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「新入社員の入社後のコンディション推移調査」特に重要なのは「入社直後のケア」

2021.03.29

 株式会社リクルートマネジメトソリューションズ(本社:東京都品川区、代表:藤島敬太郎)は、2015年4月から2021年2月に取得した約2万3千人のデータ合計約20万件を対象に、新入社員の入社後のコンディションの推移と年度変化を分析し、公表した。

年度後半になるにつれコンディション良好社員が減少

年度後半になるにつれコンディション良好社員が減少

 コンディションを良好な順に、「イキイキ」「イキイキ(要注意)」「モヤモヤ」「ギリギリ」「ヘトヘト」で分けて分析を行った。「入社後1年間の月別コンディション推移」を調査したところ、コンディションが良好な社員の割合は4月には93.8%なのに対し、年度の後半になるにつれて割合が減少し、3月には78.2%まで減少している。年度の後半になるにつれて徐々にコンディションが良好な社員の割合が減少していることが明らかとなっている。

 また、「コンディション悪化回数」を分析したところ、入社3ヶ月間において1回以上悪化した群の方が、その後も悪化する傾向にあることが明らかとなった。入社後3ヶ月間で1回も悪化していない社員がその後の9ヶ月間で悪化する回数は平均1.2回であるのに対し、入社後3ヶ月間で1回でも悪化した社員は平均4.4回である。以上の結果から、入社後3ヶ月間のケアが重要であることに変わりはないが、状態悪化者に対しては通年でケアする重要性が伺えた。

2020年はコンディション良好社員の割合が高い

2020年はコンディション良好社員の割合が高い

 「コンディション推移の年度間比較」を分析したところ、2020年に置いては例年に比べて同月のコンディションが良好な社員の割合が多く、悪化する社員の割合が少ないことが明らかとなった。特に2月度は、コンディションが良好な社員の割合が85.6%と過去最高であった。

2020年は「職場での気疲れ」が軽減

2020年は「職場での気疲れ」が軽減

 「負担感尺度の年度間比較」を分析したところ、2019年までは似たような傾向で「仕事のプレッシャー」は通念で高く、それ以外の尺度は4月から3月にかけて上昇していた。しかし、2020年は「働く環境」や「周囲のサポート」に関する負担感が例年と比較して上昇しにくいことが明らかとなった。

2020年は「成長実感」が不足傾向

2020年は「成長実感」が不足傾向

 「モチベーション尺度の年度間比較」を分析したところ、2020年は「将来展望」を含むほとんどの尺度で前年と似た傾向であるが、「成長実感」については例年4月が最も高く、3月にかけて低下していくのに対し、2020年は4月の値が相対的に低く、その後も大きな変動は見られなかった。これは、オンライン研修が多く、職場でのOJTを通じた働くことへの実感を十分に得られていないことが伺える。

まとめ

 同社の調査担当研究員は、2021年度入社の新入社員受け入れのポイントとして、以下2点を挙げている。

 「1点目は、新入社員の入社後適応期間(オンボーディング期間)と経験のデザインの見直しです。先行研究で入社3年目までの支援の重要性は多く語られてきました。2020年はこれまで1年目に想定していた経験ができず2年目以降で経験することになります。これは自律的に働けるまでに必要な期間が長くなることを意味します。入社2年目以降の経験のデザインを再検討する必要があるでしょう。入社後適応期間の経験のデザイン見直しにあたっての重要な観点は、新たな働き方にともない、若手社員が新たに力を発揮できる仕事も生まれていることです。そうした側面にも目を向けながら、成長の定義や、成長に向けた経験のデザインについても合わせて見直しを行う必要があるでしょう。

 2点目は、人事データの積極活用です。テレワークなど新入社員の状況が見えにくい環境では、コンディションを把握するサーベイ結果などの人事データは個人や集団の状況を可視化し、その状況に至った要因を把握する有用なツールとなり得ます。また人事データを用いて個々人の状態をきめ細かく把握することは、昨今の若者の「自分のことを理解し、自分にあった丁寧な指導やフォローをしてほしい」という価値観にも沿うものといえます。これまで経営や人事部門のみが全体施策の検討のために利用していた人事データを、職場の上司が職場でのマネジメントツールとして活用することをお勧めします。」

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