24年秋以降開始予定の「郵便料金値上げ」はバックオフィスにどう影響する? ラクス勉強会レポート
経費精算システム「楽楽精算」や電子請求書発行システム「楽楽明細」など、企業の業務効率化をサポートするクラウドサービスを提供している株式会社ラクス(東京都渋谷区、以下ラクス)は、2024年3月27日に本社で、郵便料金値上げと交際費上限額の引き上げに関する勉強会を行った。本記事では、主に郵便料金の値上げについて解説。郵便料金の値上げは、バックオフィスにどのような影響を与え、どのような対応が必要になるのだろうか。勉強会の内容をまとめたので、値上げが本格的に始まる前に必要な準備をしてほしい。
郵便料金はいつから、どの程度上がる?
郵便料金は、2024年秋以降に改定見込みとなっている。価格の具体的な改定案は、現時点で以下の通り。
※引用元:「郵便法施行規則の一部を改正する省令案及び民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」p.35(総務省)
最終的な料金改定は、日本郵便からの届出により確定される。
郵送料金が値上げされる背景
郵便料金が値上げになる背景には、郵便事業の厳しい現状がある。郵便物は、過去20年ほどで45%減り、2028年にはピークの2001年度の半分以下までに減る見通しとなっている。メールやSNS等の影響で、企業間、個人間ともに需要が落ち込み、原燃費や人件費の上昇が追い打ちをかけた。
なお、日本郵便の郵便事業のみの収支は、2023年3月期に211億円の赤字。赤字になるのは、郵政民営化後初めてのことだ。
郵便料金値上げがバックオフィスに与える影響
このたびの値上げが実現すれば、多くのバックオフィスでは請求書の郵送に影響が現れる。ラクスの調査では、請求書を「紙で印刷、封入し、郵送している」と答えた企業が全体の77.1%を占めており、電子データのメール送付や電子請求書発行システムの利用はまだ主流ではない。
※引用元:プレスリリース「請求書発行を『紙で印刷、封入し、郵送している』企業は77.1%郵便料金値上げによりコストアップや顕在化する課題への対応が急務に」(株式会社ラクス)
企業によっては膨大な数になる請求書の郵送料金が値上げするとなると、コストアップに繋がる。仮に1カ月あたり100枚の請求書を発行している場合、旧価格(84円)であれば郵便料金は年間で10万800円。それが新価格(110円)になると、13万2000円に跳ね上がる。取引先の多い企業ほどダメージは大きい。
経理担当者に必要とされる対応
このたびの値上げを機に、コスト面からも人的負担からも請求書の電子化を検討したいと考える経理担当者も多いだろう。しかし、請求書の電子化には次のような課題が想定される。経理担当者に必要とされるであろう対応とともに、2つの課題を解説したい。
取引先から紙の請求書を求められる
取引先によっては、紙で請求書を管理する方針をとっているところもある。電子で請求書を受け取れば、電子帳簿保存法に対応する必要が出てきてしまうためだ。
そこで勉強会では、電子だけでなく、さまざまな送付方法(WEBダウンロード、メール送付、郵送代行、FAX)を用意し、取引先の希望に合わせた請求書の発行ができる請求書発行システムの採用が提案された。
また、ラクスの電子請求書発行システム「楽楽明細」では、請求書を受け取った取引先のほうも無料で請求書の電子保存サービスが利用できる。紙の請求書を要求する取引先に対しても、簡単に請求書の電子保存が可能であるとアピールできるのではという提案があった。
電子化の運用に不安を感じる
分野にかかわらず新しいシステムを導入するときには不安がつきものだ。スムーズに運用できなければ、業務が滞る恐れがある。このような不安から、電子化の運用を思いとどまっている企業もあるだろう。
勉強会では、ラクスの電子請求書発行システムを利用すると、専任のサポートスタッフが導入運用までを支援可能なことが示された。また、直感的に操作できる画面設計であるため、複雑な操作なく利用可能であることもアピールされた。
まとめ
郵便料金の値上げは、消費税率の引き上げに伴うものも含めるとこれまで幾度か行われてきており、その都度対応に追われた経験を持つ企業も少なくないはずだ。
※引用元:「郵便法施行規則の一部を改正する省令案及び民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」p.10(総務省)
前回の料金改定時と比べ、経理システムのIT化が進んでいる企業もあるだろう。このたびの値上げに対し、現状の経理システムにどのような変更を加えることが必要なのか、早めに話し合っておきたい。