理だ。利益率の高い/低いセグメントを早期に把握することで、経営判断に役立てることができる。

管理会計業務は多岐に渡るため、効率的な業務遂行が求められる。そこで役立つのが、管理会計に適したERPシステム(統合基幹業務システム)の存在だ。ERPシステムは製品マスタや顧客マスタ、売上や仕入れなどの取引データなどを一元管理するシステムであるため、管理会計業務を効率化してくれる。詳しくは次の章で説明しよう。

管理会計のためのERPシステムを導入する際の選定ポイント

ここでは、効率的な管理会計の実現に役立つERPシステムの選び方のポイントを、導入のメリットを含めて紹介する。

事業形態に沿うデータベース・セグメントのシステムの設計性
ERPシステムは基幹システムであるため、自社事業との適合性が重要になる。製造業、商社、小売業、サービス業などによっても必要となるデータベースなども変わってくるだろう。自社の業務フローと課題を整理した上で、標準機能で実現したいことがマッチしているのかを十分検討しよう。

複数の業務プロセスの既存システムの連携性
ERPシステムは、各部門等で散在しているデータを一元管理できることが大きな導入メリットとなるため、各業務プロセスで導入している既存のシステムがある場合にはデータの連携ができるかどうかも重要なポイントとなる。

情報のリアルタイム性
管理会計にいかすなら、ダッシュボード機能等で経営陣や管理者が必要とする数値をリアルタイムに表示できるのかもポイントとなる。経理担当者や各部門の責任者等が集計・加工することなく、自動計算・共有ができれば効率化が図れる。

システムの導入タイプ
ERPシステムはさまざまな部門の人が扱う上、企業情報の根幹ともなるため、システムの導入形態にも注意したい。在宅勤務者の有無やセキュリティ面なども考慮して、クラウド型/パッケージ型/オンプレミス型のどれにするか判断しよう。

業務担当者目線に立ったユーザビリティ
さまざまな現場の人が扱うERPシステムはユーザビリティも重要だ。システム変更に伴うデータ移行のしやすさなどの導入面から、他システムとの連携などの運用面まで踏まえて、現場担当者が無理なく扱える環境を整えよう。

視認性の高いレポート機能
ERPシステムの導入で欲しい数値が見られるようになったとしても、財務諸表のように難解なレポートになってしまったら効果は半減してしまう。経営陣や部門責任者などが一目で内容を理解でき、改善計画を立てやすいようなレポート機能を持つERPシステムを選定しよう。

業務の大幅な効率化を推進する管理会計のおすすめシステム

ここからは、業務効率化に役立つおすすめのシステムを紹介する。上記のポイントを踏まえながら、自社に合うシステムを見つけてほしい。

SAP ERP
「SAP」は世界的にも評価の高いERPシステムだ。在庫管理や販売管理、顧客管理、会計などのプロセス統合に役立つ。AI、機械学習、高度なアナリティクス機能を持つ「SAP S/4 HANA Cloud」に加え、中堅企業や中小企業向けの「SAP Business One」「SAP Business ByDesign」がラインナップされている。料金は要問い合わせだ。
https://www.sap.com/japan/products/erp/whatーisーsapーerp.html

OBIC7
株式会社オービックが提供する統合業務システム「OBIC7」は、必要な業務システムを組み合わせて構築できるコンポーネント型ERPとして人気のシステムだ。会計情報を中心に、販売管理、生産管理、契約管理、給与、勤怠などの一元管理が可能だ。
https://www.obic.co.jp/erp_solution/cloud/

奉行V ERP
奉行シリーズで有名なOBICが提供する、中堅・成長企業向けのERPシステムの「奉行V ERP 」。会計、人事労務、販売管理に対応しているほか、200種類以上の業種・業態に対応する各種サービスやシステムと連携できる点が魅力だ。料金は要問い合わせとなっている。
https://www.obc.co.jp/bugyoーv

マネーフォワード クラウドERP
クラウド会計ソフトとして人気の高いマネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウドERP 」。会計、経費、固定資産管理といった経理財務関連や勤怠、給与、社会保険といった人事労務関連を自由に組み合わせてシームレスにつなぐことができる。またkintoneやSmartHR、Salesforceなどの外部システムとの連携も可能だ。料金は要問い合わせとなっている。
https://biz.moneyforward.com/erp/

クラウドERP freee
成長企業などで人気が高いのが「クラウドERP freee 」だ。経理、人事労務、勤怠管理といったバックオフィス業務の効率化し、内部統制対応にも対応。またkintoneやSalesforceとのAPIで自動連携もできる。プランは通常プランのほか、会計プロフェッショナルプランや会計エンタープライズプランも用意されている。詳しくは要問い合わせだ。
https://www.freee.co.jp/cloudーerp/

クラウドERP ZAC
「クラウドERP ZAC」はシステム業やクリエイティブ業、コンサルティング業などの案件・プロジェクト単位で業務を行う業種に特化したERPシステムだ。プロジェクトごとの収支・予実管理ができるほか、受注見込みの段階から案件の管理ができるため売上予測も立てやすくなっている。また、管理会計データがボタン一つで出力でき、要望に応じて独自のレポート出力にも対応してくれる。料金は要問い合わせとなっている。
https://www.oro.com/zac/

まとめ

管理会計は、迅速な経営判断や経営目標達成につながる重要な役割を果たしている。ただし、さまざまな指標があるため、アナログで対応するには時間がかかってしまうだろう。今回紹介したERPシステムを導入すれば、管理会計を自動化できるだけでなく、各業務プロセスの効率化にも役立つだろう。ぜひ資料請求などを行って、自社に適したシステムを見つけてほしい。