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8割以上がパワハラを理由に転職・検討【現役ビジネスパーソンに聞いた「パワハラ被害」の実態調査】

2024.04.15

総合転職エージェントの株式会社ワークポート(所在地:東京都品川区、代表取締役社長COO:林 徹郎)は全国のビジネスパーソン661人を対象に「パワハラ被害の実態」についてアンケート調査を実施した。ここでは調査結果の概要をお伝えする。

65.5%がパワハラを受けた経験あり この3年で大きな増減なし

65.5%がパワハラを受けた経験あり この3年で大きな増減なし

同社は2022年から継続的に、全国のビジネスパーソンを対象としたパワハラ被害の実態調査を行っている。パワハラ被害にまつわる報道が後を絶たない中、現在の状況を調査し、過去の結果と比較した。

その結果、本調査では65.5%が現在の勤務先(または直近の勤務先)で、パワハラを受けたことがあると回答。2022年調査時の66.6%、2023年調査時の65.2%と比較しても、大きな増減はなかったことがわかった。

2022年調査結果 出典元:【調査報告】職場の「パワーハラスメント」の実態について 職場でパワハラ被害を受けたことがある人は66.6%という実態が明らかに!  パワハラ防止策は現状捗らず 対策実施企業は35.0%かつ61.2%が対策に不満足 職場を頼れず泣き寝入りするしかない人も多数(株式会社ワークポート)
2023年調査結果 出典元:【調査報告】現役ビジネスパーソンに聞いた!職場の「パワーハラスメント」の現状について 中小企業のパワハラ防止措置義務化から約1年 防止策の実施率は12.4ポイント上昇するも パワハラ被害率は65.2%の現状 職場を頼れず泣き寝入りする人が多数(株式会社ワークポート)

パワハラの被害例と対処法

パワハラの被害例と対処法

同社は続いて、パワハラを受けたことがあると回答した人に、具体的にどんなパワハラを受けたか質問。その結果78.5%が「暴言・侮辱(言葉の攻撃)」と回答し、最多に。次いで「能力の過小評価・成果を認めない(44.3%)」「過剰・過酷な業務の強制(37.2%)」が続いた。同社によれば過去の調査結果とも大きな変化は見られず、心理的な攻撃を与える陰湿なパワハラが多い傾向が読み取れる。

また、パワハラを受けたときの対処法については「誰にも相談せず我慢した(46.4%)」「上司に相談(31.9%)」「家族・友人に相談(27.5%)」「同僚に相談(27.0%)」「相談窓口(部署)に相談(14.1%)」が挙げられた。なお、対処をした結果については59.1%が「解決しなかった」と回答し「解決した」は12.0%に留まった。

パワハラ被害により「転職を検討・転職した」82.5%

パワハラ被害により「転職を検討・転職した」82.5%

さらに同社は、パワハラを受けたと回答した人全員に、パワハラが理由で転職した経験はあるか聞いたところ「転職した(38.6%)」「転職を検討した/検討中(43.9%)」が合わせて82.5%となったことを明らかにしている。同社は前出の回答で「パワハラが解決した」とする人が12.1%に留まったことに触れ、勤務先での解決は諦め、転職により解決を図ろうと考える人が多いと推察した。

なお、同社の転職コンシェルジュ(求職者担当)205名を対象に実施された調査では、同社の転職相談サービスのカウンセリングの中でも、過半数である60.5%がパワハラ被害の相談を受けていたことも明らかになっている。

被害に遭った求職者から「暴言の常態化から若手社員の離職が相次ぎ、勤務先に将来性を感じられなくなった」などと嘆きの声を聞いた転職コンシェルジュもいるとして、キャリア形成においてもパワハラの影響は決して小さくないとの見解を示している。

これを受けて同社は、パワハラを受けたと回答した人全員に、パワハラは自身のキャリア形成に支障をきたしたと思うか質問。その結果「かなりそう思う(62.6%)」「ややそう思う(25.6%)」と、合わせて88.2%が「そう思う」と回答していることも報告した。

勤務先のパワハラ防止策とその満足度

勤務先のパワハラ防止策とその満足度

続いて同社は、対象者全員に、勤務先(または直近の勤務先)でパワハラ防止に関する取り組みが行われているか質問。「はい」と回答した人は44.3%と半数未満であったことがわかった。この結果について同社は過去の調査と比較を行っており、2022年調査時の35.0%から、中小企業にもパワハラ防止措置の義務化が適用され、2023年調査時には47.4%に上昇したものの、それ以降大きな変化がないことを報告した。

具体的な防止策としては「相談窓口の設置(84.3%)」「社内研修の実施(59.0%)」「定期的な社内アンケートの実施(35.8%)」「社外研修の実施(11.3%)」などが挙げられている。

また「勤務先でパワハラ防止の取り組みはある」と回答した人の満足度は「まったく満足していない(27.0%)」「あまり満足していない(34.5%)」と、合わせて61.5%が不満足という回答をしていることがわかった。

なお、勤務先はパワハラ防止に取り組んでいないと回答した人を対象とした「取り組みの実施を希望するか」との設問では「かなりそう思う(63.6%)」「ややそう思う(23.1%)」と、合わせて86.7%が取り組みを希望していることが明らかになった。

調査概要

調査内容 :ビジネスパーソンのパワハラ被害の実態について
調査機関 :株式会社ワークポート調査
調査対象 :株式会社ワークポートを利用している全国のビジネスパーソン/20代~40代・男女
有効回答 :661人
調査期間 :2024年3月13日~3月21日
調査方法 :インターネット調査
出典元:【調査報告】現役ビジネスパーソンに聞いた「パワハラ被害」の実態調査 パワハラを「受けた」65.5% 被害例は暴言が最多の78.5% 59.1%が対処をしても解決しなかった 82.5%がパワハラを理由に転職した・転職を検討 「加害者の無自覚」「上司のもみ消し」厳しい現状(株式会社ワークポート)
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある

まとめ

本調査結果からは、パワハラ被害を受けている人はいまだ多く、パワハラ防止に関する取り組みを実施できている企業も半数以下であることが明らかに。また、被害に遭った人の半数以上が「解決できなかった」としていることや、8割を超える人がパワハラをきっかけに「転職した」もしくは「転職を検討した」としていることもわかった。

同社は本調査結果について「課題解決を困難にさせている要因一つひとつに向き合ったうえで、実態に即した対応を徹底していくことが必要だといえます」とコメント。

厚生労働省の資料では、職場における望ましい取り組みについても紹介されている。本資料や調査結果を参考に、自社での今後の取り組みについて改めて検討する機会としていただきたい。

参考:2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!(厚生労働省)