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請求書の受領処理を効率化! ラクス新サービス「楽楽請求」発表会レポート

2024.07.09
奥山晶子

「楽楽精算」「楽楽明細」などバックオフィスの業務を効率化するシステム「楽楽シリーズ」を展開するラクス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:中村崇則、以下ラクス)が、新サービス「楽楽請求」のリリースに伴い、発表会を行った。「楽楽請求」は、さまざまな形式で送られてくる請求書の受領処理を効率化するもの。経理電子化の強い味方になりそうだ。

発表会に登壇したラクスの吉岡耕児執行役員(左)と大群(おおむれ)裕太プロダクトマーケティングマネージャー(右)

楽楽シリーズはどのように成長してきた?

2024年6月26日、新宿で行われた新サービス発表会では、まず楽楽シリーズの市況概況について説明があった。経費精算と帳票発行の分野で大きな市場シェアを持つ楽楽シリーズは、今どのように利用され、新サービスのリリースはどんな背景から誕生したのか。吉岡耕児執行役員が具体的な数値を示しながら解説した。


楽楽シリーズはどのように成長してきた?

創業から24期連続で増収しているラクスの売上高は2024年3月期で384億円に達し、サービス累計導入社数は8万3000社に及んでいる(2024年3月末現在)。ラクスを牽引しているのが「楽楽精算」「楽楽明細」をはじめとするバックオフィス向けサービスだ。2022年には「楽楽電子保存」もリリースされ、時代に則ったサービスを展開している。

※資料p.6

楽楽シリーズは、インターネットを経由して利用できるソフトウェアであるSaaS(Software as a Service)の1つ。SaaS市場は今後も継続して拡大が見込まれ、ユーザーのニーズも多種多様化すると予想されている。

※資料p.8 引用元:株式会社富士キメラ 調査リリース

請求書発行における電子化が伸びている
最近目立つのが、電子請求書発行の領域が著しく成長していることだ。インボイス制度により、請求書発行における電子化が伸長した。それに伴い、電子請求書発行サービスである「楽楽明細」の導入社数も急増している。

※資料p.10

なお2024年10月には郵便料金が値上げされる。そのため紙の請求書を郵送している企業は、システム導入のうえ電子化することでコストダウンを図る動きを見せていると、吉岡氏は指摘した。

請求書の「発行」は電子化が進む、では「受領」は?
郵便料金値上げの他、インボイス制度への対応もあり、請求書の「発行側」は急速な電子化が進んでいる。しかし一方で請求書の「受領側」の業務負荷が発生し、課題が顕在化しているという。

ここで吉岡氏は請求書の受領に関する調査の結果を示した。668社を対象としたアンケートによると、請求書処理のフローとして、現場の担当者を経由して経理へ渡される企業が約7割を占めている。これは通常の業務に比べて、複雑性が高いといえる。

※資料p.13

なお、「受け取った請求書がインボイス制度に対応しているかを確認するのが手間」「さまざまな形式で届く請求書を取りまとめて確認・管理するのが手間」などの課題点を感じている企業も多く、請求書の受領が経理担当者にとって負担になっている現状が浮き彫りになった。

※資料p.14

請求書の受領方法は多岐にわたり、手作業や目視確認が多い。業務負荷がかかるのはもちろんのこと、ミスのリスクもある。しかし、請求書受領システムを「すでに導入している」と答えたのは、全体の22.3%にとどまった。

「楽楽請求」で受領請求書の処理業務を効率化

受け取った請求書の処理を効率化するサービスが必要との課題把握から、このたびの「楽楽請求」は誕生した。発表会では次に、ラクスのプロダクトマーケティングマネージャーを務める大群裕太氏が登壇。「楽楽請求」のプロダクト紹介を行った。

大群氏はまず、請求書の受領における実務で発生している業務負荷や問題点について、具体的にひもといた。

※資料p.25

実務では請求書を受領するとき、取引先によって違う担当者から請求書を集める負荷や、支払申請書へ内容を転記する負荷がかかる。そして自社の会計システムへ毎月仕訳を手入力しなければならない。さらに支払いの手配をするときも、振込先や金額を手入力する負荷がかかる。

同じ内容を手入力する機会が何度もあるため効率的とはいえず、転記ミスが発生する恐れも否めない。また、インボイス制度や電子帳簿保存法に対応すべく、請求書処理の負担はますます深刻化しており、今後もこの傾向は続くとみられる。

「楽楽請求」は、以上のような課題を解消するため、2024年7月1日より販売が開始される。すでに楽楽シリーズを導入している企業であれば、一気通貫での業務フロー支援が可能だ。

「楽楽請求」が解決する課題
「楽楽請求」が解決する課題は、主に以下の5つ。

・請求書を自動的にデータ化する
取引先から受領した紙の請求書のスキャンデータを何件も一括でアップロードし、データ化して保存する。メール添付の請求書であれば指定アドレスで自動取り込みを行うため、アップロードすら不要だ。

・申請・承認のコミュニケーションを削減
請求書の申請や承認といった社内のコミュニケーションをネットワーク経由で行えるようにし、また「自分が承認する申請はどれ?」「今どの承認ポイントにいる?」といった申請状況を正しく把握できるため、経理担当者が承認者に催促するような手間を省ける。

・手入力を極力なくしてミス防止
請求書を自動読み取りしデータ化するため、手入力をなくすことができ、転記ミスを防止できる。また確認工数も削減できる。

・仕訳データ作成を効率化する
「楽楽請求」は毎月同じ取引先から送られてくる請求書を記憶しているため、過去の記録をさかのぼって仕訳反映することが可能だ。さらに複数の請求書の仕訳をまとめて取り込めるため、会計システムに連携する仕訳データを1クリックで作成できる。

・銀行振込データ作成を効率化する
振込が必要な日付に従い、ワンクリックで振込データを作成して振り込むことが可能だ。月末月初にマンパワーで行っていた大量の振込処理を一気に効率化できる。

「楽楽請求」は2024年7月1日に販売開始、10月1日から順次提供が行われる。その後、アップデートを繰り返し行い、プロジェクトのバージョンアップをすすめていくことを想定している。

楽楽シリーズ、今後の展望

発表会では再び吉岡氏が登壇し、楽楽シリーズの展望を語った。楽楽シリーズでは、「楽楽請求」の他にもプロデュースを控えているサービスがある。「楽楽給与明細」が、「楽楽勤怠」から独立して、楽楽シリーズの7つめのサービスになるのだ。

「楽楽給与明細」では、給与計算ソフトなどで集計・計算された給与情報をCSVデータで取り込むことにより、給与明細の作成が効率化される。給与データを取り込んだらWEBで配布するため、従業員はスマホやPCから自分の給与明細を閲覧可能だ。本サービスは7月1日から提供を開始。これにより、人事労務領域でもプロダクトが強化される。

なお、今後はAIを使った既存サービスの改善機能強化を行うという。具体的にはAIOCRの精度を高めるために、AI技術を活用していく予定だ。

さらに2025年4月以降には、入金管理領域でサービスを立ち上げる。すでに「楽楽明細」のオプション機能として一部導入しているが、支払いが完了しているかを確認する業務フローの改善ツールとして単独サービスを開発する予定だ。

吉岡氏は「労働者の獲得が難しい状況が進む中、電子化の推進を支援していくことで経理DXを実現成功に導きたい」と宣言し、発表会を締めくくった。