ベネフィット・ワンと会計バンク業務提携発表会 「確定申告を福利厚生に」新時代の働き方支援
2025年11月27日、会計バンク株式会社と株式会社ベネフィット・ワンは業務提携を発表し、新サービス「ベネステ確定申告 Powered by FinFin」の提供を発表した。副業やスキマバイトが一般化する時代に、確定申告を福利厚生として提供する業界初の試みだ。会見では、両社の幹部が登壇し、サービスの背景、狙い、そして社会的意義を語った。本稿では、その発表会の模様をレポートする。
副業と所得控除の現状
最初に登壇したのは、会計バンク株式会社マーケティングマネージャーの加藤亨子氏。働き方の多様化と確定申告の現状をテーマに、最新データを交えて解説した。
一般社団法人日本経済団体連合会「副業・兼業に関するアンケート調査結果」によれば、副業を認める企業はすでに約5割を超えている。さらに、スキマバイトの約3割が会社員というデータもあり、副業は企業・個人双方で急速に広がっていることがうかがえる。こうした背景のもと、スポットワーカーの登録者数は全国で3800万人に達し、副業市場の裾野はますます拡大している。
一方で、確定申告に関しては「必要性がわからない」「手続きが面倒」「やり方がわからない」といった声が多数。会計バンクの調査では、副業者の半数以上が「20万円を超えると申告が必要」という基本ルールを知らないという結果になった。
所得控除制度の活用も進んでいない。ふるさと納税は寄付総額が1兆2728億円に上るが、約4分の1が控除を受けておらず、セルフメディケーション税制の活用世帯は全世帯のわずか0.08%にとどまり、認知度も77.6%が「理解していない」と回答している。
加藤氏は「本来なら可処分所得を増やせるはずなのに、制度を知らない・申告できないことで機会を逃している人が多い」と指摘。働き方の多様化が進む一方で、たくさんの人が本来受けるべき税制メリットを逃している現状を浮き彫りにした。
確定申告の民主化・全自動化
続いて登壇したのは、会計バンク常務取締役COOの小林紳一氏。「義務教育でも大学でも確定申告を学ぶ機会はない。『わからないのはおかしい』という発想自体が間違っている」と強調。会計バンクは「わからなくても、安心して、誰でも簡単にできる確定申告」を目指し、テクノロジーを駆使した全自動化に取り組んできた。
小林氏は「確定申告のサービスはいろいろありますが、副業やふるさと納税、医療費控除、寄付金控除、セルフメディケーション税制などに特化したものはこれまで存在しません」と語り、新サービス「ベネステ確定申告 Powered by FinFin」を正式にローンチすることを宣言した。
「この『ベネステ確定申告』がベネフィット・ワンさんの福利厚生サービス『ベネフィット・ステーション』で提供され、積極的なPRやマーケティング促進をしていただけると聞いております。次代の福利厚生を通じて、多様な働き方をする皆様に両社で価値を提供していきたいと思っています」
「ベネフィット・ステーション」は、ベネフィット・ワンが運営する法人向けの福利厚生サービスで、旅行やレジャー、育児・介護支援、学習など幅広い優待を提供している。今回「ベネステ確定申告」が加わることで、全国の会員は確定申告を福利厚生として利用できるようになる。
「ベネステ確定申告」のローンチメリット
会計バンク小林氏の言葉を受け、次に登壇したベネフィット・ワン執行役員の沢田雅浩氏は、「ベネステ確定申告」を福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」に組み込み、全国約1220万人の会員に提供する意義と導入メリット、機能の特徴を説明した。
「私たちは従業員の満足度や帰属意識の向上をテーマに福利厚生を展開してきました。今回の『ベネステ確定申告』も、従業員の可処分所得向上に十分寄与できると考えています。また、従業員だけでなく、人口減少や生産性向上といった国の課題、人的資本強化といった企業の課題にも、このサービスを通じて寄与できると考えています」
「ベネステ確定申告」の主な特徴は以下の3つだ。
あなたにぴったり申告診断
働き方や副業状況をヒアリングし、最適な申告モードを提示してくれる。
控除シミュレーション
支払った医療費、セルフメディケーション商品の購入額、年収を選択すると、医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらがお得かを判定してくれる。ふるさと納税の控除額も試算可能。
まるなげ控除
医療費や寄付金の書類をアップロードするだけで自動判別し、入力を代行して申告書に反映してくれる。
新サービス「ベネステ確定申告」は、これまで確定申告を経験したことがない人や、これから挑戦してみたい人を主な対象としている。初年度は会員に向けた特集記事やメールマガジン、SNSなどを通じた積極的なプロモーションを展開する計画だ。
沢田氏は「この『ベネステ確定申告』を通じて、改めて従業員様の満足度向上を目指し、企業様に展開していきたいと考えております」と意気込みを語った。
次世代の福利厚生として期待
今回の業務提携は、煩雑な確定申告を「わからなくてもできる」形に変える挑戦だ。副業やスキマバイトが広がる現代において、「ベネステ確定申告」は、企業と従業員双方にメリットをもたらす新時代の福利厚生として注目されるだろう。









