オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

法人の固定資産税はいつ決まる?通知や納付の期間、節税対策を紹介

2022.12.26
オフィスのミカタ編集部

法人の固定資産税とは、事業継続に係る資産に課される税金のことだ。土地や家屋、償却資産の3つに分けられ、それぞれ算出方法は異なる。固定資産税は、いつ決まるのかや、通知や納付の時期を知りたい担当者もいるだろう。今回の記事では、固定資産税の概要や決定時期、通知や納付のタイミングに加えて、節税対策を解説する。

目次

●法人の固定資産税とは
●固定資産税はいつ決まる?
●固定資産税の通知や納付はいつ?
●法人固定資産税の節税対策とは
●まとめ

法人の固定資産税とは

固定資産税とは、固定資産を所有する個人や法人に課される税金のことだ。法人における「固定資産」とは、「事業継続に使われる資産」を指し、土地・家屋・償却資産の3つに分けられる。固定資産税は、これらの固定資産から資産価値に応じて算出され、所有者は固定資産が所在する市町村に、市町村税として納税する。ただし、東京都23区内の場合は、東京都に都税として納税する。

償却資産とは
償却資産は、時間経過によって価値が減少する資産を指す。耐用年数1年以上かつ取得価額10万円以上のものが対象だ。取得価額とは、購入にあたり付随してかかった手数料や運搬費、登記料、関税などが含まれた価格のことである。

課税の対象となる償却資産は、エアコン、パソコン、プリンター、陳列棚、運搬具、工具、自動車税・軽自動車税の対象とならない車両、福利厚生用に供するものなど業界によってさまざまだ。一方で、課税対象とならない償却資産は、自動車税・軽自動車税の課税対象となる車両、特許権や商標権などの無形固定資産、開業費や開発費などの繰延資産である。

償却資産は申告制で、毎年1月1日時点で所有している償却資産について、同年1月31日までに取得年月や取得価額、耐用年数などを、市町村もしくは都に申告書を提出する必要がある。申告には、一般方式と電算処理方式の2つがあり、一般方式は、前年中に増減した償却資産を税事務所に申告して、税額を決定する方法だ。電算処理方式は、申告者自身が償却資産の評価額を計算して申告を行う方法である。なお、いずれも償却資産の増減に関わらず、毎年申告が必要だ。

参考記事:総務省『固定資産税』

固定資産税はいつ決まる?

固定資産税が発生するタイミングは、賦課期日と呼ばれる毎年1月1日だ。1月1日時点で保有している資産を、その年の1月31日までに資産が所在する自治体や税事務所などに申告する。課税対象の場合、課税台帳への登録や税額の算出が行われ、納税義務が発生する。

納税は、申告した年の4月1日から開始する。そのため、1月2日以降に新たな土地や建物を取得した場合は、同年度の納税は発生せず、翌年4月から納税対象となる。また、住宅として利用していた家屋を店舗に変更した場合は、翌年度から店舗として固定資産税が算出される。住宅用地として適用されていた特別措置は、翌年度から適用外となるため、変更の前と後では納税額が変わるだろう。なお、土地と家屋の固定資産税は、3年ごとに見直しが行われる。

固定資産税の算出方法は?
固定資産税は、固定資産評価額をもとに算出する。固定資産評価額とは、審査や見直しをもとに東京都や市町村が個別に定めた評価額のことだ。この評価額を特例率と掛け合わせることで、課税標準額が算出される。特例率は資産の種類によって異なるため、各資産ごとに課税標準額を計算する必要がある。固定資産評価額を確認したい場合は、役所および役場で「固定資産評価証明書」あるいは「納税通知書」を発行するとわかるだろう。課税標準額の算出方法は、以下のとおりだ。

課税標準額=固定資産評価額×特例率

償却資産においては、課税標準額が一つひとつの資産ごと計算され、1年目と2年目以降など経年に応じて減価を考慮した評価額となるためため、注意が必要だ。

次に、先ほど算出した課税標準額に税率をかけ合わせることで、納める固定資産税を算出する。基本的な固定資産税の税率は1.4%だ。

税額=課税標準額×税率(1.4%)

なお、税率は課税される地域や財政状況によって引き上げられる場合があるため、納税先の自治体にあらかじめ確認するとよいだろう。

参考記事:総務省『固定資産税』

固定資産税の通知や納付はいつ?

