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賃金のデジタル払い「導入予定なし」が約9割。業務負担増を懸念する声も TDB調査

2024.10.17

2023年4月、政府は「賃金のデジタル払い」を解禁。2024年8月に取り扱い事業者として初めてキャッシュレス決済サービスの「PayPay」の運営会社が厚生労働省から指定を受けた。同年9月25日、ソフトバンクグループ各社が国内で初めて、希望する社員に対してデジタル払いを実施したことが報道された。幅広い分野でキャッシュレス化が進む中、賃金のデジタル払いについても今後の広がりが注目されている。そこで、株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は企業における賃金のデジタル払いへの対応についてアンケートを実施。その結果を公表した。

調査概要

アンケート期間:2024年10月4日~10月10日
有効回答企業数:1479社
調査方法:インターネット調査
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:企業の「賃金のデジタル払い」対応状況アンケート(帝国データバンク)

賃金のデジタル払い、導入に前向きな企業はわずか3.9%

賃金のデジタル払い、導入に前向きな企業はわずか3.9%

TDBは、自社における賃金のデジタル払いへの対応について質問。「導入に前向き」な企業は3.9%と低水準だった一方、「導入予定はない」は88.8%と9割近くにのぼった。また、「言葉も知らない(1.6%)」「分からない(5.6%)」といった回答も見られたという。

また、賃金のデジタル払いについて「導入に前向き」な企業に対して、その理由を質問。「振込手数料の削減(53.8%)」がトップとなり、次いで「従業員の満足度向上(42.3%)」「事務手続きの削減(日払いや前払いのしやすさ)(32.7%)」となった。

続いて「導入予定はない」企業では、その理由として「業務負担の増加(デジタル払いと口座振込の二重運用や労使協定の改定など)(61.8%)」が最も多く挙げられ、次いで「制度やサービスに対する理解が十分でない(45.0%)」「セキュリティ上のリスクを懸念(43.3%)」となっている。

まとめ

本調査結果からは、賃金のデジタル払いの導入について慎重な姿勢を示す企業が多い実態が明らかとなった。TDBは寄せられたコメントの中には、「導入を検討している。周知されれば便利だと思う」といった前向きなものがある一方で、「何か起きた時に誰が責任をとるのか不安」といった声も聞かれたという。利用が普及するには、セキュリティ強化を含めて、制度・サービスに関する正しい情報の周知がその第一歩となりそうだ。

厚生労働省は労働者や使用者に向けて、よくある質問への回答や周知用資料を公開している。今後の導入を検討している企業は、あわせて参考にしていただきたい。

参考:資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について(厚生労働省)