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商標調査とは?その目的や方法、注意点などを解説

2022.04.01
オフィスのミカタ編集部

商標調査とは、登録したい商標について、すでに登録されたものでないか調査する手続きのことを指す。商標登録申請を行う前に実施するのが一般的だ。商標調査を行わず、不用意に商標を決定・登録してしまうと、既に商標権を取得している商標権者からの侵害警告を受けるリスクがある。このようなリスクを回避するためにも事前に商標調査を行い、リスクに備える必要があるだろう。本記事では、商標調査の概要や目的、調査の種類と方法や注意点を解説するので、参考にして欲しい。

目次

●商標とは
●商標調査とは?調査が必要な理由
●商標調査の流れ
●商標調査の方法
●商標調査の時期検討の注意点
●まとめ

商標とは

商標とは、自社の商品や役務(サービスのこと)を、他社のものと区別するために使うマークのこと。商標には文字や図形、記号や立体的形状のほか、これらを組み合わせたものなどがある。商標は、消費者がその商品を認識するための目印となる役割があり、企業がブランドを確立する上で重要な役割を担っているものと言えるだろう。

商標調査とは?調査が必要な理由

商標は、特許庁へ出願し、商標登録を受けることで商標権を得ることができ、独占的に使用することが可能となる。このため、新たに商標登録を行う場合などは、事前に商標調査を行うのが一般的だ。

商標調査とは、これから登録・使用したい商標に関して、商標権を侵害してしまうリスクがないかを確認する作業を言う。仮に、自社がすでに登録されている他社の商標を使用してしまった場合には、「商標権の侵害」の対象となり、次のようなトラブルが起きる可能性があるため注意が必要だ。

・他社から商標権の侵害として警告を受ける
・損害賠償請求の対象となる
・商標の使用中止を求められる
・看板・POP・パンフレットなど付帯物の廃棄・訂正を求められる
・信用回復措置として、謝罪広告などの掲載を求められる

これらのリスクを回避するためにも、事前にしっかりと商標調査を行い、商標権侵害を回避することが大切だ。

商標調査の流れ

商標調査では実際に何をするのか、具体的な流れを知りたいという担当者もいるだろう。ここでは、商標調査を行う流れの一例を紹介する。

1.商標登録したい商品・役務を決定する
まずは、商標登録の対象とする商品・役務を決めよう。そもそも商標権とは「商標マーク」そのものと、その商標を利用する「商品・役務」が1セットになった権利である。そのため、類似性の高い商標があった場合でも、全く異なる分野の商品・役務に利用する(例えば「菓子」と「携帯電話機」など)のであれば、商標権侵害とはならない可能性が高い。

このことから、商標登録したい商品・役務の分野は、ある程度絞って検索すると、スムーズな商標調査につながるだろう。その際には現状考えている分野だけでなく、将来的な展望も含めて検討し調査の対象とするのがよい。

2.その商品・役務の読み方(称呼)を考える
同時に、対象となる商品・役務サービスの読み方も考えておこう。ここでは、自分で決めた商品・役務サービス名だけでなく、消費者がどのように読むのかを、先入観を捨てて考える必要がある。その全ての読み方で似た商標がないかを調べれば、商標権侵害のリスクをさらに軽減することが可能だ。

3.商標の特徴を確認する
その商標が市場でありふれたものでないかどうかを調べることも重要だ。Googleなどの検索エンジンを活用して、登録できるだけの特徴があるかを確認しよう。このとき、商標と商品・役務の関係性のなかで判断する視点が必要だ。「商標がありふれたものでないか?」ではなく、「商標をその商品等に使う場合、ありふれたものではないか?」といった見方をしよう。

4.似た商標がないかどうか調査する
いよいよ具体的な調査に入る。インターネット上に検索ツールがあるため活用するとよいだろう。類似した商標が出願・登録されてないかどうかを念入りに確認することが重要だが、検索の仕方によっては、大量の商標がヒットしてしまうこともある。この場合は、調査範囲をある程度絞って検索することも必要だ。

5.リスクの有無を判断する
最後に、商標を登録・使用後の法的リスクの大きさも考慮しなければならない。この判断を行うには、商標法の知識が求められるほか、裁判所の判例などを調べる必要もある。専門的な知識や経験値を持ち合わせてない場合は、専門機関に依頼することも検討しよう。

参考:特許庁『出願しても登録にならない商標』
参考:特許庁『初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~』

商標調査の方法

商標調査の流れを伝えたが、「自分で調査するのに自信がない」「より精度の高い調査をしたい」という担当者もいるだろう。そういった場合には、外部の専門機関に依頼する事も可能だ。ここでは、「自分で調査する場合」と「専門機関に依頼する場合」について、双方の違いやメリットなどを解説する。

自分で商標調査を行う
自分で商標調査を行う場合のメリットは、費用がかからない点にある。商標調査を行う際には、特許庁のホームページを参考にしたり、Googleなどの検索エンジンを使用したりするのが一般的だ。類似する商標や、読み方違いで同じ商標が登録されているかどうかなど、調査漏れがないように気をつけたい。

参考:特許庁『商標を検索してみましょう』

専門機関などに商標調査を依頼する
商標調査は、弁理士や特許事務所などの外部機関に依頼することもできる。専門家に依頼することにより調査精度を上げられることが大きなメリットと言えるだろう。しかし、ほとんどの場合、専門家に依頼する際に数万円から数十万円のコストが発生するため、費用と調査精度について優先度を決めて依頼するのが望ましい。出願・登録までを一連で請け負う機関もあるので、メリット・デメリットを考慮した上で検討するとよいだろう。

商標調査の時期検討の注意点

商標登録にかかる期間は、分野によって差はあるが、出願してから7〜12ヶ月ほどかかるのが一般的だ。近年は審査にかかる期間がさらに伸びている傾向にある。すぐに登録できるわけではないため、商標登録の対象が決まったら、商標登録申請にかかる期間を考慮した上で、早めに商標調査の段取りを組めるとよいだろう。

まとめ  

すでにその商標が登録されたものでないか調べる「商標調査」。商標制度は、先に出願したほうに権利が付与される制度であり、新しい商品や役務を立ち上げ、商標を登録したい時には、リスクが無いかどうかを調査・確認することが必要だ。自社において商標調査を行う際には、調査方法の注意点などを理解し、商標権侵害のリスクを回避できるように対応しよう。