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バックオフィス担当者なら知っておきたい「法定調書」を一から解説!

2021.02.18

 企業が税務署に提出しなければならない書類に「法定調書」がある。法定調書には提出期限が決まっているものやさまざまな確認が必要となるものもあるため、事前準備や計画的な書類作成が重要となる。

 今回は、法定調書の種類や手続きの流れ、主要な法定調書の提出対象や記入のポイントなどについて解説する。バックオフィス担当者として各ポイントを押さえ、計画的に業務を進めよう。

目次

●法定調書とは
●各法定調書の提出対象、記入のポイント
●法定調書合計表とは
●まとめ

法定調書とは

 「法定調書」とは、所得税法や相続税法などの規定により、税務署への提出が義務付けられている書類の総称だ。税務署が、金銭を支払う人(企業)が提出する「法定調書」と金銭を受け取る人(従業員など)が提出する「確定申告書」を照合することで、それぞれの脱税を防ぐことを目的としている。まずは、法定調書の種類や、作成・提出方法などを見ていこう。

法定調書の種類
 2021年1月現在、法定調書には60種類の書類がある。そのうち、以下の6種類の法定調書は、支払いが確定した年の翌年1月31日までに所轄の税務署へ提出しなければならない。年末調整を終えたらなるべく早く提出への準備を進めよう。

・給与所得の源泉徴収票
・退職所得の源泉徴収票
・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
・不動産の使用料等の支払調書
・不動産等の譲受けの対価の支払調書
・不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

 なお、これらの法定調書を提出する際は、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を作成し、添付する必要がある。「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」については、後程紹介する。

参考:国税庁「No.7401 法定調書の種類」
参考:国税庁「No.7400 法定調書の提出義務者」

法定調書にはマイナンバー等の記載が必要
 2016年1月1日以降に税務署へ提出する金銭の支払等に係る法定調書及び「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」には、金銭等の支払を受ける者と支払者のマイナンバー又は法人番号を記載する必要がある。そのため、事前に支払先に対し、マイナンバーや法人番号を確認しておくとよいだろう。

 ただし、「給与所得の源泉徴収票」等、支払を受ける者に交付する法定調書については、マイナンバーを記載する必要がない。

法定調書の作成・提出方法
 上記6種類の法定調書を税務署へ提出する際は、「書面」「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」「法定調書の記載事項を記録した光ディスク等(CD、DVDなど)」の方法を選択することができる。

 ただし、2021年1月1日以降、法定調書の種類ごとに2年前の提出枚数が100枚以上だった場合は、e-Taxまたは光ディスク等による提出が必要となる。例として、2019年1月に提出した「給与所得の源泉徴収票」の枚数が100枚以上であった場合、2021年1年に提出する「給与所得の源泉徴収票」はe-Taxまたは光ディスク等を利用して提出しなければならない。

 また、法定調書を提出する義務がある企業は、「給与支払報告書(及びその総括表)」と退職所得に係る「特別徴収票」をそれぞれ所定の市区町村に提出する必要があることにも注意しよう。

参考:国税庁「No.7451 法定調書を光ディスク等により提出する場合の手続」

違反した場合の罰則
 所得税法第242条、地方税法第317条の4により、企業が法定調書を意図的に提出しなかった場合や偽りの内容で提出した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる。

各法定調書の提出対象、記入のポイント

 ここでは、各法定調書の提出義務がある企業や、税務署に提出する範囲、各法定調書の記入のポイントについて紹介する。具体的な書き方は、国税庁のホームページを参考にしよう。

参考:国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(令和2年分)」

給与所得の源泉徴収票
 「給与所得の源泉徴収票」は、年内に給与等(俸給、給料、賃金、歳費、賞与、その他これらの性質を有するもの)を支払った全ての従業員に交付する義務がある。そのうち企業が税務署に提出する範囲は「年末調整をしたか否か」によって異なり、それぞれ以下の通りとなる。

※※ 源泉徴収の図版 ※※
 弁護士等に給与としてではなく報酬等として金銭を支払う場合は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出対象となることに注意しよう。

参考:国税庁「No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」
参考:国税庁「[手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)」

退職所得の源泉徴収票
 「退職所得の源泉徴収票」は、退職手当等(退職一時金等、退職所得とみなされるものを含む)を支払った全ての従業員に作成し交付することとされている。そのうち、税務署へ提出しなければならないのは、受給者が法人の役員(取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人、相談役、顧問等)であった場合だ。

 なお、死亡退職により退職手当等を支払った場合は相続税法の規定により「退職手当金等受給者別支払調書」を提出するため、「退職所得の源泉徴収票」を提出する必要はないとされている。

