リタイア時に住宅ローンは「返す?」「返さない?」
三井住友信託銀行株式会社が設置している「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」(所長:丸岡 知夫)は、20歳~64歳の男女1万人を対象に「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」を実施した。
老後資金平均は約1,800万
「家計(世帯)における老後資金の必要額」について尋ねてみると、全世帯平均で約1,800万円となった。回答結果を各年代別にみてみると、1,500万円~2,500万円を頂点として、おおむね、なだらかに分布していることが確認できた。
各世帯の家族構成や働きかたが多様化してきており、それに伴って、各世帯が受給する公的年金の種別や受給額にも幅が生じてきている。こういった背景から「自助努力で備えておく老後資金の必要額」も世帯事情に応じてバラつきが生じているのだろう。
ポイントは負債と資産のマッチング管理
リタイア後の収入面での支えは、「年金収入」と「資産収入」だ。「定年引上げ・雇用延長」により現役時代が延びることで、老後資産形成の時間も伸び、マネープランを実践できる期間も長くなることから、「今から老後資金準備を始めても間に合う」という人が多くなるだろう。しかし、ポイントとなるのは家計面での負債サイドと資産サイドのマッチング管理だ。
「家計におけるローン利用(ローン予定)の有無」「リタイア時点での家計の負債をどうするか」を尋ねたところ、「現在ローンは利用していない、これからもローンは利用しない」が6割、「ローンを利用している、利用する予定」が4割となった。
ローン利用者世帯を見てみると、約8割の世帯が現役時代の負債はリタイア時には無くしておきたい意向が強いことが確認できた。
一方、見落としがちなのが、「リタイア後もローン返済を継続」する選択肢。現在返済中のローン金利や完済までの期間などを勘案した上で、「家計の資産を運用することで得られる収益で、ローンの返済ができるのであれば、資産と負債を両建てで管理していく」選択肢も考えられる。
調査概要
調査対象:全国の20~64歳の男女
調査方法:WEBアンケート
調査時期:2021年3月
サンプル数:10,920サンプル
まとめ
重要なことは、「資産サイドのみ」で老後資金準備を考えないということだといえそうだ。この観点から、家計における「資産と負債のマネジメント(総合した管理)」は、今後、重要性を増してくると考えられる。
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