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“雑談”がちょっと生まれやすくなる条件「終わりの時間がよめる」「ながら・ついで」「共同作業」「共通の話題」「ヨコ並び」

2023.11.24

サントリー食品インターナショナル株式会社が展開する「社長のおごり自販機」は、雑談がちょっと生まれやすくなる5つの条件を見出した。

概要

昨今、コロナ5類移行に伴う出社回帰の流れを受け、社員同士のコミュニケーションを活性化する企業の取り組みが増えている。

そうした中、「社長のおごり自販機」の設置企業は、導入から2年で360社を超え、累計の利用者は延べ600万人(300万ペア)を突破した。本サービスは“あいさつ以上・食事未満”の気軽なコミュニケーションが生まれやすくなるのが特長で、利用者からは「気軽に話しかけやすい」「出社する楽しみが増えた」「初めての人でも話しかけやすい」といった声が挙げられている。

そこで同社は、雑談がちょっと生まれやすくなる条件を探るべく、雑談研究者 清水崇文氏(上智大学 言語教育研究センター教授)の監修のもと、設置企業120社へアンケート調査を実施。「社長のおごり自販機」の利用方法と合わせて分析した結果、「雑談がちょっと生まれやすくなる5条件」を見出した。

雑談がちょっと生まれやすくなる5つの条件

雑談がちょっと生まれやすくなる5つの条件

条件1「終わりの時間がよめる」
「社長のおごり自販機」利用時の雑談時間は「約3分」。一方、長い(負担になる)と感じる雑談時間は「約9分~」となった。さらに、なぜ「社長のおごり自販機」で雑談が生まれていると思いますか?という質問に対して、「気軽に誘いやすい」「誘われる方も気軽に応じられる」という項目が高く出ている。誘う人/誘われる人の双方にとって“終わりの時間がよめる”ということが、気軽に雑談ができることへ寄与していると考えられる。

条件2「ながら・ついで」
雑談の場面は、雑談をする目的で集まる場合(例:飲み会)と、何かをしているついでに雑談をする場合(例:作業中)に分けられる。「社長のおごり自販機」では、無料で飲み物を受け取りにいく行為をしている“ついで”に雑談が生まれている。“雑談をするために一緒にいる”わけではないため、よりリラックスした状態で会話が生まれることにつながっているものと考えられる。

条件3「共同作業」
「タッチする際に共同作業が発生する」という項目に着目。「社長のおごり自販機」利用時は、「一緒に自販機に向かう」「社員証を同時にタッチする」「一緒に飲む」という行動を共にすることで心理的距離が近くなり、仲間意識が育まれ、雑談が生まれやすくなっているものと考えられる。

条件4「目の前にある共通の話題」
「飲み物という共通の話題があるから」という項目に着目。目の前にあるモノや出来事といった共通事項(例:天気の話、電車からみえる景色の話など)は雑談の格好の話題だ。相手も自分も同時に認識できる対象について話すことは「共通点の確認」をすることになり、相手との心理的距離を縮めるのに役立つ。

条件5「適度な距離でヨコ並び」
「自販機まで移動しながら話ができる」という項目も多くの回答が出ている。「ヨコ並び」の位置関係では、距離が適度にひらき、視界が開け圧迫されず、リラックスしやすい効果がある。これも雑談が生まれやすくなっている要因のひとつと考えられる。

まとめ

監修者の清水崇文氏によれば、雑談の本質は、「相互的な自己開示によるラポールの醸成」だという。ラポールとは信頼関係のこと。お互いに心がつながりあっている、通じ合っていると感じられる状況を指す。職場においては、雑談は、心理的安全性や生産性に良い影響を与え、この積み重ねが、生産性に影響を与えるのだという。令和2年度に厚生労働省が事業者および労働者を対象に実施した「テレワークの実施状況とストレスおよびメンタルヘルスに関連する要因に関する実態調査」の報告書によれば、社員がストレスを感じる項目として約5割が「上司や同僚との意思疎通がとりづらい」と回答している。会話の機会をどう増やすか、本調査結果を参考に検討してみてはいかがだろうか。

参照:厚生労働省「基本属性・テレワークに特有のストレス分布」