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総点検! インボイス制度と電子帳簿保存法を国税庁で確認しよう

2023.09.27
オフィスのミカタ編集部

「インボイス制度」(正式名称「適格請求書等保存方式」)が2023年10月1日に始まる。本稿では、改めて「インボイス制度」「改正電子帳簿保存法」の概要と、済ませておくべき準備等について確認していくことにする。

本稿は「オフィスのミカタ通信vol.9」からの転載です

もしかして、まだ対応が不十分? インボイス制度と改正電子帳簿保存法

昨今の経理業界における話題といえば、「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」ではないだろうか。

今年(2023年)10月1日から始まる「インボイス制度」(正式名称「適格請求書等保存方式」)については、請求書の発行側も受け取り側も、双方が一定の規定に沿った対応を迫られているため、経理担当者はもちろん、ビジネスに関わっている方なら、制度の存在そのものは知っているに違いない。

そして、もう一つの「電子帳簿保存法」については、厳密にいえば“2021年施行の改正電子帳簿保存法”が、2年間の猶予期間を経て、いよいよ2024年1月から、対応が“義務”となったものである。こちらも企業経理に携わっているビジネスパーソンなら、誰一人無関係ではいられないので、知らないという人はいないだろう。

しかし、「インボイス制度」「改正電子帳簿保存法」とも、必要となる対応をきちんとやっているかというと、まだやっていないという向きもいるかもしれない。

そこで本稿では、改めて「インボイス制度」「改正電子帳簿保存法」の概要と、済ませておくべき準備等について確認していくことにする。

適格請求書でなければ、仕入税額控除が受けられなくなるインボイス制度

すでに触れた通り、インボイスとは適格請求書のことを指す。

適格請求書とは、管轄地の税務署に登録申請をして、適格請求書発行事業者になった者(企業や個人事業主など)が発行する請求書のことである。

適格請求書には、次の項目が記載されることが義務付けられている。

一つ一つについて細かく見ることはしないが、重要なのは「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」であろう。

この登録番号はきちんと税務署に登録申請をしないと発行されない番号である。つまり、この登録番号を記載した請求書を発行するためには、企業や個人は適格請求書発行事業者として登録申請しなくてはならないのだ。

「別に、そんな登録番号がなくたって、今まで通りに請求書を処理すればいいだろう」と考えたとしたら大間違いだ。

請求書の発行側が、もし登録申請をしておらず、登録番号なしに、これまで通りに「作業代 一式 10万円 消費税1万円」という請求書を送ってきて、それに対して受け取り側が、消費税込みで11万円の支払いをしたとしても、このうちの消費税分1万円は仕入税額控除の対象からは外されてしまう。

原則的にいえば、企業等が納税する消費税額は「売上時の消費税額-仕入れや経費の消費税額」で計算される。例えば、100万円の売上に対しては10万円の消費税をいったん預かることになる。そして、50万円の仕入れがあれば、5万円の消費税を仮に支払っていることになるので、納税時には、10万円(売上分)-5万円(仕入れ分)となり、5万円を消費税として支払う。

この時、もし仕入先が適格請求書発行事業者でなかった場合、仕入れ額50万円の消費税5万円は控除されず、この例でいえば、納税すべき消費税は10万円になってしまうのだ。

受け取り側にすれば、消費税分を含めた支払いに対して、仕入税額控除を受けられるのが当たり前なのに、それができなくなる危険性があるなら、取引先を変更したり、取引額の減額を要求するという対応をとる可能性もあるだろう。

このような事態を招かないためにも、きちんと適格請求書発行事業者の登録をする必要があるといえよう。

電子帳簿保存法の改正による義務化で、罰則規定も強化された

電子帳簿保存法自体は、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」というのが正式名称で、1998年7月に施行されている、比較的古い法律である。

これは、従前には“帳簿書類等を納税地において書面で保存”することを義務付けていた所得税法や法人税法、消費税法などの規定を、一定の条件下で“ 電磁的記録等” による保存を認める、という法律であった。

それが、情報化社会の進展(デジタル化の進展)を背景として、今般の改正で「電子取引における領収書等(ネット通販での領収書などを含む)は、(中略)電子的な方法で保存しなくてはならない」というように義務付けられたのである。

もともとの施行自体は先に触れたように、2021年施行だったが、2年間の猶予期間を経て、いよいよ2024年1月からは、全面的に施行になるのだ(若干の経過措置は設けられている)。

もし今後、電子帳簿保存法に関する不正が発覚したり、隠ぺい、偽造など悪質な行為があれば、不正な申告漏れと判断され、追徴税35%と、申告漏れの扱いとなる税額の10%の重加算もなされることになる。さらには、電帳法違反が、会社法違反ともなる可能性が高く、場合によっては、100万円以下の過料が科されることにもなりかねない。

そんな事態にならないように、必要な対応はしっかりとやっておくべきであろう。