業務の効率化とコスト削減に貢献する物品管理。物品管理の実務的課題についても解説
物品管理は直接利益には繋がる業務ではないことから軽視されがちだが、適切な管理は社内の無駄を省き、業務の効率化を推進する効果を持つ。今回は物品管理について、概要から管理業務を効率化させるシステムまで解説する。
物品管理の定義と対象物とは
物品管理とは、自社で使用している「物品」を対象に管理することを指す。では対象となるモノの種類や対象について見ていこう。
物品管理は社内の様々な「モノ」を管理し業務の効率化とコスト削減に貢献
社内の様々な「モノ」を適切に管理することは、使用状況のスムーズな把握に繋がり、業務の効率化を進めることができる。また、適切な管理により遊休資産を減らすことで、コスト削減にも貢献する。
物品管理の対象となる「物品」の種類
物品管理の対象となるのは大きく分けて「消耗品」「機材」「備品」の3つ。それぞれの詳しい内容について紹介する。
・消耗品
比較的金額が安く、短期間で消耗するモノを指す。文房具や名刺などの事務用品、トイレットペーパーや洗剤などの日用品などが該当する。
・機材
ノートパソコンや通信機器、撮影機材など高価な機器で社外に持ち出したり社内で移動したりしながら使われるものは、機材となる。物品管理をすることで、紛失リスクを低下させる効果がある。
・備品
耐用年数が1年以上で、取得価額が10万円以上20万円未満の物品が備品となり、オフィス家具、デスクトップパソコン、家電などが該当する。台帳管理などを行なっている企業も多いが、企業規模が大きくなると、備品の管理は膨大になり管理が行き届かなくなる危険性がある。バーコードやタグを使って登録し、データ管理することがスムーズな備品管理には欠かせない。
物品管理で把握すべき内容
・「所在」
備品や機材といった社内で共有されている物品の所在を明らかにしておくことは、物品管理において最も重要な目的となる。「誰が、どこで」使用しているのかという情報を管理することで、紛失や物品の私物化を防ぐことができる。
・「状態」
機材等の状態管理も大切だ。現在使用中なのか修理中なのか、使用期限の把握も忘れてはならない。また、貸出情報と組み合わせることで、貸出前後の状態を照合して故障・紛失の日時や原因の把握することも可能となる。
・「数量」
在庫数量を把握して過不足を調整することも大切な管理業務だ。特に問題になるのが不足してしまうこと。不足により業務に滞りが出ないよう管理したい。
・「資産」
備品や機材といった物品は、会計処理上は「資産」となる。減価償却処理が必要な資産は、抜けがないよう正確に把握する必要がある。棚卸業務を物品管理によって効率化し、資産を正確に把握できるようにしてほしい。
物品管理と在庫管理の違い
物品管理は前述した通り、自社で使用している「物品」を管理することを指している。それに対して「在庫管理」の対象となるのは、製造業や小売業といった業種における製品や商品だ。
つまり、
・物品管理=自社内で使用する物品の管理
・在庫管理=自社が販売する物品の管理
となる。
物品管理が適切に行われないことで起きる課題
物品管理が適切に行われないとどうなるのか、管理不足により発生するトラブルについて見ていく。
物品の紛失や不正使用が起きる
物品の所在が曖昧になることで不正利用が横行し、最悪の場合、紛失という結果を招いてしまう。
遊休資産が増える
物品の在庫を把握できていないと、使える資産があるにもかかわらず同じものを何度も購入する事態になり、遊休資産を増やして経費を無駄使いしてしまう。
棚卸し業務に時間コストがかかる
日ごろの管理が適切でないと、いざ棚卸を行う際に膨大な時間がかかってしまう。それにより本来の業務を圧迫し、現場の不満が大きくなる危険性がある。
物品管理の実務的課題を解決するためにシステム化を行う
前述した通り、一定規模以上の企業であれば、物品管理を全てアナログで管理するのは至難の技だ。物品管理システムを導入することで、効率的に備品、機材、消耗品を管理することが可能だ。システム化により付与される機能について解説していく。
台帳システムによる物品情報の管理
登録した物品データを必要な時にすぐに取得できるようにするのが台帳システム。物品のリース終了時期や廃棄日時などをリマインドする機能などが、多くのシステムに備わっており、管理業務を手助けしてくれる。
物品の貸し出し管理
機材などの貸し出し管理にも物品管理システムは非常に有効だ。貸出登録や返却履歴の管理のほか、ユーザーに返却期限をメールで通知することも可能だ。
