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資金繰り・業績改善のために収支管理・支出管理を手間なくミスなく行う手法をしっかりと解説

2022.05.20
オフィスのミカタ編集部

企業の資金繰りを適正化するためには収支管理や支出管理は欠かせない。しかし、Excelなどで管理をしている場合、売上管理・予算管理など項目ごとの管理に追われて総合的な分析まで至らず、データを積み重ねているだけのことが多い。今回はミスなく管理する手法およびデータを活用して業績改善するために活用したいツールについて解説していこう。

支出管理は経営の合理性を高める収支管理の手段の一つ

「売上」「予算」「原価(支出)」を把握し、収益の確保につなげることが収支管理の役割で、その一翼を担うのが支出管理だ。会社の存続に欠かせない正確な収支管理を行うために、支出管理もミスなく実行してほしい。

企業の資金繰りを適正化する収支管理の基本事項

まずは収支管理に必要な売上、予算、原価の管理について解説していく。

確実な売上予測のための売上管理
自社の商品・サービス名と単価、数量、時期などを記録するのが売上管理だ。さらにデータを活用して過去の売上を基に今期の売上予測を立てていく。

売上予測による目標達成に必要な販管費を設定する予算管理
売上予測を基に、売上達成に即した予算を設定するのが予算管理だ。ただ、会社の業績によっては、売上目標は例年より高いが予算は例年並みと設定される場合もある。そういった場合はどう例年以上の売上を得るか、検討する必要がある。

サービス・商品の提供に伴う原価管理
原価管理には「他社から仕入れた製品の金額」と「仕入れた製品を加工する製造費」の2つがある。この中には運搬費や人件費も含まれ、商品やサービスを提供するまでにかかる全てのコストを管理することを原価管理という。

支出管理は主に原価・投資予算の出金内容・額を把握すること
以上で紹介した予算、原価、売上の収支管理は、企業活動において非常に重要だ。そのうち支出管理にあたるのは、原価管理の部分。ここには設備投資などの投資予算なども含まれる。適切な支出管理は企業成長を促進するために欠かせない。出金内容や金額の把握に努めたい。

収支管理の重要性と限界利益率

「限界利益」と「限界利益率」を把握することは、売上に対してどれだけの利益が発生をするのか知る上で欠かせない。ここではこの2つについて計算式を含めて解説していく。

限界利益は損益計算書ではなく損益分岐点分析における特有の利益を示す
限界利益は売上高と変動費の差を表しており、売上高の増加に伴って増える利益を指す。損益計算書には表示されず、損益分岐点分析における特有の利益であることが大きな特徴だ。計算式は以下の通りだ。

限界利益 = 売上高 – 変動費

限界利益率は売上高の増減に伴う企業の利益の増減を示す
限界利益率は売上高のうち限界利益が占める割合を計算したもので、限界利益率が高いほど、売上が利益につながることを表す計算式は次のようになる。

限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高

営業利益・業績改善の基本は限界利益率のコントロール力
限界利益率が高ければ、売上の増加がそのまま利益の増加につながることになるため、営業利益や業績を改善するためには限界利益率をコントロールする力をつけることが重要だ。そのためには支出管理を適切に行い、無駄な変動費をカットしていく必要があるだろう。

利益があっても支出過多にて不渡り・キャッシュアウトの黒字倒産

帳簿上は利益が出ているからといって、経営がうまくいくとは限らない。支払いに必要な資金が不足してしまった場合、黒字倒産となる危険性がある。黒字倒産を回避するためには入出金の状況を把握し、キャッシュフロー(CF)の健全化に努めてほしい。

支出管理の必要性・重要性

支出管理の必要性・重要性について詳しく見ていこう。

支出を可視化することで自社のCFを把握できる
キャッシュフローを健全化するためには、支出を可視化することが欠かせない。「いつまでに」「いくら」払う必要があるのかを常に把握することで、キャッシュアウトを防いでほしい。

無駄なコストの選別により経費削減が実現する
支出の可視化により見えてくるのが経費削減の余地。無駄なコストがかかっていないか、直近で増加した支出の確認や見直しをすることで経費削減ができる。

営業利益を損なわない経費削減により筋肉質な経営体質になる
無駄な経費を削減することで、経営がスリム化し筋肉質な経営体質へと変化していく。会社にとって筋肉とは利益を生み出す資産。過剰在庫や設備、無駄な経費などのぜい肉を削ぎ落とし、資産という名の筋肉を増やして健全な体勢を整え、企業成長を促進する。

キャッシュ・手元資金が厚くなり倒産リスクが低減する
筋肉質な経営体質になると、キャッシュや手元資金が厚くなる。それにより、倒産リスクが低減する。

支出管理業務自体もDXの波によって電子化が進められている

バックオフィス業務の電子化を進める企業が増えている中、支出管理業務も漏れなく電子化の波が押し寄せている。ここでは旧来から利用されている管理方法と増加傾向にあるデジタル管理について解説する。

Excelや紙によるERPのデータを管理
中小企業を中心に今でも活用されているのが、Excelや紙によるERPデータの管理。Excelはソフトさえ入れてしまえば無料でシートを作成して運用できるが、複数のシートやファイルで管理することになり、業務が複雑化してヒューマンエラーが生じやすいという問題点がある。また、総合的な分析をすることが難しいため、コスト削減の余地を発見することも困難だ。

クラウド・SaaSの普及によりデジタル管理による業務効率化の時代
クラウドが普及するに従って、日本でもSaaS型のツールを提供するベンダーが増えた。政府によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も相まって、デジタル管理による業務効率化を求めて多くの企業で導入が進んでいる。

クラウド・SaaS型のおすすめ支出管理・収支管理支援ツール

電子化を進めるにあたって、おすすめしたい支出管理・収支管理支援ツールを紹介する。それぞれ強みごとに分けているので、自社にとって必要なサービスを提供するツールを選んでほしい。

経営支援に強いLoglass・bixid・board
支出管理はもちろんのこと、経営分析・計画など様々なサービスをまとめて提供しているのが「Loglass」「bixid」「board」といったツール。経営に関するバックアップをおこなってくれる心強い存在だ。
https://loglass.jp/
https://bixid.net/
https://the-board.jp/

予算管理業務の効率に強いManageboard・DIGGLE
予算管理に特化した「Manageboard」「DIGGLE」は、予実管理にかかる工数を大幅に削減し、業務担当者の負担を軽減してくれる頼もしい存在だ。予実分析や業績分析レポートの作成も簡単で、オンラインによる閲覧もできる。会計ソフトとの連携も可能だ。
https://service.manageboard.jp/
https://diggle.jp/

プロジェクト単位の支出管理に強いCrowdLog・freeeプロジェクト管理
プロジェクト単位で仕事を進める場合に活用したいのが「CrowdLog」「freeeプロジェクト管理」といったツール。プロジェクトメンバーが各自で経費を入力できて、業務負担が一人に偏ることがない。支出管理ができるだけでなく、プロジェクトの工数についても集計や分析が簡便な仕様となっている。
https://www.innopm.com/
https://www.freee.co.jp/project-management/01/index2.html

まとめ

バックオフィス業務はDXの大波が押し寄せており、支出管理に関しても同じ状況にある。企業活動において、適正な資金繰りや業務改善は欠かせないが、それをフォローするサービスとして支出管理ツールは大きな力となるだろう。ぜひ導入を検討してほしい。