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社会保険料の会社負担割合と気をつけたいポイントを詳しく解説。サポートするシステムも紹介

2023.01.20
オフィスのミカタ編集部

社会保険料は従業員と折半のもの、会社側が全額負担するものと、さまざまな負担割合が存在する。ここでは社会保険ごとの負担割合や気をつけたいポイントについて解説する。

企業が加入するべき社会保険は5つ

企業が加入するべき社会保険は、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5つある。これら5つを合わせて広義の社会保険と呼ばれているが、「狭義の社会保険」「労働保険」の2つに大別ことができる。それぞれのグループごとに特徴を見ていこう。

狭義の社会保険である「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」
健康保険、厚生年金保険、介護保険は、狭義の社会保険とも呼ばれる。一般的に社会保険という場合には狭義であるこれら3つを指すことが多い。

健康保険は医療保険制度のひとつで、医療給付に主に利用される。厚生年金保険は公的年金の一つで、会社員や公務員など厚生年金保険の適用を受ける事業所で働いている70歳未満の労働者が原則全員加入することになっている。

労働保険は「雇用保険」「労災保険」の2つ
労働保険と呼ばれる雇用保険と労災保険。雇用保険は労働者を雇用する事業者全てに適用され、加入条件を満たす労働者を全員加入させなければならない。失業等給付や育児休業給付の支給などに関連する。労災保険は、業務および通勤時の傷病などに対して保険給付を行う際に利用される制度で、労働者が一人でもいる場合は適用される。

保険の種類によって変わる会社の負担割合

保険の種類ごとに会社が負担する割合は異なる。ここでは具体的な計算式を紹介する。

会社と従業員で折半する「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」
健康保険、厚生年金保険に関しては、従業員の標準報酬月額と各都道府県の協会や厚生労働省が設定した保険料率によって社会保険料率が決定し、料率に基づいて計算された社会保険料を支払うことになる。社会保険料を割り出した後、50%ずつ会社と従業員で負担する。介護保険料は40歳以上65歳未満の従業員のみ徴収される保険だが、これに関しても同様に折半となる。

会社負担が従業員負担よりも多い雇用保険
労働保険のうち、雇用保険料は従業員より会社が多く負担する。雇用保険料の計算式としては以下の通りだ。

雇用保険料 = 給与の総支給額 × 雇用保険料率

雇用保険料率は事業ごとに定められているため、間違えないよう注意したい。

全額会社が負担する労災保険
労災保険に関しては会社が負担することになっている。労災保険料の計算式は以下のようになる。

労災保険料 = 給与の総支給額 × 労災保険料率

労災保険料率も雇用保険と同じく事業の種類によって異なるため気をつけてほしい。

社会保険料を計算する際に気をつけたいポイント

社会保険料の計算をする際に気をつけたいポイントを解説する。

社会保険の加入要件を満たす従業員を調査
社会保険は正社員だけでなく、パートやアルバイトも加入条件を満たしていれば加入させる必要がある。パート・アルバイト従業員の加入条件は以下となる。

・従業員数が101人以上の企業
・週の所定労働時間が20時間以上
・年収106万円以上(賃金月額が約8.8万円以上)
・雇用期間が2カ月以上見込めること
・学生ではないこと(夜学・定時制・休学中は除く)

保険料率の改定情報を見逃さないように注意
社会保険料率は毎年ではないが、改定されることがある。改定を見逃さないようにしたい。また、改定された保険料率をいつから適用するのかも、気をつけたいポイントだ。

従業員の年齢によって変わる保険料率に注意
40歳になると介護保険料の徴収が始まるため、健康保険料がアップする。また、法改正により2020年4月より65歳以上の従業員に関しても雇用保険料の支払いが必要となっているため、これらの年齢に達した従業員に関しては気をつけてほしい。

社会保険を加入させなかった場合は罰則を受けることになる

社会保険は従業員を雇う事業所のほとんどに加入義務があり、未加入のままでいると罰則を受ける可能性がある。ここでは罰則を課される条件等を見ていく。

罰則・罰金を受ける条件とその内容
健康保険・厚生年金の加入義務を果たしていない事業所は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金を課される可能性がある。これは何度も加入指導をされているにもかかわらず従わなかった、虚偽の申告を行ったなどの悪質な場合に適用される。

また、雇用保険に加入していない場合は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に課される可能性がある。

過去に遡及して保険料を徴収されることも
社会保険の未加入が発覚して強制加入となった場合、過去2年間まで遡って保険料を徴収される可能性がある。本来であれば健康保険や厚生年金保険料は従業員と事業所の折半となるが、過去分の徴収の際は事業所がすべて建て替えて支払う必要がある。その後、従業員に請求することは可能だが、すでに退職していて連絡が取れない元従業員がいた場合などはすべて事業所負担となる。

延滞金が発生する
納付期限が過ぎた保険料に対しては督促状が届くが、その督促状に記載された指定期限までに納付しなかった場合、延滞金がかかる。延滞金は督促状に記された指定期限からではなく、本来の納付期限の翌日から発生するため、注意したい。

なお、督促状の期限内に納付すれば延滞金は発生しない。

社会保険料の自動計算機能を有するおすすめのシステム

社会保険料の更新や料率変更を自動で計算できるおすすめのシステムを紹介する。

freee人事労務
社会保険の加入手続きや最新の保険料率に即した給与計算の自動化などが簡単に行える「freee人事労務」。社会保険料の計算で間違いやすい料率改定や等級の変更も自動で反映・計算してくれる心強いシステムだ。
https://www.freee.co.jp/hr/

やよいの給与明細 オンライン
社会保険料率や法令改正に自動で対応し、簡単に給与明細書の作成ができ、Webで配信できる「やよいの給与明細 オンライン」。業界最大規模のカスタマーセンターを有しているため、製品の操作方法だけでなく業務についての相談まで応えてくれる頼もしい存在といえるだろう。
https://www.yayoi-kk.co.jp/products/payroll-ol/index.html

マネーフォワード クラウド給与
各種保険料や所得税の自動計算により、給与計算にかかる業務効率が大幅に改善できる「マネーフォワード クラウド給与」は、法改正や増税・保険料率変更などにも無料で素早くアップデート。ペーパーレスやリモート化にも対応しているため、いつでもどこでも給与明細を確認することができる。
https://biz.moneyforward.com/payroll/

ジョブカン給与計算
社労士が監修し、給与計算担当者の声を基に開発された「ジョブカン給与計算」は業務担当者にとっての「あったらいいな」を実現したシステム。同シリーズのシステムである「ジョブカン勤怠管理」との連携により、さらなる業務効率化を図ることができる。
https://payroll.jobcan.ne.jp/

給与奉行クラウド
社会保険料の計算はもちろんのこと、給与計算、年末調整まで、給与に関する業務をすべてデジタル化し、業務時間を7割削減するという「給与奉行クラウド」。常に最新情報をアップデートできるため、税率変更などを手動で行う必要がなく、更新の手間とミスを軽減できる。
https://www.obc.co.jp/bugyo-cloud/kyuyo

下記記事では、社会保険事務を自社内でおこなっているかや、アウトソーシングを導入した企業の悩みなどを紹介している。参考にしてほしい。
給与計算や社会保険事務、あなたの会社はどうしてる?『自社の社員が行っている』8割以上

まとめ

社会保険料は種類ごとに負担割合が異なったり、加入要件を満たしているのに支払わないでいるとペナルティを課されたりするため、ミスなくしっかりと支払う必要がある。業務負担とミスの軽減には、社会保険料の計算をサポートするシステムの利用が大変有用だ。ぜひ利用を検討してみてほしい。