参考:国税庁「No.7421 「退職所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」
参考:国税庁「[手続名]退職所得の源泉徴収票(同合計表)」

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出する必要があるのは、所得税法第204条第1項各号、同法第174条第10号、租税特別措置法第41条の20第1項に規定されている報酬、料金、契約金、賞金などを支払った企業だ。提出範囲は以下の通りとなる。

※※ 図版が入る ※※
(7)に該当するものには、フリーランスなど個人の取引先に対して特定の業務のために報酬を支払った場合の、原稿料、挿絵料、写真料、デザイン料、著作権使用料、講演料、指導料、脚本料、校正料、通訳料、翻訳料等などが挙げられるだろう。

 また、前述の通り、弁護士、税理士、会計士、社会保険労務士、外交員等への報酬としての支払い合計が一人あたり年間5万円を超える場合は、支払調書の提出が必要だ。

 支払調書には区分や細目を記載する欄があるため、支払いや処理を行う際はそれらについて詳細に記録しておこう。

参考:国税庁「No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等」
参考:国税庁「[手続名]報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同合計表)」


不動産の使用料等の支払調書
 「不動産の使用料等の支払調書」は、不動産の使用料等の支払いをする法人と不動産業者である個人が提出対象だ。不動産の家賃や更新料、総トン数20トン以上の船舶や航空機の使用料等を支払った場合に提出する。提出範囲には、同一人に対する1年間の支払金額の合計が15万円を超えるものが該当する。

 なお、不動産業者である個人のうち、主として糧物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる人は提出の義務がない。また、法人に支払う不動産の使用料等については、権利金、更新料等のみを提出することとしている。

参考:国税庁「No.7441 「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲等」
参考:国税庁「[手続名]不動産の使用料等の支払調書(同合計表)」

不動産等の譲受けの対価の支払調書
 「不動産等の譲受けの対価の支払調書」は、不動産や総トン数20トン以上の船舶、航空機等を譲受けた対価を支払った法人と不動産業者である個人が提出対象となる。支払調書の提出範囲は、同一人に対する1年間の支払金額の合計が100万円を超えるものだ。「不動産の使用料等の支払調書」同様、賃貸借や仲介事業を営む企業は対象外となる。

 「不動産等の譲受け」には、売買の他、交換、競売、公売、収用、現物出資等による取得も含まれることに注意しよう。なお、公共事業施行者等が法律の規定に基づいて行う買取り等の対価を支払う場合は、その全てのものを4半期に1回提出する必要がある。

参考:国税庁「No.7442 「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出範囲等」
参考:国税庁「[手続名]不動産等の譲受けの対価の支払調書(同合計表)」

不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
 「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」は、法人や不動産業者である個人が不動産や総トン数20トン以上の船舶、航空機に対し、売買や貸付けであっせん手数料を支払った場合に提出する。提出範囲は、同一人に対する1年間の支払金額の合計が15万円を超えるものだ。

 「不動産の使用料等の支払調書」「不動産等の譲受けの対価の支払調書」同様、賃貸借事業者は対象に含まない。また、提出する「不動産の使用料等の支払調書」や「不動産等の譲受けの対価の支払調書」にある「(概要)」の「あっせんをした者」の欄に、あっせんをした者の住所や氏名、マイナンバーまたは法人番号などの事項を全て記載している場合は、「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の作成・提出を省略することができる。

参考:国税庁「No.7443 「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の提出範囲等」
参考:国税庁「[手続名]不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書(同合計表)」

法定調書合計表とは

 「法定調書合計表」は「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の略称で、法定調書を提出する際に添付する書類を指す。上記した6種類共通の様式で、各法定調書を取りまとめる際の表紙のような役割を果たしている。

 法定調書合計表作成の際は、国税庁のホームページに掲載されている記入例を参考にしながら、法定調書の種類ごとに「人数」や「支払金額」などを漏れなく記載しよう。なお、控えにはマイナンバーや法人番号を記載しないことに注意が必要だ。

参考:国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(令和2年分)」

※※ 源泉票の写真 ※※

まとめ

 1月中に税務署へ提出しなければならない法定調書には個人情報が多く、書類ごとの取りまとめが必要となるため、作業に多くの時間を要する。提出する枚数によってはe-Taxまたは光ディスク等による提出が必要となる場合もあるため、各書類の提出範囲の把握やシステムの導入・活用等、事前準備も重要となるだろう。提出までの流れがスムーズに行えるよう、各書類のポイントをしっかりと押さえておこう。

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