人材不足「感じていない」企業はわずか5.6%!10年後の展望ではさらに低下 山田グループ調査
山田グループ(税理士法人山田&パートナーズ、山田コンサルティンググループ株式会社、一般社団法人山田経済・経営研究所)が「人材不足への対応」についてアンケート調査を実施。869社からの回答を集計し、報告書にとりまとめた。現在の人材不足の状況とその背景、将来の人材不足に対する予測、その対応策、さらに事業のあり方の見直し等について聞き取り、その実態を整理・分析することにより経営者に対して有用な情報提供を行うことが目的。ここではバックオフィスに関わりの深い部分について抜粋して紹介する。
調査概要
調査期間:令和6年7月10日~8月30日
調査対象:法人事業者
調査票配布数:1744件(内、個別に依頼した顧客企業1238件)
回答数:869件
調査票配布方法:電子メール送信、調査票の送付、対面での手渡し
回答方法:Web画面での回答
出典元:人材不足への対応 アンケート報告書(山田グループ)
「現状、特に人材不足を感じていない」わずか5.6% バックオフィス部門の人材不足は?
本調査ではまずはじめに、どのような人材の不足を感じているか質問。全体では「営業部門での人材(45.3%)」が最も高く、次いで「製造等の部門での技術系の人材(39.6%)」「マネジメント人材(経営層)(33.7%)」「IT担当の人材(33.5%)」「総務、経理等の間接部門での人材(29.3%)」が続いている。「現状において、特に人材不足を感じていない(5.6%)」は、最も低い数値であったことが報告された。
また、「10年後を展望してみて、どのような人材の不足またはその悪化を予測しているか?」を問うたところ、「マネジメント人材(経営層)」が不足すると考える割合が増加。「特に人材不足を予測していない」との回答は2.3%と、現状よりさらに低下する結果となっている。一方で「総務、経理等の間接部門での人材(22.3%)」については現状と10年後展望の間にポイントの低下が見られ、バックオフィスの人材不足は少しずつ解消に向かうと考える人も少ないようだ。
その傾向は特に大企業で顕著に見られており、大企業に絞った集計では現状が40.5%であるのに対して10年後は19.0%とほぼ半減している。企業規模が大きいほど、効率化に向けたDX化やアウトソーシングなどが進めやすい状況にあると推察される。
「人材不足に対応するため事業のあり自体を見直す」8割超が検討
続いて本調査では、人材不足に対応するための事業のあり方自体の見直しについて質問。何らかの対応策を検討または実施している企業は 85.6%となり、多くが事業のあり方を見直していることが明らかに。
しかし、その中で「総務、経理等の間接部門のアウトソーシング」については「検討しているが、具体的な実施予定はない」が28.4%と3割近くに及んでおり「検討していない(44.9%)」との回答も半数近い状況であった。企業規模が小さいほど「検討していない」の割合が増えており、大企業と10ポイントほどの差が出ている。一方で大企業では「検討しているが、具体的な実施予定はない」が4割を超えており、実際の導入に至っていないケースも多いようだ。
総務、経理等のアウトソーシングについて実施の障壁となっている課題は「アウトソーシング先の選択が困難」「課題等は認識、対応策の実行は自信がない」がどちらも46.2%でトップに挙げられている。特に中小企業では「アウトソーシング先の選択が困難」がトップとなっており、信頼できるアウトソーシング先を見つけられていない現状がうかがえる。
まとめ
多くの企業が人材不足を感じている現状が明らかになった今回の調査。しかし、担当業務によっては10年後に人材不足が今よりも解消に向かうと考える企業も少ないことが明らかになっている。
一方で、アウトソーシング先の選定が進まないことや、実行への不安が障壁となり、アウトソーシングが検討止まりになっている企業も多い。労働人口の減少が続く中、業務の効率化を進め人材不足を解消しなければ、担当者の負担は増える一方だ。今後の導入に向けて、情報収集や対応策の実行を積極的に行っていく必要があるのではないだろうか。