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2024年5月の企業倒産件数が前年同月46.4%増に TDB調査

2024.06.11

帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年5月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計し、分析を行った。倒産件数は25カ月連続で前年同月を上回り、12年ぶりの1000件超えになったという。分析結果の概要についてお伝えする。

調査概要

集計期間:2024年5月1日~5月31日
発表日:2024年6月10日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
集計機関:株式会社帝国データバンク
出典元:倒産集計一覧(株式会社帝国データバンク)

2024年5月倒産集計の概況と主要ポイント

2024年5月倒産集計の概況と主要ポイント

TDBによると、2024年5月の倒産件数は25カ月連続で前年同月を上回り、1016件(前年同月694件、46.4%増)となっている。1000件を超えたのは、2012年5月(1013件)以来12年ぶりだという。前年同月より322件多く、増加数ではリーマン・ショック直後の2008年9月(337件増)に次ぐ2番目の多さだったことが報告された。なお、負債総額は3カ月連続で前年同月を下回り、1260億9700万円(前年同月2797億4000万円、54.9%減)となっている。

TDBは主要ポイントとして「業種」「主因」「態様」「規模」「業歴」「地域」それぞれの分析結果を下記の通りまとめている。

業種別:全7業種で前年同月を上回り「サービス業」では2000年以降最多の244件に。「運輸・通信業」では「道路貨物運送」が前年同月3倍超の45件で、2000年以降最多となっている。

主因別:「不況型倒産」の合計は843件で、25カ月連続で前年同月を上回り、増加期間は2000年以降で最長に。

態様別:「破産」は957件発生し、約11年ぶりの900件超えを記録した。

規模別:負債「5000万円未満」(624件)が最多となり、資本金「個人+1000万円未満」(722件)は、全体の約7割を占めた。

業歴別:「新興企業」が315件で、2000年以降で最多を更新している。

地域別:全9地域で前年同月を上回っており「九州(前年同月57件→99件、73.7%増)」は、5月としては2000年以降で最多となった。

注目の倒産動向

注目の倒産動向

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産
TDBによると「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、2024年5月に78件発生。前年同月の55件と比較すると41.8%増加しており、過去最多だった2024年3月(82件)に次ぐ2番目の高水準である。「不良債権(焦げ付き)」に相当するコロナ融資喪失総額は推計で約902億1800万円。これは、国民一人あたり750円超の負担が発生している計算になるという。

人手不足倒産
2024年5月に31件発生し、前年同月比106.7%増と倍増した「人手不足倒産」。2024年1-5月累計は149件と前年同期(87件)を大幅に上回っており、TDBは過去最多ペースで推移していることを報告した。従業員や経営幹部などの退職・離職が直接・間接的に起因した「従業員退職型」の倒産は10件発生し、前年同月(3件)の3倍超となった。

後継者難倒産
「後継者難倒産」は2024年5月に48件発生。前年同月の42件から14.3%増加し、前年同月を上回ったのは2カ月ぶり。業種別では「建設業(13件)」が最多で「小売業(10件)」「製造業(8件)」が続いている。TDBの報告によれば、このうち経営者の病気・死亡が直接の要因となった倒産は、5月全体の54.2%を占める26件であったという。

物価高(インフレ)倒産
「物価高(インフレ)倒産」は、2024年5月に99件発生し、前年同月比47.8%増に。過去最多だった2024年3月(106件)に次ぐ高水準となったことが報告された。業種別では「建設業(32件)」「小売業(19件)」「運輸・通信業(16件)」が特に多いという。また、十分な価格転嫁ができず経営破綻に至った「値上げ難型」の倒産は24年5月に13件発生している。

まとめ

TDBは本分析結果を受けて、企業倒産は年後半にかけて増加基調を強める可能性があると指摘する。2024年5月の倒産件数は2012年5月以来12年ぶりの1000件超えとなっており、リーマン・ショック時にも匹敵する水準までシフトしつつあるという。

TDBは金利上昇の影響についても注目しており、2024年4月に実施した調査(※)では4割近くの企業が「マイナスの影響の方が大きい」と回答したことを報告。特に「不動産」「製造」での警戒感が強いという。

取引先の経営状態が悪化し倒産すれば、債権の全額回収が困難となる場合も。一方で、倒産企業の周辺には様々なニーズが生まれるため、新たな顧客獲得のチャンスにつながることもある。関連する業界をはじめ、周辺企業の動向は常に注視しておきたいところだ。

※出典元:金利上昇による企業への影響調査(2024年4月)(帝国データバンク)