掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

1万1610事業場が違法時間外労働の対象に 厚労省、監督指導結果を公表

2024.07.26

厚生労働省は、2023年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、監督指導事例等と共に公表した。対象となった26117事業場のうち、違法な時間外労働が確認されたのは11610事業場(44.5%)にも及ぶという。

1万1610事業場で違法な長時間労働が確認

厚生労働省では長時間労働の削減を推進するため、働き方の見直しに向けた企業への働きかけや、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の徹底等に取り組んでいる。監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1カ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等を対象に実施される。

2023年は、対象となった2万6117事業場のうち、1万1610事業場(44.5%)で違法な時間外労働が確認されたという。このうち実際に1カ月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、5675事業場(違法な時間外労働があったもののうち48.9%)であったと報告された。

さらに、うち3417事業場(29.4%)が月100時間超、737事業場(6.3%)が月150時間超、35事業場(0.3%)が月200時間超であったことも公表されている。

2022年度の公表結果と比較すると、違法な時間外労働が確認された事業場数としては2022年度は1万4147事業場であり、大きく減少したように見える。しかし、割合としては2022年度は42.6%で、2023年度(44.5%)の方が高い。過重労働による健康障害防止措置が不十分で指導票を交付された事業場の割合も、2022年度の40.0%(1万3296事業場)を10pt近く上回る49.6%(1万2944事業場)であった。

一方で、労働時間の把握が不適正で指導票を交付された事業場については、2022年度は6069事業場(18.3%)であったのに対して、2023年度は4461事業場(17.1%)と、数も割合も減少が見られた。

出典元:長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します(厚生労働省)
出典元:長時間労働が疑われる事業場に対する令和4年度の監督指導結果を公表します(厚生労働省)

まとめ

本公表結果を見ると、違法な時間外労働が確認された事業場の数は減少したものの、割合としてはさほど変わらず、その実態に大きな改善は見られていないと推察される。一方で、労働時間の把握については事業場数としても割合としても減少が見られ、改善が進んだ様子がうかがえた。

厚生労働省が公表している「令和5年版過労死等防止対策白書」では、労働者1人当たりの年間総実労働時間は長期的には緩やかに減少しているという。今後さらなる減少を促進していくためにも、業務の効率化やDX化など、企業として働き方改革の実現により注力していく必要があるだろう。まずは従業員の労働実態を適正に把握し、改善に向けて必要な取り組みを検討していただきたい。

出典元:令和5年版過労死等防止対策白書(本文)(厚生労働省)