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「今の会社で働き続けたい」が5年ぶりに上昇!今年度新入社員のキャリアに対する意識調査

2020.05.01

 業界初の公開型定額制ビジネス研修「Biz CAMPUS Basic」を提供する株式会社ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション株式会社、本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔)は、同社が開催した研修(会場型・オンライン型)を受講した2020年度入社の新入社員3,128名を対象にキャリアに対する意識調査を行い、その傾向をまとめた。

調査の背景

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、政府が緊急事態宣言を発令してから約3週間。いまだ、外出自粛、物流の混乱、株価の乱高下、原油価格の暴落など、企業活動にとって先行きが不透明な状況が続いている。

 実際に、民間の信用調査会社、帝国データバンクが4月23日に発表した調査によると、上場企業259社が業績予想を下方修正したほか、販売不振に陥るなどした企業が85社倒産したことが判明。また、日本経済団体連合会(経団連)が会員企業1,470社を対象に実施した調査によると、97.8%(回答社数406社)がテレワーク・在宅勤務を実施しており、多くの企業で働き方に急速な変化が起きている。

 ラーニングエージェンシーでは、こうした事態が新入社員の意識にどのように影響しているのか、2020年度に入社した新入社員3,128名を対象に意識調査を実施し、過去の調査結果との比較分析を行った。なお本調査は、同社が2014年から毎年実施しており、今年で7回目となる。

調査結果の概要

調査結果の概要

1.「今の会社で働き続けたい」新入社員の割合が59.1%と5年ぶりに上昇
2.「いざというときのために」専門性を高めたい新入社員の割合が調査開始以来最高の54.6%
3.「上司に相談する機会」を求める新入社員の割合が調査開始以来最高の48.8%
4. 就職活動については変化が見られず

1. 「今の会社で働き続けたい」新入社員の割合が59.1%と5年ぶりに上昇

1. 「今の会社で働き続けたい」新入社員の割合が59.1%と5年ぶりに上昇

 今の会社での勤続意向について、59.1%の新入社員が「できれば今の会社で働き続けたい」と答え、5年ぶりに上昇した(図1)。2016年度以降新入社員の就社意識は年々低下し、昨年は全体の半数ほどに低下していたが、今年は一転、6割近くまで上昇。

同社が実施した新入社員研修の参加者からは、「社会人生活が在宅勤務からスタートし、社会人らしさを感じられず不安」「新入社員研修後から自宅待機となり、いつまで続くか不安」といった声が上がっている。

 こうした先行きへの不安の裏返しからか、今の会社で働き続けたいと思う新入社員の割合が大きく増加した。

2. 「いざというときのために」専門性を高めたい新入社員の割合が調査開始以来最高の54.6%

2. 「いざというときのために」専門性を高めたい新入社員の割合が調査開始以来最高の54.6%

 「将来会社で担いたい役割」を問う質問に対して、管理職や経営者などではなく、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」と答えた31.1%の新入社員に、その理由を聞いた(図2-1)。

 「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたいから」が54.6%となり、調査開始以来、最も高い割合となった。

 こちらも先行きへの不安からか、もしものときに備えて専門性を磨いておきたいと志向する新入社員が増えたと考えられる。

 

 

 「今後どのような仕事をしていきたいか」という質問に対しては(図2-2)、昨年同様、「楽しくてやりがいのある仕事(73.1%)」が最多に。

 伸び率で見ると、「広範囲なスキル・知識が求められる仕事(21.2%)」が昨年の約2倍に。「いざというとき」のために専門性を高めておきたいと考えるのと同様、広範囲なスキル・知識を身につけることで環境の変化に対応するための意識からだろう。

3. 「上司に相談する機会」を求める新入社員の割合が調査開始以来最高の48.8%

3. 「上司に相談する機会」を求める新入社員の割合が調査開始以来最高の48.8%

 「キャリア形成支援について会社に期待することは何か」という質問(図3-1)では、「上司に相談できる機会をつくってほしい」が48.8%と昨年から10ポイント近く伸び、過去最高に。また「上司以外の社員に相談できる機会をつくってほしい」も29.7%と、調査開始以来最も高い割合となった。

 在宅勤務や自宅待機によって対面でのコミュニケーションを取る機会が少なく、今後に対する不安も抱えていることから、上司や先輩社員に相談できる場を求める新入社員が増えたのではないかと推測できる。

 

 

 また、どのような状況なら今の会社で働き続けようと思うか聞いたところ(図3-2)、「職場の人間関係が良い」状況なら働き続けたいと答えた新入社員が66.6%と最多だった。在宅勤務や自宅待機、プライベートでは外出の自粛など、職場に限らず人と接する機会が減っていることもあり、人間関係を重視する傾向が表れたのではないかと考えられる。

4. 就職活動については変化が見られず

4. 就職活動については変化が見られず

 就職活動に関する質問については、新型コロナウイルスの感染拡大が起きる前の時期に就職活動を行っていたためか、過去の結果と大きな変化は見られなかった。(図4-1、図4-2)。

 状況が激変したことで、新入社員の意識に変化が起きた可能性が高いと推測される。

まとめ

 今回の調査から、今年度の新入社員の就社意識は例年と比べて高く、また、万が一の場合に備えて専門性を高めておきたいと考える新入社員が増えていることが明らかとなった。さらに、会社に対して、上司などに相談する機会をつくってほしいと答える新入社員も増えている。このような新入社員の意識変化には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入社直後の在宅勤務や自宅待機のほか、景気の急速な悪化などによる様々な不安が大きく影響していると考えられる。こういった状況の中で新入社員を迎え入れた会社側には、上司に相談できる場の設定など新入社員の不安を払拭するような取り組みが求められているといえそうだ。

 今回の調査から明らかになった新入社員の意識を踏まえて、不安の払拭はもちろん、どのようなキャリア形成をしていきたいか個々人とコミュニケーションを取っていく必要もありそうだ。

 

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