雇用保険被保険者要件が10時間以上に「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が閣議決定
2024年2月9日、厚生労働省は「雇用保険の対象拡大」「教育訓練支援の充実」「育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保」などを盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律案」を提出し、同日に閣議決定された。これにより、雇用保険被保険者の要件のうち、週所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に変更されることになる。施行期日は一部を除き2025年4月1日から。
法律案概要
厚生労働省の資料では、改正の趣旨について「多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる」と記されている。
今回の法案の大きなポイントは、雇用保険の対象拡大と言えるだろう。これまで雇用保険の被保険者になるためには、要件として「週20時間以上」の労働時間であることが定められていた。同改正法案ではこれが「週10時間以上」に変更する方針が示されており、短時間勤務者であっても休業給付金や失業給付などを受け取れるようになる(2028年10月1日施行予定)。
また、同改正法案では「教育訓練やリ・スキリング支援の充実」として「自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする」と示された。さらに、教育訓練給付金の給付率引き上げや、在職中に教育訓練のための休暇を取得する被保険者のための新たな給付金創設などが行われる予定だ。
育児休業給付については国庫負担引き下げの暫定措置廃止、育児休業給付の保険料率の弾力的な調整などが示された。
そのほか、雇用保険制度の見直しとして、教育訓練支援給付金の給付率の引下げ及びその暫定措置の2026年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の2026年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等が実施されることも示されている。
まとめ
働き方や生計維持の在り方が多様化していることを踏まえ、より効果的に支えるセーフティネットを構築するという趣旨のもと、雇用保険の対象が短時間労働者にも広がることとなる。同改正法案の施行期日は一部を除き2025年4月1日となっており、雇用保険の対象拡大は2028年10月1日施行予定だ。まずは概要を確認し、同改正法案の全体像を把握しておくといいだろう。