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ミドル世代の日米比較、将来のキャリアに対する考えの違いは? リクルート調査

2024.07.05

株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘)は、日本の労働市場の課題を明らかにするため、リクルート・Indeed「グローバル転職実態調査2023」のデータを用いて、追加の分析を実施。社会の変化に伴い終身雇用・年功序列といった制度や価値観が揺らぎ、個人が主体的にキャリアを築いていく必要性が認識され始めている中で、日本の労働市場で多くの割合を占める40歳~59歳の「キャリアについて考える機会」に注目した。

調査概要

調査対象:フルタイム勤務者で直近に転職を経験している者
週労働時間:35時間以上 これまでに勤めた企業数:2社以上 現在の会社の勤務年数:2年未満
有効回答者数:アメリカ 1248/日本 1248
調査期間:アメリカ 2023年 10月 20日~11月 2日/日本 2023年 10月 10日~10月 25日
出典元:個人のキャリアに関する日米比較 ミドル世代の状況とキャリア自律の効果(株式会社リクルート)
※本レポートにおいては40歳~59歳の方をミドル世代として定義

日本の労働力人口のうち約4割を占めるミドル世代

日本の労働力人口のうち約4割を占めるミドル世代

同社は総務省統計局の「令和5年労働力調査(※)」をもとに、日本の労働力人口のうち40歳~59歳は44.2%に及ぶことに言及。少子化が進む日本において今後この割合は上昇していくと推察している。

また、同社が運営する『リクルートエージェント』では、40代・50代の転職が増えているという。50代の転職者数は2014年度比で約9倍になっているとして、実際転職する人もいれば、キャリアについての悩みや不安はあるが動けていない人が一定数いると考察。そこで、ミドル世代はどのようにキャリアについて考えているのか、調査結果を分析した。

※出典元:労働力調査年報(総務省統計局)

将来のキャリアに対して取り組んでいないミドル世代は日本では約5割

将来のキャリアに対して取り組んでいないミドル世代は日本では約5割

本調査結果を見ると「将来のキャリアに対して取り組んでいること」について、全体的に日米で大きな差があることがわかる。特に、日本のミドル世代は47.1%の人が取り組んでいることがない一方で、アメリカのミドル世代では8.5%と、38.6ptの差がある。具体的な取り組みで差が大きかったものとして「キャリアプランの明確化と目標設定(日本12.0%、アメリカ44.2%:32.2pt差)」「ネットワークを広げてつながりを築く(日本14.1%、アメリカ39.9%:25.8pt差)」といった項目が挙げられた。

また、キャリアについて考える機会も日米の差は顕著だという。キャリアデザインに関する教育・研修等を「学生時代に受講したことがない」という割合は日本で80.0%、アメリカでは38.1%となり、その差は41.9ptにも及ぶ。

キャリアのアドバイスをもらう機会が少ない

キャリアのアドバイスをもらう機会が少ない

続いて同社は、勤務先の上司から、仕事やキャリアのアドバイスをもらう機会について調査。日本では「仕事がうまくいくよう助言や支援をしてくれる」の割合がアメリカよりも高かったが、それ以外の項目ではアメリカの方が高い結果となったと報告した。日本のミドルでは「仕事やキャリアのアドバイスはもらわない」の割合が29.3%となり、日本の20歳~39歳と比べても高い結果となったという。

また同社は、キャリア自律ができている人とできていない人で、働くことに関してどのような差が生まれるのか分析。ミドルのキャリア自律できている人では「現在までの自身の職業キャリアに満足している」割合は61.0%に上り、20歳~39歳や、同じミドルでキャリア自律できていない人よりも高いことが明らかになった。そのほか「会社では自分のスキルと才能が尊重され、生かされている」「環境変化が起きても、これからの人生やキャリアを前向きに切り開いていける」も高い結果となっているようだ。

また、キャリア自律できているかどうかと、キャリアに関する満足度等の設問の回答傾向についても分析した結果、キャリア自律できている方が、仕事やキャリアにとどまらず人間関係などについて前向きな傾向があったことが報告されている。

まとめ

同社の発表したレポートで、HRエージェントDivision Vice Presidentの近藤裕氏は「人生100年時代といわれ、定年の延長などの動きもある今、ミドル世代が社会人になった頃とは大きく状況が変わっており、不安が大きくなるのも当然です。これまで、ミドル世代の方の転職やキャリア選択のご支援をしてきた中で、転職するしないに関わらず、キャリアについてできるだけ早い段階で考えている方のほうが、キャリアの選択肢が広がる傾向にあると感じていました」とコメントしている。

日本の労働人口の4割以上を占めるミドル世代だが、これまでキャリアについて考える機会はそう多くなかったことが、本調査により明らかになった。今後の労働市場においてその重要性がさらに増していくと考えられるミドル世代に対して、企業側もキャリア支援の取り組みを充実させていく必要があるだろう。不足している取り組みや従業員の意向など、この機会に改めて探ってみてはいかがだろうか。