「新リース会計基準」改正内容を知る契約管理担当者は15.5% Sansan調査

Sansan株式会社は、2025年4月から早期適用が始まる新リース会計基準の影響を受ける経理および契約管理担当者 各600名を対象に「新リース会計基準に関する意識調査」を実施した。
新リース会計基準とは、原則全てのリース取引を貸借対照表に計上することを義務づける会計基準。これに対応するためには、企業が自社のリース契約を適切に把握し、どの取引が新基準でのリースに該当するかを識別したうえで、適切に会計処理を行う必要がある。そのため経理部門だけでなく、契約を実際に管理する契約管理担当者など全社的な連携が不可欠だ。社内における理解度や対応方針の差が障壁となる可能性もあるとして、本調査ではそれぞれの担当者が改正内容についてどの程度理解しているか、契約書のデータ化がどの程度進んでいるか、などを明らかにした。
調査概要
調査名:新リース会計基準に関する意識調査
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査地域:全国
調査対象:新リース会計基準の対象企業に勤める経理、契約管理担当者 各600名
調査期間:2025年2月4日~2025年2月10日
調査企画:Sansan株式会社
出典元:Sansan、「新リース会計基準に関する意識調査」を実施~「リース契約の識別」に課題がある中、 改正の内容を知っている契約管理担当者はわずか15.5%~(Sansan株式会社)
※本調査結果において、比率は小数点以下第2位を四捨五入しているため、必ずしも合計した数字が100%にならない場合がある
経理と契約管理担当者で「新リース会計基準」の内容認識に差

本調査結果を見ると、新リース会計基準について経理では42.8%が「内容を知っている」と回答した一方で、契約管理担当者では「内容を知っている」と回答した人はわずか15.5%にとどまっている。また新リース会計基準で影響を受ける経理のうち、57.2%は新基準の内容をまだ知らないという結果となったことが報告された。
新リース会計基準適用に向けた対応の中で、最も時間がかかるのは何かという設問では、経理と契約管理担当者ともに上位は「契約がリースに該当するかの識別」「契約書の収集」「会計処理」の3項目になったという。
契約内容の確認で契約管理担当者の負担増加の可能性

同社は続いて、新リース会計基準に対応するためには、自社の契約がリースに該当するかを確認する必要がある点に注目。経理に契約内容の確認方法を尋ねたところ「契約管理担当者に内容を確認(54.0%)」との回答が半数を超えており、契約管理担当者への問い合わせの増加が予想される。
さらに本調査では、契約管理担当者に対し、自社の契約書のデータ化状況を質問。「すべてデータ化できている」と回答した割合は17.1%にとどまったという。約半数の企業では、締結済みの契約書のうち半分以下しかデータ化できていないことが明らかになっており、新基準への対応において契約書の収集や確認作業が煩雑になることが懸念される。
まとめ
新リース会計基準は2025年4月から早期適用が開始となり、義務化は2027年4月の予定だ。本調査結果を見ると、多くの企業で認知が進んでおらず、今後の対応には時間がかかると予想される。
経理担当者はもちろんのこと、契約管理担当者にも大きく関わる改正となるため、社内理解や対応方針の統一を進めておく必要がある。義務化となる前に、まずは改正内容の適切な理解を浸透させることから取り組んでみてはいかがだろうか。
また、対応にあたって企業によっては大量の契約書を確認、判別していく必要が出てくる。契約書のデータ化についても早急に進めておく必要がありそうだ。
参考:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の公表(企業会計基準委員会)