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もしも「確定申告の全体化」実施なら、「税負担が増えるケースが多発」「負荷が高まり混乱する」の声 人材ドラフト調査

2024.09.09

自民党総裁選に向けて河野太郎デジタル相が打ち出している、「移行期間を経たうえで、年末調整を廃止して全ての納税者に確定申告をしてもらう案(以下『確定申告の全体化』)」。河野デジタル相は「真に支援を必要としている人を正確に把握し、迅速に支援につなげる」デジタルセーフティーネット構築のためとしているが、同政策の実効性などにおいては、世論でも賛否両論の状態だ。そこで、税理士の転職サービスを展開する株式会社人材ドラフト(本社:東京都千代田区、代表取締役:鈴木麻紗子)は、本政策によって会社員や企業にどのような影響が出るか調査を実施。会計業界の予測や賛否について明らかにした。

調査概要

調査期間:2024年9月6日
調査方法:人材ドラフトの登録会員によるインターネット調査
対象者:<居住地>全国 <年代>不問 <性別>男女不問
回収サンプル数:139
出典元:河野太郎大臣の「全納税者が確定申告」の影響調査。会計業界の84%が「税負担が増えるケースが多発する」と予想(株式会社人材ドラフト)

会計業界の84%が「税負担が増えるケースの多発」を予想

会計業界の84%が「税負担が増えるケースの多発」を予想

全納税者が確定申告を実施する場合では、申告を忘れると各種控除が適用されなくなる。本調査結果を見ると、84%が「税負担が増えるケースが多発すると思う」と回答している。一方で本来の目的とされている「支援が必要な人に迅速にサポートできるか?」を問うと、「できると思う」が42%、「そうは思わない」が50%となっており、会計業界においても分かれているのが実態のようだ。

さらに、同政策を実施した場合、「移行期間において企業の経理部門の業務負荷が高まり混乱が発生するか?」という質問には72%が「混乱が発生すると思う」と回答。実際に「全納税者の確定申告化」政策を行うべきとしたのは36%にとどまった。

会社員が税金や社会保険の負担を認識しやすくなる、(移行期間後に浸透できれば)企業にとって経理・会計業務の負担が減る、といったメリットも挙げられる一方で、リテラシーの問題で確定申告を行えなかった際に、納税者が不利益を被るケースも発生しかねない。同社によれば、仮に本政策を実施する場合「十分な移行期間を設ける」「会社員への啓蒙活動を行う」「確定申告が完了していない人へ自動通知を行い、適用できる控除がないかマイナポータル上で提案する」といった取り組みが必要だとの意見が寄せられたという。

まとめ

河野デジタル相は本政策によりデジタルセーフティネットの構築はもちろんのこと、収入がある人たちが税と社会保険料の負担額を認識し、その使いみちに厳しい目を向けてもらうことにも期待を寄せているようだ(※1)。

会計業界では控除を受けられないケース=税負担の増加や、移行期間における企業の経理部門や税務署経理部門の業務負荷増加などを予測する人が多い本政策。今後の情勢によっては対応が求められる可能性もある。経理担当者は注視しておく必要がありそうだ。

※1:「衆議院議員 河野太郎公式サイト」より