各課税者(自治体)から納税通知書が届くのは基本的に4~6月の間だ。しかし、固定資産税の納付期限は自治体ごとに異なる。一般的に固定資産税の納期は年4回に分かれており、東京都では、6月・9月・12月・2月、それ以外は原則4月・7月・12月・2月となっている。なお、固定資産税は一括納付も可能だ。

参考記事:東京都主税局『固定資産税・都市計画税(土地・家屋)』

法人固定資産税の節税対策とは

法人固定資産における節税対策を、4点紹介しよう。

1.減額制度や免税点の確認
減税措置には、非課税・減免・特例があり、適用を受けるには条件を満たす必要がある。公共性が高い土地や建物ほど減税されやすい傾向にあり、「バリアフリーな施設」「土地の一部が駐車場」などは、節税対策に有効だ。今後、リフォームをする際には、バリアフリー化するなどを考慮してみてもよいだろう。ただし、期限や内容は自治体や年によって異なるため、その都度確認が必要だ。

また、法人の固定資産には、課税標準額が一定金額未満の場合に免税となる「免税点」がある。課税標準額が免税となる具体的な金額は以下のとおりだ。

土地  :30万円
家屋  :20万円
償却資産:150万円

免税措置は、東京都や市町村など自治体ごとに適用される。もし、同一地域内で保有している土地・家屋・償却資産の金額が複数あっても、合計が上記に満たない場合は非課税となる。

2.不動産取得税・登録免許税の活用
不動産取得税とは、土地や建物を購入した際にかかる税金だ。また、登録免許税とは、土地や建物を登記する際にかかる税金である。いずれも原則として取得価額に組み込んで算出されるが、経費として申告できる場合もある。例えば、黒字決算の場合は経費として処理すると課税所得の軽減になり、赤字決済の場合は取得価額に組み込むことでマイナスを軽減できる。しかし、経費として申告する場合、取得価額よりも経費計上した方が高額となることが多いため、状況に応じた判断が必要といえる。

3.分筆で土地を区分け
分筆とは、登記簿上の土地を区分けすることだ。土地は、大通りに面した土地では人通りが盛んなため価値が高く、交通の便が悪い土地は人の出入りが少なくなるため価値が高くなりにくいなど、利便性によってそれぞれ価値は異なる。

土地は、一筆・ニ筆・・・というように「筆」の単位で数える。固定資産税は、基本的に一筆ごとに評価しており、敷地全体に対して高い方の価値で算出される。そのため、用途が複数ある場合は、一筆の土地を数筆の土地に分割することで評価が分かれ、節税につながる場合がある。

4.固定資産管理システムの導入
固定資産管理システムを導入すると、現在の固定資産の実態がわかるだろう。償却資産においては、資産ごとの償却率や耐用年数などが定められている減価償却があるため、一つずつ計算する必要がある。気づかぬうちに税金を多く納めている場合もあるため、システムを活用して固定資産を一括管理することで、節税につながるといえる。

関連記事:『会計管理と現物管理の二面性を持つ固定資産管理の実務課題と解決に役立つシステムを紹介』
関連記事:『固定資産管理のサービス比較・無料資料ダウンロード』

まとめ

法人の固定資産税とは、事業継続に使われる土地や家屋(建物)、償却資産といった「資産」に課される税金のことだ。1月1日に所有している資産に対して、同年4月より納税の義務が生じる。さまざまな減税措置が登場しているが、それぞれに期限が設けられているため、毎年確認が必要となるだろう。適切な固定資産税を納められるよう、今後もこのような措置の有無を確認しながら、自社の固定資産税の実態を把握してみてはいかがだろうか。