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「不適切会計」開示が3年連続で増加 2023年度に58社・62件が発生

2024.05.27

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、自社開示、金融庁・東京証券取引所などの公表資料に基づき、上場企業、有価証券報告書の提出企業を対象に「不適切な会計・経理(以下:不適切会計)」で過年度決算に影響が出た企業、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計。2023年度の不適切会計開示は58社・62件で、3年連続で社数、件数ともに前年度を上回ったことを発表した。

※同一企業が調査期間内に内容を異にした開示を行った場合、社数は1社、件数は2件としてカウント

開示企業数が緩やかに増勢へ 2023年度は58社(62件)

開示企業数が緩やかに増勢へ 2023年度は58社(62件)

TSRによると、2023年度に不適切会計を開示した上場企業は、58社(前年度比5.4%増)、件数は62件(同10.7%増)で、3年連続で社数、件数が前年を上回っている。2008年度に集計を開始以降、2019年度の74社・78件をピークに、2020年度は48社・50件まで減少していたが、緩やかながら3年連続で増勢に転じていることが明らかになった。

2023年度に不適切会計を開示した上場企業は58社のうち、ITbookホールディングス株式会社(東証グロース)、株式会社ラックランド(東証プライム)、株式会社建設技術研究所(東証プライム)、東京産業株式会社(東証プライム)の4社は、それぞれ2023年度内に2件、開示を行ったという。

TSRは、上場企業は2021年度までは海外子会社や関係会社で不適切会計の開示が多かったが、2023年度は国内外連結子会社などの役員や従業員による着服横領が目立ったことを報告している。なお内容別では、最多は経理や会計処理ミスなどの「誤り」で30件(構成比48.4%)。次いで、子会社・関係会社の役員、従業員の「着服横領」が21件(同33.9%)だった。

業種別では、「サービス業」の15社(構成比25.8%)が最多で、従業員の不適切取引などによる「着服横領」や連結子会社での過大請求などの「誤り」が増えたという。

出典元:2023年度の「不適切会計」開示は58社・62件 3年連続で増加、業種別ではサービス業が最多(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

一時は減少傾向にあったという不適切会計だが、この3年で緩やかながらも増勢に転じていることが明らかになった。こうした現状についてTSRは「売上、利益拡大など業績優先の意識やステークホルダーに対する情報隠蔽など、不適切会計を根絶できない背景には様々な要因が隠れている。また、不適切会計が判明後の再発防止の仕組みづくりは容易ではない」とコメント。改めてコンプライアンスやコーポレートガバナンスへの取り組みに注力する必要性を指摘した。

株式会社帝国データバンクの調査によれば、コンプライアンス違反企業の倒産件数も2023年度は前年度から16.6%増と、3年連続で増加傾向にあることがわかっている。

コンプライアンスの徹底には形を整えるだけでなく、従業員への周知と、法令遵守の重要性への理解と実践が欠かせない。この機会に自社での取り組みについて、改めて見直してみてはいかがだろうか。

コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2023年度)(株式会社帝国データバンク)