点検・修理履歴の管理
主に機材における物品管理で効果を発揮するのが点検・修理履歴の管理だ。機材は点検や修理が必要になるものも多く、その履歴管理は欠かせない。前回の点検時期が分かれば、次回の点検がいつごろになるのか把握することが可能だ。また、修理履歴はいつ、どんな内容の修理を行ったかという記録を残すことで今後の対策を立てる際に役立つだろう。
物品管理システムを選ぶ際のポイント
物品管理システムを提供しているベンダーは多い。それぞれに強みが違うため、これから導入を検討する際の選定ポイントについて解説する。
導入が容易なクラウド・SaaS型など自社導入に有用なタイプかどうか
物品管理システムにはクラウド・SaaS型でサービスを提供するベンダーが多く、その特徴として初期コストの安さや導入のしやすさなどが挙げられる。自社にとって有用なタイプを社内で検討し、導入するサービスを決定してほしい。
自社の業務に関わる物品がシステムのサービス対象に考えられているかどうか
自社にある全ての物品の管理をシステムでカバーできるかどうかも重要だ。管理したい物品がサービスの対象となっているのかをチェックするようにしたい。
既存のERPなど基幹システムとの連携が可能かどうか
すでに社内で導入しているシステムがあれば、連携が可能かどうか必ずチェックしたい。連携させるにあたって、互換性がないとデータの加工が必要となり、その分、人的コストと労力が上がってしまう。事前に確認しておきたいポイントのひとつだ。
物品管理のシステム導入・運用コストと業務効率化の投資効果があるかどうか
システムを導入することによって運用コストがかかるのは誰もが知るところだが、業務効率化によって運用コストを上回るだけの投資効果が出るのかどうかも注視したい点だ。業務効率化が運用コストを上回る効果を出していれば導入する価値があると見なされる。
バックオフィス業務を効率化するおすすめの主要な物品管理システム
ここからは、多くの企業が導入しているおすすめの物品管理システムを紹介する。上記で述べた物品管理システムを選ぶ際のポイントを踏まえて、自社にとって最も有用なシステムを探してほしい。
クラウド在庫管理ソフトZAICO
PC、スマホのどちらからも手軽に操作が可能な在庫管理ソフトの「ZAICO」。QR・バーコードで在庫管理・検索・登録まで簡単にできるのが特徴だ。クラウドで在庫状況を管理できるため、いつでもどこにいても最新情報にアクセスできる。31日間、有料プランを無料で試せるので、ぜひ利用してみてほしい。
https://www.zaico.co.jp/
スマートマットクラウド
1100件以上の導入実績を持つ「スマートマットクラウド」は、様々な業種から支持される在庫管理システムだ。“全職種あらゆる場面で在庫管理の手間を極限までなくす”をモットーにしており、在庫の重さを自動計測することで在庫量を把握している。製造、医療、商社などあらゆる業種で幅広く利用されている。
https://www.smartmat.io/
物品管理システム
日立グループの日立システムズエンジニアリングサービスが提供する「物品管理システム」は、バーコードやタグ、ビーコンといったアタッチメントと検索機能を使い、どこに何がどのような状態になっているかをリアルタイムで把握できるシステムだ。貸出・返却のスケジュール管理や保守点検の履歴管理など多彩な機能で管理業務をサポートしてくれる。
https://www.hitachi-systems-es.co.jp/products/gms/index.html
fine asset
あらゆるモノを一元管理する物品管理システムの「fine asset(ファインアセット)」。紙やExcelの台帳からCSVでインポートするだけで物品管理業務をシステム化すること可能で、導入する際の手間が少なくて済むのが大きなポイント。マニュアル不要で誰もがすぐに使いこなせるシンプルな操作画面も魅力だ。申し込み前に無料でお試しが可能だ。
https://www.fineasset.jp/
まとめ
業務担当者以外には軽んじられがちな物品管理だが、企業活動を続ける上で無視できない大切な業務ということがお分かりいただけただろうか。物品情報の一元管理によって所在を明らかにして状態や数量、資産を把握し、経費の無駄遣いや遊休資産の増加を阻止してほしい。そのためにも効率的な物品管理に向けてシステムの導入を検討してみてほしい。