管理職の約4割「人事評価が部下の退職の要因と感じている」 フォー・ノーツ調査
総合人事コンサルティング会社のフォー・ノーツ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:西尾太)は、人事評価を行う管理職(役員・部長・課長)501名を対象に、部下の人事評価における「人事評価の実態調査2024(管理職編)」を実施し、分析レポートを公表した。
調査概要
調査名:人事評価の実態調査2024(管理職編)
対象者:人事評価を行う管理職 501名(役員46名・部長207名・課長248名)
対象企業規模:従業員数100〜299人(127名)、300〜999人(129名)、1000〜1999人(115名)、2000人以上(130名)
対象地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年8月6日~8月8日
出典元:「人事評価の実態調査2024(管理職編)」(フォー・ノーツ株式会社)
7割以上が「評価基準が明確でわかりやすく設定されている」と回答
本調査ではまず、人事評価を行う際の評価基準について、明確な設定ができているか質問。その結果「明確になっている(25.1%)」「どちらかというと明確になっている(48.9%)」と、7割以上が明確な設定ができていると回答している。また、評価しているポイントについては、「目標の達成度合い(成果)92.0%)」が最も多く、次いで「プロセス(行動)(69.4%)」「役割への貢献度(ミッショングレード)(60.4%)」が続いている。
評価結果の公正さと管理職が感じているやりづらさ
次に、部下の人事評価を行う際の、評価結果の「公正さ」について質問。「全社で統一された基準に基づき、公正に評価できている」との回答が4割超(42.5%)となった一方で、「自分自身の持つ評価軸に基づき公正に評価できている(25.3%)」と、個々の基準で評価を行なっているケースもあることが判明。
また「評価基準が曖昧であり公正に評価するのが難しい(25.9%)」「公正な評価はできない(6.2%)」と、公正な評価に難しさを感じている人も合計で約3割となっている。この割合は課長クラスで他の役職よりも多い傾向にあることが報告された。
さらに、自身の部下を人事評価する際に82%が何かしらのやりづらさを実感していることも明らかになった。具体的には「部門間で評価に甘辛があること(43.1%)」「評価の基準が不明確(33.5%)」「評価の視点(項目)が不十分・偏りがある(25.9%)」などが挙げられている。
部下の退職と人事評価の関係
続いて本調査では、過去に退職した部下について、人事評価が退職につながったと感じたことがあるかを質問。その結果「ある(12.0%)」「どちらかといえばあるように感じる(27.9%)」の合計で、約4割の管理職が実感していることが判明している。
退職につながったと感じる原因としては「評価の基準が不明確(48.5%)」「評価のプロセスが不透明(39.0%)」「部門間で評価に甘辛がある(27.5%)」が上位に挙げられたようだ。
まとめ
本調査では、公正な人事評価の難しさや、人事評価基準の不明瞭さが従業員の退職を引き起こしている可能性が示唆された。評価制度は査定に使う役割だけでなく、従業員の定着率向上においても重要な役割を担っていることを、管理職や人事担当者が改めて認識する必要がありそうだ。
従業員が納得できる人事評価制度になってこそ、制度の効果が十分に発揮されるはず。人事担当者は明確な評価基準の設定や公平性の担保に、より一層注力すべきだろう。また、管理職自身が制度の意義や基準をより正しく理解できるような支援に取り組んでいくことも大切ではないだろうか。