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残業規制が現場にもたらした変化とは?実労働時間が減った人は約3割にとどまる

2024.06.26

レバレジーズ株式会社が運営するフリーター・既卒・第二新卒向け就職支援サービス「ハタラクティブ」は、2018年3月以前から現在にかけて正社員として勤務している男女399名を対象に、働き方改革の残業規制における残業の実態調査を実施。現場にどのような影響をもたらしたかを明らかにしている。調査結果の概要についてお伝えする。

調査概要

調査対象:2018年3月以前より正社員として勤務している男女399名
調査年月:2024年4月23日~4月26日
調査方法:インターネット調査
回答者数:399人
調査主体:レバレジーズ株式会社
実査委託先:GMOリサーチ株式会社
出典元:レバレジーズ株式会社
※本調査において、企業規模の分類は以下の基準に基づく
・大企業:社員数500名以上
・中小企業:社員数20名以上500名未満
・小規模企業:社員数20名未満

残業規制による変化「残業時間の可視化」多くが本質的な取り組みには至らず

残業規制による変化「残業時間の可視化」多くが本質的な取り組みには至らず

本調査ではまず、就業先で残業時間削減に関する施策は実施されているか質問。その結果、約4人に1人が「実施実感無し(25.6%)」と回答している。

企業規模別にみると、企業の規模が小さくなるほど従業員の残業削減に関する施策の実施実感が低く、小規模企業では半数以上が「実施していない(52.9%)」と回答したという。

具体的な取り組みとしては「残業時間の可視化(62.0%)」「長時間労働者への声がけや配慮など、勤怠管理の整備(48.5%)」が上位に。労働生産性を本質的に向上させる「オペレーションの工夫・改善(17.2%)」「機械化・自動化を目指したシステムの導入(12.8%)」「リスキリングの導入など、従業員の能力の向上(4.4%)」などの取り組みは下位となった。

実労働時間の削減進まず 約5人に1人は「サービス残業増えた」

実労働時間の削減進まず 約5人に1人は「サービス残業増えた」

本調査結果を見ると、働き方改革における残業規制の前後で「実労働時間※が削減された(30.3%)」と回答した人は約3割にとどまっている。

さらに「残業規制によりサービス残業が増えたと感じるか」という質問では、約5人に1人が「サービス残業が増えたと感じる(23.3%)」と回答した。

本結果について同社は「企業の残業削減に関する取り組みは、本質的な残業改善に至ってない施策が目立ちます。会社に申請できる残業時間が減っただけで、実際の業務量は変わらないため、結果として『残業を隠さざるを得ない』状況に陥っていることが予想されます」との見解を示している。

※ 実労働時間:使用者の指揮命令に従い実際に労働している時間(休憩時間は含まない)

物流業界では約2割の人が「給与減」

物流業界では約2割の人が「給与減」

続いて本調査では、残業規制を受けて給与に変動はあったかについて質問している。その結果、約8割は「変わらない(76.2%)」と回答したものの、約1割は「給与が下がった(11.0%)」と回答したことが明らかになった。

また同社は、2024年4月から「時間外労働の上限規制」が適用された物流・建設業界と、その他の業界を比較。その結果、物流業界においては約5人に1人が「給与が下がった(22.5%)」と回答。建築業界(6.5%)やその他の業界(10.6%)と比較して高い数値が出ていることがわかった。

同社によると、給与が減ったと回答した物流業界の正社員からは「今まで残業をする事でなんとか生活出来ていたのに、残業が出来ないせいで収入が減り、転職を考えなくてはいけなくなった」といったコメントが寄せられているという。

まとめ

残業規制は労働者にいい変化をもたらしたとは言えない調査結果となった。サービス残業が増加した人や給与の減少があった人にとっては、転職や副業を検討する機会ともなりかねない状況だろう。

本来、残業時間を削減するためには労働生産性や業務効率の向上を図る必要がある。しかし、具体的な取り組みとして最も多く挙げられたのは「残業時間の可視化」であった。本質的な残業削減となるよう、業務の見直しに取り組むことは急務と言えそうだ。