育休浸透も、対象者の約4割が申請に「ためらいを感じる」 江崎グリコ調査
江崎グリコ株式会社は、11月19日の「いい育児の日」に際して、「育休取得における対象者と上司の意識調査」を実施し、調査結果を公表した。ここでは育休を申請する対象者が感じている「ためらい」や取得者をフォローする側が感じる不安が浮き彫りになった本調査から、結果の一部を紹介する。
調査概要
調査名:育休対象者と上司の意識調査
調査方法:インターネット調査
調査対象者:育休経験者及び育休取得予定者 250名、育休の申請を受けた経験のある上司 250名
調査期間:2024年10月11日~10月15日
サンプル数:本調査 男女500名(男性352名、女性148名)
出典元:江崎グリコ株式会社調べ育休取得における対象者と上司の意識調査
※調査内で「上司」の属性は、2名以上のマネジメント従事者で自身の育休経験は不問。「育休対象者」は育休経験者及び育休取得予定者で、自身のマネジメント経験は不問
※構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100.0%とならない場合がある
男女の産休、育休は浸透傾向も上司の制度理解に課題か
本調査ではまずはじめに「Q1:あなたの会社では男女の産休・育休の取得がここ数年で増えたと感じますか?」と質問。全体の73.6%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答したことが報告されている。
しかし「Q2:産休や育休を取得する際、取得者や上司はどのくらい前から準備が必要か知っていますか?」という質問に対して、「十分に理解し人に説明できる」と回答した上司は22.0%、育休対象者では10.0%まで下がることが判明。育休対象者・上司ともに、産休・育休の具体的な準備に関する理解に課題があるようだ。
また対象者側に「Q3:産休・育休を取得した際、適切なアドバイスがされたと感じますか?」と質問したところ、「とてもそう思う」「まあまあそう思う」と回答した割合の合計は約4割にとどまっており、「とてもそう思う」は8.4%と1割に満たない結果となったことも報告された。
約4割が感じた育休申請のためらい
続いて本調査では「Q4:産休・育休取得で特に不安に感じる(または、感じた)ことはなんですか?」と質問。回答の上位には「給与の減少(44.4%)」「復帰後のキャリア(34.8%)」「引継ぎ相手の負担(32.4%)」が挙げられている。
また「Q5:育休の申請に関してためらうことはありましたか(または、ありますか)?」という質問には、42.0%が「ある」と回答したという。その理由としては「社内に迷惑をかけてしまうから(47.6%)」が圧倒的に多く、2位以下の回答の2倍以上の割合を示している。
上司側では「Q7:ご自身は部下の産休・育休の不安に関して十分にフォローできていると感じますか?」との質問に、45.6%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答。一方で「Q8:ご自身は部下の産休・育休のフォローについて不安を感じたことはありますか?」との質問に、48.8%が「ある」と回答しており、具体的な不安の内容としては「フォローによって、チーム内に不公平感が生まれないか不安になる(38.4%)」が最多となっている。
さらに「Q10:産休、育休前の引継ぎ制度は十分に整っていると感じますか?」という質問では、上司は「とてもそう思う」「まあまあそう思う」の合計が53.6%だったのに対して、育休対象者では合計40.4%と、13ポイントの開きがあることも報告された。
まとめ
男性の育休取得を促進する動きも浸透しはじめ、企業には取得者に対してより一層のサポートが求められている。しかし本調査では、産休・育休の準備や引継ぎに関して対象者、上司側ともに理解が十分ではないことが明らかになった。また、取得に際してためらいを感じている対象者もおり、少なくない人が「社内に迷惑をかけてしまう」と感じているという。
子育てと仕事を両立できる環境の整備は、多様な働き方の実現を支え、企業のさらなる魅力向上も後押しする重要な取り組みである。まずは対象者・上司を問わず、育休取得に際して十分な理解のもとで申請、フォロー&サポートができるよう、社内での理解促進が必要だろう。
育休取得促進に積極的に取り組んでいる江崎グリコでは、独自の育休ガイドブック作成といった取り組みも実施している。今回の調査結果の公表にあわせて、この育休ガイドブックの一部が社外にも公開された。今後の取り組みの参考にしてみてはいかがだろうか。
参考:「業務サポート体制構築チェックリスト」(江崎グリコ株式会社「育休ガイドブック(Co育てガイドブックより)」)
参考:「家事育児分担ワークシート」(同社「育休ガイドブック(Co育てガイドブックより)」)