フリーランス新法の理解度と施行後に期待することは? PEーBANK調査
株式会社PE-BANK(東京都港区、代表取締役:髙田幹也)は、全国のITフリーランスエンジニアを対象に「フリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)に関する実態調査」を実施。ITフリーランスエンジニアが置かれている状況やフリーランス新法の認知度について明らかにした。
調査概要
調査対象:全国のITフリーランスエンジニア
サンプル数:360サンプル
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2024年10月10日~2024年10月18日
出典元:フリーランス新法に関する実態調査を実施(株式会社PE-BANK)
約6割が取引先とのトラブル経験も契約書の取り交わしができていない
本調査ではまずはじめに、取引先が原因でトラブルが起きた経験について質問。「よくある(11.7%)」「たまにある(47.2%)」を合わせた58.9%がトラブルを経験したことがあると判明している。
一方で「取引先と契約書を取り交わしているか」との質問に「必ず取り交わしている」と回答したのは28.1%で、わずか3割未満ということが報告された。
トラブルの内容としては「報酬の支払い遅延や不払い(49.1%)」「不当な減額交渉(40.4%)」「追加修正の無償対応(31.6%)」との回答が上位に並び、金銭的なトラブルが多い傾向が見られている。
フリーランス新法について知らない人が約7割
続いて本調査では、フリーランス新法に関する認知度を調査。「あまり知らない(32.8%)」「全く知らない(36.9%)」との回答が寄せられており、合わせて69.7%がフリーランス新法について十分に認知していない実態が明らかになった。
また「フリーランス新法について知っている」と回答した人を対象に、フリーランス新法に関する理解度を尋ねた結果では「全て理解している」はわずか16.5%にとどまったという。
「フリーランス新法における発注者側の義務に対し何を一番評価するか」との質問には 「報酬支払期日の設定と期日内の支払いの徹底(63.3%)」「書面などによる取引条件の明示(60.6%)」「禁止行為の是正(46.8%)」と回答する人が多く、金銭トラブルを解決する項目を評価する傾向にあることがわかる。
施行後も取引は改善されないと考える人が3割超
さらに「フリーランス新法について知っている」と回答した人を対象とした「フリーランス新法施行により、発注者とトラブルなくより円滑な取引ができるようになると思うか」との質問には「あまりそう思わない(28.4%)」「全く思わない(6.4%)」との回答が寄せられ、新法施行されても取引が改善されると思わない人が34.8%におよんでいる。
その理由としては「新法で定められても立場が弱く、不当性を感じても取引先に打診できるか不安(57.9%)」「企業側が新法について理解浸透するのかが不安(47.4%)」との声が多く挙げられたという。
また、フリーランスに案件を紹介するエージェントサービスへの登録状況については、エージェントサービスを活用している人はわずか2割未満であったことも報告された。
エージェントサービスに登録するメリットとしては「業務調整がしやすい(62.3%)」「トラブルが起きにくい(47.2%)」「報酬や条件の交渉がしやすい(43.4%)」などが挙げられている。
まとめ
フリーランス新法の施行が目前に迫る中、本調査結果からは、ITフリーランスエンジニアの多くは、フリーランス新法に関して理解していない様子がうかがえる。内容を理解できていないが故に起こるトラブルにも注意する必要がありそうだ。
本調査では、金銭面のトラブルを経験した人が多いことも明らかになっている。フリーランス新法では書面などによる取引条件の明示や、報酬支払期日の設定・期日内の支払いが義務付けられている。社内で対応の準備が整っているか、フリーランス側との擦り合わせが十分にできているか、施行前に改めて確認しておくべきだろう。
参考:公正取引委員会フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)