保育施設の働き方改革を推進。「KIDSNAキズナコネクト」長時間労働・サービス残業の是正へ
株式会社ネクストビート(東京都渋谷区)が実施した調査の結果、勤務先の保育施設に求める事項として「給与面の改善」が9割近い数字を記録。働き方の改善のため、時間外労働時間の集計状況などを「可視化すべき」との回答が8割に上った。
今春、株式会社ネクストビートが開発する保育園・幼稚園向け業務支援システム「KIDSNAキズナコネクト」は、時間外労働時間の集計機能を追加。勤務時間の集計を自動化、可視化できるようになった。早番・遅番などを含む保育施設の複雑なシフト管理に対応し、給与計算などの事務作業の負担を軽減し、保育士の長時間労働の是正や実情に合わせた適正な待遇の実現を推進する。
■保育士就職で一番に改善してほしいのは給与、集計可視化は「必要
株式会社ネクストビートが運営する「保育士バンク!」主催の就職・転職フェア参加者108人を対象としたアンケート調査の結果、勤務先に求める事項として「給与面」との回答が86%。また、働きやすい職場づくりのための施策として、時間外労働時間の集計結果や有休休暇の取得状況などの可視化を求める声は76%を記録した。
■長時間労働・サービス残業是正→人材課題の解消に
厚生労働省の統計で、2017年に私立保育園に勤めた保育士の1カ月の平均残業時間は約4時間だった。ただし、実態との乖離が指摘されており、サービス残業が常態化されているのではと危惧する声もあがっている。
東京都の調査によると、保育士の退職理由として「給料が安い」が最も多く、「仕事量が多い」「労働時間が長い」が2、3番目だった。
保育士不足の原因の一つは長時間労働と実際の待遇にあると考えられる。労働時間削減への取り組みや給与計算の厳格化は、人材不足解消の一手になることが期待される。
■可視化の必要性についての意見
「実際に数字で見えないと、働き方は改善されないと思う」(女性、在職中、経験3年未満)
「見える化にすることで意識的に行動を変えることができる」(女性、在職中、経験5年未満)
「証明できる具体的なものがないと納得しないから」(女性、在職中、経験3年未満)
■働き方改革をサポートする労働時間集計機能
これまでの勤怠管理機能は、始業時間と終業時間の記録に限定されていた。今回の機能増強で、倍率が様々に設定されている割増賃金も考慮した時間集計を自動化し、内訳を可視化する。
早朝保育や延長保育などに対応した早番・遅番の時間帯など、施設ごとの規定を「カスタム時間帯」として登録することで、様々な条件に応じられるようになった。
複雑なシフト管理が必要な保育施設だが、今回の機能強化で厳格かつ効率的な管理が可能になる。
■まとめ
今回のアンケート調査は保育士に対してだったが、一般の企業でも、サービス残業が常態化するなど、実際の待遇との差があるのではないか。
働き方改革の一つとして、給与計算を厳格化するこのようなシステムを導入するなど、長時間労働やサービス残業の是正が求められるだろう。